東武伊勢崎線は、1899年に北千住~久喜間で開業が始まった歴史ある鉄道沿線です。現在は、東京都台東区の浅草駅から群馬県伊勢崎市の伊勢崎駅間の路線距離約114.5キロメートルが結ばれ、通勤・通学や観光で多くの人が利用しています。浅草駅・押上駅〜東武動物公園駅は「東武スカイツリーライン」の愛称で呼ばれています。今回は、東武伊勢崎線の住宅事情とおすすめの街を紹介します。

東京のベッドタウンとして発展した東武伊勢崎線沿線

東武伊勢崎線の特徴の一つは、鉄道沿線の長さです。浅草を起点に、群馬県伊勢崎市にある伊勢崎駅まで100キロメートル以上にわたって線路が続きます。途中の東武動物公園駅で東武日光線と分岐し、東武日光線は日光方面や鬼怒川方面へと沿線が伸びます。浅草駅からは、日光・鬼怒川方面に特急スペーシアが運行。約1時間半で日光へ、2時間強で鬼怒川へアクセスできます。

東武伊勢崎線は1960年代から北千住駅を経由し、東京メトロ日比谷線との相互乗り入れがスタート。また、2003年には東京メトロ半蔵門線との相互乗り入れも押上駅経由で始まり、錦糸町や大手町など都心エリアへ乗り換えなしで行けるようになりました。2012年には、東京スカイツリー(R)が開業。新たな観光スポットとして、にぎわいを生んでいます。

東京スカイツリー(R)と隅田川

東武伊勢崎線は、1997年に北千住駅の高架化や北千住駅~北越谷駅間の複々線化が完了し、電車の本数が増加。その後つくばエクスプレス線や埼玉高速鉄道の開業もあり、2019年の小菅〜北千住間の混雑率は150%(コロナ禍の2020年は104%)、2019年の東京圏平均の163%よりも抑えられています(出典:国土交通省「都市鉄道の混雑率調査結果(令和元年)」)。

北千住駅からは、東京メトロ千代田線やつくばエクスプレス線、JR常磐線も利用可能。東京メトロ千代田線で北千住駅から大手町駅へは、20分足らずでアクセス可能。JR常磐線経由なら日暮里駅や東京駅、品川駅への移動もスムーズです。

営業距離が長い路線だけに、沿線には複数の自治体があります。代表的な市区として東京都では足立区、埼玉県では草加市、越谷市、春日部市などが挙げられます。こうした東武伊勢崎線沿線の街は、江戸と日光を結んでいた日光街道が近くに通り、古くは宿場町として発展したところ。綾瀬川や元荒川といった水源も豊富で田畑だけでなく、高度成長期は工業団地も造られました。

東京都心部への好アクセスから東武伊勢崎線沿線の街は、ベッドタウンとしても発展してきました。なかでも草加市にある松原団地は、広大な水田地帯に敷地面積約54ヘクタール、324棟6,000戸弱という規模で建設されました。住民の入居が始まった1962年当時は「東洋一のマンモス団地」と言われ、多くの家族の生活拠点となりました。

人口流入が進む草加市・越谷市

以前、足立区の記事の中で、東武伊勢崎線沿線の注目の街として北千住と西新井を紹介しました。

関連記事:住民の約8割が「暮らしやすい」 足立区が今、注目の街になった理由

東武伊勢崎線の中でも、東京メトロ日比谷線直通の始発駅でもある竹ノ塚駅など足立区内にある駅は交通利便性が高く、暮らしやすさが評価されるにつれて住宅価格は大きく上昇しています。

竹ノ塚駅から歩ける舎人公園

一方、草加市、越谷市などの足立区から続く沿線の街は、ファミリー層に十分手が届く価格帯で戸建てやマンションが供給されています。宅地化が進んでいることや松原団地のマンションの建て替えなど都市の再生計画が進んでいることも、人口が増えてきている要因です。

草加市の人口は約25万。さいたま市、川口市、川越市、越谷市、所沢市に次いで埼玉県内6位の人口を有します。松原団地が造られた高度成長期に人口が大きく伸び、その後も緩やかな増加トレンドにあります。

【草加市のデータ】
 市政施行日…1958年11月1日
 総面積…27.46平方キロメートル
 人口…25万225(2021年1月1日現在)
 世帯数…12万33世帯(2021年1月1日現在)

草加松原と桜並木

草加宿は、日光街道の宿場町として栄えたところ。国指定の名勝の松並木である草加松原は、松尾芭蕉の「奥の細道」にも記されています。東武伊勢崎線の駅は、谷塚駅から新田駅までの4駅があり、駅中心に住宅地が広がっています。商業地などが広がる駅周辺部は主にマンション、外縁部は戸建ての分譲が行われています。

草加市に隣接する越谷市は、人口34万を超える埼玉県内で4番目に人口の多い街です。総面積は60平方キロメートル超あり草加市の倍以上の広さがあります。1967年に人口10万を突破し、都市化が進んだ越谷市は1996年に人口が30万を超えます。2008年には、JR武蔵野線の新駅である越谷レイクタウン駅が開業。2012年には、越谷駅前の再開発プロジェクトである「越谷ツインシティ」がオープンし、暮らしやすい街へと発展しています。東武伊勢崎線は、越谷市内を蒲生駅からせんげん台駅までの6駅が通ります。

【越谷市のデータ】
 区制施行日…1958年11月3日
 総面積…60.24平方キロメートル
 人口…34万5,482(2021年1月1日現在)
 世帯数…15万7,957世帯(2021年1月1日現在)

越谷では、地域を盛り上げる花火大会などのイベントも盛んで、夏に行われる南越谷阿波踊りは、多くの観光客でにぎわいます(コロナ禍で2020年、2021年は開催延期)。また、河川の多い越谷市は自然も豊富にあり、「しらこばと水上公園」には芝生広場やジョギングコース、バーベキュー広場などの憩いの場があります。

しらこばと水上公園

週末は、日光や鬼怒川などへ旅行にも電車で気軽に出かけられます。ファミリーにうれしいスポットが豊富なのが、東武伊勢崎線に暮らす魅力です。

また、都心アクセスの良い他沿線と比べ、地価がリーズナブルなことも東武伊勢崎線沿線の魅力です。2021年都道府県地価調査(7月1日時点の地価)によれば、1平方メートル当たりの平均価格は、草加市が14万500円、越谷市が13万2,500円。川口市は22万300円、戸田市は26万3,400円、朝霞市は22万2,000円となっており、埼玉県の他沿線と比べても地価が安く、住宅が求めやすくなっています。

そこで、草加市・越谷市の東武伊勢崎線沿線から、おすすめの街を紹介します。

都心アクセスが軽快、商業施設も充実の草加駅

草加駅は、草加市役所も立地する草加市の中心です。東武伊勢崎線の急行停車駅でもあり、2020年度の平均乗降人員は、6万8,850人です。草加駅の魅力は、都心アクセスの良さ。急行利用なら北千住駅まで2駅10分でアクセス可能です。5路線乗り入れるターミナル駅である北千住駅を経由し、大手町、銀座、上野といった都心部へとスムーズに行き来ができます。

草加駅前の商業施設

また、商業施設が充実しているのも草加駅の魅力です。駅前の「イトーヨーカドー草加店」や「草加ヴァリエ」をはじめ、「西友草加店」や「ダイエー草加店」など、スーパーや買い物施設がそろっています。駅周辺部は区画整理された街区で、マンションやビルなどが混在しています。

草加駅周辺では、中古マンションの流通が活発です。駅まで徒歩圏の70平方メートル前後の3LDKタイプの物件が3,000万円台から4,000万円台程度で購入可能。ファミリー層でも十分手に届く価格帯です。また、新築戸建てはバス便エリアの供給が中心で、3,000万円台から4,000万円台中心に分譲されています。

駅周辺部は、市街化が進んでいることから新規の分譲はマンション、戸建てともに限られています。駅へのアクセスの良い場所は、中古も視野に検討することをおすすめします。

松原団地再生で魅力がアップした獨協大学前駅

獨協大学前駅の西口にあった草加松原団地は、1962年から日本住宅公団(当時。現UR都市機構)によって造られた総戸数6,000戸弱に及ぶマンモス団地でした。現在は建て替えが進み、約3,000戸のUR賃貸住宅コンフォール松原と分譲マンションに再生。芝生広場が広がり、敷地面積約2万平方メートルにおよぶ松原団地記念公園も整備されました。

松原団地記念公園

歴史ある住宅街であるため、幼稚園や小・中学校といった教育施設や医療施設が整い、駅前には商業施設などの生活関連施設が充実しています。駅前には草加市立中央図書館が立地。駅から徒歩約5分の場所には、駅名にもなっている獨協大学があります。松原団地の誕生間もない1964年に開学し、約12万平方メートルのキャンパスが広がります。

獨協大学前駅の街並み
獨協大学前駅周辺の分譲マンション街区

獨協大学前駅では、草加松原団地の建て替えの一環で、分譲マンションの供給が活発です。新築マンションなら3LDKタイプが4,000万円台中心で分譲されています。中古マンションなら3LDKタイプが3,000万円台で手が届きます。急行停車駅の草加駅まで1駅2分でアクセスできるので、都心への通勤も便利です。

大型商業施設も生活圏、ターミナル駅の新越谷駅

新越谷駅は、JR武蔵野線南越谷駅と乗り換えができるターミナル駅です。2020年度の1日当たりの乗降人数は、11万2,019人。東武伊勢崎線で北千住に次ぐ2番目に多い乗降人数です。草加駅と同じく、新越谷駅も急行停車駅であり、北千住駅まで3駅約15分でアクセス可能。さらに首都圏を環状で結ぶJR武蔵野線も利用できます。

新越谷駅東口

新越谷駅に直結した駅ビル「新越谷ヴァリエには、多彩なショップが入り駅周辺にもスーパーなどが点在。獨協医科大学埼玉医療センターなどの医療施設も駅周辺にそろっています。新越谷の魅力は、JR武蔵野線利用で1駅の越谷レイクタウン駅が生活圏であること。直線距離でも3キロメートル圏で気軽に行ける近さ。駅前に大型商業施設「イオンレイクタウン」が立地し、スーパーや専門店、アウトレットモールなどで多彩な買い物が楽しめます。

イオンレイクタウンの空撮

ターミナル駅でかつ生活利便性も高いということもあり、中古マンション相場は駅徒歩圏の3LDKタイプで4,000万円前後。新築戸建ては、駅徒歩圏では5,000万円台となっています。

東武伊勢崎線沿線の街には荒川や綾瀬川などの河川があり、場所によっては一定の浸水リスクがあります。ハザードマップで事前に確認すべきポイントです。

東武伊勢崎線は、沿線の複々線化や高架化の取り組み、ほかの鉄道との相互直通運転などさまざまな取り組みで沿線の利便性向上に努めてきました。また、東京スカイツリー(R)の開業などもあり、浅草と日光・鬼怒川を結ぶ観光資源も豊富にある沿線です。ライフスタイルが多様化する中で通勤アクセスの良い生活利便性の高い街にリーズナブルに住まいを手に入れられるのは大きな魅力。まずは沿線の街を訪ねてみてはいかがでしょうか。

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