【冬ボーナス】サラリーマンと公務員で賞与の決まり方が違う? 仕組みをチェック

年末が近づくと、ボーナスに関するニュースも増えますね。「国家公務員のボーナスは、人事院勧告に基づき民間の水準に合わせ…」といったフレーズを耳にすると、気になりませんか?

公務員のボーナスは、民間企業に合わせて決まるのか? 民間企業のボーナスは何で決まるのか?

今回はボーナスの支給額について、民間企業の会社員と公務員ではどんな違いがあるのかチェックしてみましょう。

「ボーナス」は、定期的には支給されない賃金

まずは「ボーナス」とは何かを確認しましょう。

いわゆる「ボーナス」は、定期的に支給される給与とは別に支給される、支給額の決まっていない、会社から受け取る報酬を指します。国税庁の定義では、「賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するもの」とされています。

労働の対価として定期的に支給されることが決められている「給与」とは違い、民間企業におけるボーナスは支払うことが決められたものではありません(ボーナスがない企業もあれば、例年ボーナスが支給されていても支給されない年がある場合もあります)。また、給与のように、一定額以上の支給が約束されているわけでもありません。ボーナスの支給についてのルールは原則として会社の就業規則に定められています。

厚生労働省の調査によると、ボーナスなどが該当する「特別に支払われた給与」の額は、2021年6月の調査産業の平均額は約25万円ですが、電気・ガス業は76.5万円、飲食業は4.9万円と産業の別によっても違いがあることがわかります。

特別に支払われた給与
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」より   ※労働協約、就業規則等によらず、一時的又は突発的事由に基づき労働者に支払われた給与又は労働協約、就業規則等によりあらかじめ支給条件、算定方法が定められている給与で以下に該当するもの。(1)夏冬の賞与、期末手当等の一時金(2)支給事由の発生が不定期なもの(3)3ヶ月を超える期間で算定される手当等(6ヶ月分支払われる通勤手当など)(4)いわゆるベースアップの差額追給分

一方、公務員の「ボーナス」にあたるものに「期末手当」「勤勉手当」がありますが、これは法令で支給することが定められており、民間の水準に合わせるよう人事院から勧告(国家公務員の場合)がなされます。2021年冬のボーナスの場合、人事院は0.15ヶ月、各都道府県の人事委員会は0.05ヶ月~0.15ヶ月のボーナス引き下げを勧告しました。

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ボーナスの支給は、多くの企業で夏冬の年2回

多くの企業では、ボーナスの支給時期は夏と冬の年に2回、夏は6月~7月、冬は12月に支給され、支給日は会社によって異なります。だいたい、その月の10日前後が支給日の会社が多いようです。年度末などに3回目のボーナスが支給される企業もあります。

一方、公務員の「ボーナス」にあたる「期末手当」「勤勉手当」の支給時期は決まっています。国家公務員の場合、支給回数は年に2回、夏は6月30日、冬は12月10日です。

民間企業のボーナスは、給与や業績に連動して決められる

民間企業のボーナスの支給額の決め方は会社によって異なりますが、次のようなものがあります。

・基本給連動型

多くの金業で採用されているもので、いわゆる「給与の〇ヶ月分」というように、基本給をベースに計算されるものです。個人の人事評価を反映して「基本給×月数×評価係数(ポイント)」といった式で計算されます。

毎月の給与には、基本給に加えて各種手当が支給されていますが、基本給のみが計算対象となるのか、なんらかの手当が計算に含まれるのかは、会社によって異なり、就業規則に定められています。

「ボーナスは給料の〇ヶ月分」と思っていたのに、各種手当が計算に含まれず、想定をガクンと下回る金額でがっかりすることのないよう、あらかじめ就業規則等でボーナス支給額の算定方法は確かめておきたいですね。

・業績連動型

企業の営業利益や経常利益などの業績に連動してボーナス額が決められるタイプです。企業や部門、従業員個人の成果等に応じて支給額が決められます。多くの会社ではその支給基準が従業員に開示されています。

勤続年数や年齢ではなく、仕事のプロセスや結果が支給額に反映される仕組みなので、仕事へのモチベーションアップにつながるとされています。ただし、毎回支給額の変動が大きくなりがちなので、ボーナスをあてにした家計の資金計画は立てづらいかもしれません。

・決算賞与

決算の後に支給されることがあるボーナス(賞与)です。決算後の利益が多かった場合に、利益の配分として従業員に賞与が支給されものです。分配できる利益がなければ支給されることはないので、臨時の特別ボーナス、と考えたほうがよいでしょう。

なお、ボーナスの支給には在籍期間などの要件が設けられていて、ボーナスの支給が受けられない場合もあります。従業員個人の「ボーナス支給要件」も確かめておきたいですね。

公務員のボーナスは、民間水準に合わせて決められる

民間企業のボーナスは、企業業績や仕事の成果に基づいて決まりますが、公務員の勤める役所等の場合、「売り上げが上がって業績アップ」といったことは考えにくいですよね。どのようにして支給額が決まるのでしょうか。

公務員のボーナスにあたる、「期末手当」と「勤勉手当」は、支給について法令で定められて6月1日および12月1日に在籍する職員等が対象です。さらに、国家公務員は人事院が、地方公務員は各地の人事委員会が民間の水準を調査した上で、給与や手当に関する勧告を行います。

・期末手当

在籍期間に応じて計算される手当。「俸給(国家公務員の諸手当を除く基本的な給与)」に各種手当を加えたものに、支給割合と在職期間割合を掛けて計算されます。

・勤勉手当

勤務成績に応じて計算される手当。「俸給」に各種手当を加えたものに、期間率と成績率を掛けて計算される。各職員の勤務成績によって支給額が変動します。

参考:人事院「国家公務員における諸手当の概要」

このように、民間企業のボーナスは企業業績や個人の成果等によって決まりますが、会社によって支給額の決め方は異なります。公務員の場合は、在籍期間に応じて計算する期末手当、勤務成績に応じて計算する勤勉手当があり、さらに民間の水準に合わせて、調整がなされます。

お勤めの方も、これから就職や転職、退職などを考えている方も、どんな条件を満たせば、どんな計算方法で報酬が受け取れるのかは重要な問題ですよね。はっきり把握されていなかった方は、定期的に受け取る給与と合わせて、ボーナスについても、どんな仕組みで受け取ることになるのか、就業規則などを見て確認しておくとよいでしょう。

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