何気ない投稿で家がバレる⁉ SNSに潜むリスクから身を守る方法

友人との交流、自分の趣味に関する情報を得るのにSNSを活用しているといった方も多いはず。しかし、過去にはSNSに友人しか見ていないはずの写真が転用・悪用されたケースのほか、自宅や最寄り駅を特定され、窃盗事件やストーカー事件に発展したケースが発生しています。

今回は「自宅で撮った写真を載せたら映り込みから住所を特定された」「公開範囲の設定ミスで個人情報を流出させてしまった」といった具体的な事例を挙げながら、SNSで起こり得るトラブルとその解決方法を解説します。

SNSの投稿で起こり得る事件

ネットいじめ
思わぬ形でSNSから事件が発生?(画像素材:PIXTA)

まずは、SNSの投稿によって起こり得る事件について具体的に見ていきましょう。自宅はもちろん、生活圏内が特定されることで、大きな事件に巻き込まれるリスクが大幅に高まります。

現在は依頼を受け、特定の人物が投稿する情報から個人情報を特定する悪質な人物もおり、SNSが原因で発生する事件も見られます。

・空き巣

昨今の空き巣は、高級品やブランド品、コレクション品の写真を投稿しているアカウントの投稿を監視、住所を割り出して犯行に及ぶと言われています。「高価な物を自慢したい」という気持ちからコレクションの写真を投稿しているうちに、空き巣の標的になっているかもしれません。

実際に、トレーディングカードやブランド品などの収集が趣味だった人が自宅入り口前にいためずらしいクワガタムシやカエルの写真を投稿したところ、コレクションが盗難に遭ってしまった事例があります。窃盗犯は被害者の投稿を監視しており、出勤前や帰宅前に玄関付近にめずらしいものをわざと置いて、SNSへの投稿を誘発していたのです。そしてその投稿から家を留守にする時間を推測し、犯行に及んだとのことでした。

・ストーカー

「会社に行ってきます」といった自分の行動をリアルタイムで投稿したり、最寄り駅や自宅が特定されたりするような投稿には注意しましょう。個人情報を特定できる要素が多いと、ストーカーに付きまとわれるだけでなく、自宅に押し掛けられるリスクがあります。

子どものいる家庭は写真の取り扱いには特に注意が必要です。顔をスタンプやモザイクで隠していない写真は、子どもがストーカー犯罪に巻き込まれる可能性が増加します。

・詐欺行為

本名や誕生日がわかるアカウントやIDから個人情報が収集され、迷惑メールや振り込め詐欺といった犯罪に利用される可能性もあります。特に近年は漏えいしたメールアドレス宛てに運送業者や通販サイトを装ったメールが届き、クレジットカード番号や暗証番号が盗まれるフィッシング被害の事例も報告されています。

SNSの投稿で注意したいポイント

ソーシャルメディア SNS
投稿内容や投稿の方法によってトラブルは回避できる(画像素材:PIXTA)

続いて、トラブルを避けるためにSNSで注意したいポイントを解説します。今すぐに取り組めることばかりなので、不安な方は今一度自分のSNSアカウントをチェックしてみてください。

・公開範囲の限定を活用する

SNSを利用する際、公開範囲を制限する機能は個人情報の漏えい防止に有効です。

しかし、公開範囲を制限するだけで安心してはいけません。友人だと思っていたアカウントがなりすましだったり、信用していた知人が自分の投稿を公開範囲外のユーザーに転用・悪用したりと、リスクはゼロではありません。閲覧を許可する際には、「本当に信用できる相手かどうか?」と二重の確認が安心です。

・個人情報を特定できる写真

誰でも閲覧できる状態のSNSアカウントで写真をアップする際は、個人情報を特定できる物を写さないよう注意しましょう。。自身や友人の顔がわかる写真はもちろん、制服・仕事着といった所属がわかるもの、背景に映り込む物など、個人を特定できる要素は意外なほどたくさんあります。

また、反射で映る景色や人などにも注意が必要です。近年発売されているスマートフォンでは簡単に高画質な写真が撮影できる反面、高画質であればあるほど、写真に写る景色や車などに反射した景色から居場所を特定されやすくなります。画像を少し縮小して解像度を下げるほか、撮影する角度やスタンプなどを駆使して情報の漏れを防ぎ、個人の特定を避けましょう。

・リアルタイムな投稿時間

投稿する時間帯にも注意が必要です。「おはようございます」「おやすみなさい」といったあいさつや、「いってきます」といった出勤時の投稿など、行動のルーティンが特定できる投稿は避けたほうがいいでしょう。

リアルタイムな投稿は自宅を出る時間および家にいない時間が特定され、前述の空き巣被害などにつながる危険性が増します。加えて、帰宅・在宅時間がわかるとストーカー被害に発展する可能性もあるため、注意しましょう。

さらには、朝焼けや夕焼け、雲や虹などのめずらしい気象状況の写真などから大体の居場所を特定することも可能です。そういった写真は、リアルタイムで投稿するケースが多いのも事実です。加えて、スマートフォンのカメラのGPS機能がオンになったままだと、より正確な位置が流出してしまいます。

そして見落としがちなのが、タクシーの自動配車サービスや位置情報を利用したゲームなど、GPS機能が必須であるアプリを利用した際、誤って全てのアプリ使用時にGPS機能を有効にしてしまうこと。スマートフォンではアプリ毎にGPS機能のオン/オフを切り替えられるため、意図せずに写真をSNSにアップした際に位置情報が流出しないよう、いま一度、位置情報の設定を見直してみてください。

・近隣の店舗から居住地特定

近隣の店舗から居住地が特定されてしまうこともあります。SNS投稿やカメラのGPS機能をオンにしている人はもちろん、お気に入りの店やよく歩く道で見かけるおもしろいもの・めずらしいものなどを軽い気持ちでアップすることも、生活範囲の特定につながる可能性があります。

よく行く店の写真をどうしても載せたい場合には、リアルタイムではなく、時間を置いてからの投稿がおすすめです。

SNSによる空き巣を防止するには

窓際の女性
留守を悟られないための対策が重要(画像素材:PIXTA)

SNS投稿によるトラブルを防ぐためには、今回ご紹介してきたSNSの使い方はもちろんのこと、それ以外の防犯対策も有効です。

・鍵の強化

空き巣は5分で侵入・5分で物色と合計10分で犯行を行うため、現行犯で逮捕することが難しいといわれています。一方で、空き巣の7割は侵入に5分かかれば諦めるというデータもあるため、補助鍵を取り付けることは被害防止にも有効です。

そのほか、スマートフォンで解錠を行うスマートロックは、物理的な鍵を使わないために紛失や盗難のリスクが激減します。スマートロックの中にはオートロック機能を備えているものもあり、鍵の掛け忘れによる盗難も防止できるでしょう。

・ウェブカメラ

現在では防犯カメラや部屋用ウェブカメラなども手に入れやすく、外出先からスマートフォンと連携させて簡単にチェックできる商品もあります。録画機能もあり、万が一侵入者がいた際もデータを残しておくことができます。

・照明

留守を悟られないよう、部屋の電気を防犯用タイマーで点灯させておく手段も有効です。また、人を探知して点灯するセンサーライトは、夜間は近づくだけで姿がさらされることから空き巣が嫌います。

留守を悟られないためには、昼間のカーテンの使い方も重要です。厚手の遮光カーテンを閉め切るのは、一見防犯性が高いようにも思えるかもしれませんが、かえって不自然になるため空き巣に狙われる可能性が高くなります。旅行や帰省など、長期間の不在の際は薄手のカーテンを閉めておきましょう。

まとめ

今回は、SNSによるトラブルから身を守る方法をご紹介しました。普段からSNSを利用している人の中には、改めて危険だと感じたこともあったのではないでしょうか。

テクノロジーが進化するとともに犯罪も日々進化しています。何気ないSNS投稿から、自分がターゲットになっている可能性もゼロではないのです。

これまで何気なく投稿していた内容について、写真・公開範囲・GPS機能など、自分のアカウントをいま一度チェックしてSNSを安全かつ有効に利用しましょう。

【監修者】
京師 美佳さん

防犯アドバイザー、犯罪予知アナリストとして、情報番組やニュース番組などメディア等多数出演。セキュリティー全般の知識を生かし講演や啓発活動も行う。2005年、京師美佳セキュア・アーキテクト設立 2009年、一般社団法人全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事就任。建物の防犯診断、プロデュースなど幅広く活動を行う。「防犯アドバイザー京師美佳の安心生活をつくる自己防衛の心得35ヶ条」など著作多数。

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