「お金」は、当然ながら生きていくうえで必要不可欠です。ときには、誤った行動から苦労してしまうこともあるでしょう。お金に関する知識や判断力を高める教育については、小さい頃から向き合うことが大切です。今回は、子どもと楽しみながら学ぶお金教育について、具体的な方法を解説します。

お金教育は子どもの生きる力=「知恵」を育てるもの

好奇心旺盛な子どもだからこそ、お金にまつわる知識もどんどん吸収できるはず

近年、お小遣いの使い過ぎの防止や通学時の公共交通機関の利用を目的に、子どもへのお小遣いを電子マネーで与えているケースが多いといいます。さらに親がキャッシュレスで会計をする姿が影響しているのか、「おつり」の概念を知らない子どもが増えている… といった話題がSNSを中心に注目されました。

電子マネーの利用は利用状況の把握をはじめ、メリットは多くあります。ただ、お金の価値を知り、使い方を考えさせるためには現金を用いたお金の教育が欠かせません。

しかし、2014年に「金融経済教育を推進する研究会」が行った調査では中学1年生で74.2%、2年生で58.2%もの学校が、金融経済教育にかける時間が全くなかったことが明らかになっています。

学校の授業ではなかなか学べない「お金」の話。小さい子どもにお金の話をすることに抵抗を感じつつも、お金の教育は子どもが生きていくために欠かせない問題です。

なぜ子どものうちから、お金の教育が必要なのでしょうか。それは、子どものうちから身をもって学んでおけば、大人になってからも賢くお金と付き合えるようになる可能性が高いからです。例えば以下のような2人の子どもがいます。

・お小遣いがどこから出ているのか、使い切ればどうなるのかを理解していない子ども
・お小遣いは両親の労働によって得られるもので、使いすぎればなくなることを知っている子ども

このうち、自身の欲求をうまくコントロールできるのは後者の子どもと考えられます。後者の子どもは、普段の生活から「お金は無尽蔵に出てくるものではない」と実感しています。使えるお金には限度があると理解しているからこそ、本当に必要なものを買うために知恵をしぼります。自身で考え知恵をしぼる体験を積み重ねていけば、自然と欲求をコントロールする力も身に付くでしょう。

小さい子どもは好奇心旺盛。何に対しても「なぜ、どうして?」と問いかけてきます。何にでも興味がある時期なので、お小遣い帳や買い物を通じてお金の価値や役割をぐんぐん学ぶことができます。小さい頃からお金に関する知恵を養うことで、社会に出た際のお金の管理や用途の自制として役立つはずです。

お金教育はお金持ちになることを目指すものではない

お金の仕組みを理解することで、生きる力を育みます

お金教育と聞くと、「小さい頃から株式投資や資産運用について学び、お金持ちになることを目指すもの」と考えている人もいます。

株式や資産運用も教育の一部と考えられるかもしれませんが、もちろんそれだけではありません。言うなれば、お金教育は「世の中とお金の仕組みを理解し、生きる力を育む」ためのものです。

たとえば、スーパーでおやつを買うときには商品代金とあわせて消費税の支払いが必要ですよね。この消費税が、何に、どのように使われているのか。税金の使い道を教えることもお金教育のひとつです。

そして、それぞれのお金は、社会でどのように循環しているのか。お金と社会の仕組みを理解していけば、お金を使う行為は決して自分だけのものではないことに気付くはずです。

お金は自分だけではなく、使った先の人や社会に役に立つものでもある―。こうした価値観を自然と醸成するためには、子どもの頃から仕組みを理解させる必要があります。

「お金教育は資産を蓄えるためではなく、知恵を蓄えるもの」。そう考えると、小さな子どもにお金教育をすることにも抵抗がなくなるのではないでしょうか。

お金教育を始めるタイミングは子どもが興味を持ったとき

お金教育は親子間コミュニケーションにも役立ちます

教育と聞くと身構えてしまいがちですが、難しく考える必要はありません。

始めるタイミングの目安は
・買い物ごっこができる年齢
・「なぜ?どうして?」がよく出てくる時期
です。

わが家では、娘がスーパーで「お菓子を買って」とねだるようになった4歳ぐらいから、「お金がないとモノは買えない」という話を始めました。ただ、話すだけではうまく理解できません。

そこで、紙で100円や10円のお金を作り、家で買い物ごっこをして遊びました。始めはハンバーガーを1円で売っていたり、お釣りをもらうのを忘れていたり、なぜか売る側がお金を払っていることもあったりと、もうめちゃくちゃ。でも、それでいいのです。

この時期の子どもに教育と遊びの区別はありません。楽しみながら、モノやサービスを得るためにはお金が必要という概念を少しずつ理解していくことが大切です。

子どもによって買い物やお金に今日を持つ時期はバラバラなので、始める年齢に正解はありません。わが子の成長をよく観察して、好奇心の芽が出てきたタイミングを見逃さないようにしましょう。

今すぐできる! お金教育の具体的な方法

日常から取り組めるお金教育

お金や買い物に興味が出てくるようになったら、具体的な方法でお金教育を実践していきましょう。

 (1)お金の話を積極的にする

モノを買ったりサービスを利用したり、どこかへ出かけたり。あらゆる場面で出てくる「お金の話」は、家族間で包み隠さずに行います。そのなかで、「お金の役割」も教えていきましょう。

(2)お買い物ごっこでモノの売買を実践する

おもちゃのお金などを活用し、お買い物ごっこをしてモノの売買の仕組みを理解させましょう。

 (3)積極的におつかいに行かせる

親が見守りながら、実際にスーパーやコンビニでお金を使う体験を繰り返しましょう。

最初は自分のほしいお菓子などを予算の範囲で選ばせ、店員さんにお金を支払うところを後ろで見守ります。続いて自分のお財布から適した金額を取り出して支払う、最終的に近所のお店へのお買い物を頼む… といった具合に段階を踏まえていくのが大切です。

 (4)貯金箱を与える

未就学児の頃から貯金箱を使い、お金を貯める癖をつけることも大切です。目的を持って計画的に貯める癖をつければ、目先の欲求を抑える練習になります。貯まったお金の一部を募金や寄付するなどして、社会貢献への気持ちを育むのも良いですね。

(5)イベントを企画させる

・休日に家族で遊園地に行く
・友だちと映画を観に行く
・自分の誕生日会を開く
・父の日、母の日や敬老の日のプレゼントを買う

予算を与えて、上記のようなイベントを企画させてみましょう。遊園地であれば、遊園地に行くまでの交通費、入園料、昼食代。何にいくら必要かを計算し、予算内でどうやりくりするかを考えさせることで、お金を「使う力」につながります。

(6)お小遣い帳をつけさせる

お金の使い道を記録するお小遣い帳を与え、日常的に記入する癖をつけるのもおすすめです。

大人は家族の家計簿を付け、子どもはお小遣い帳を付けるようにして、親子で取り組んで収支報告会を開くと、遊び感覚で続けやすいです。お金の流れを見える化することで、自身の消費行動に向き合うきっかけにもなります。

お金教育に役立つサイト

楽しみながらお金教育を

お金教育では、各家庭でお金の話や役割を話すことが大切です。
とはいえ、子どもから「お金ってどうすれば増えるの?」「税金って何?」と質問攻めにあうと、うまく答えられないという人もいるでしょう。

ここでは、子どもと一緒にお金の知識や仕組みについて学べるサイトを紹介します。

にちぎんキッズ(日本銀行)

「お金って何?」という基本を、漫画でわかりやすく学べるコンテンツです。お金の基本からインフレとデフレ、銀行の仕組みといった難しい話まで説明されていて親子で学べます。

うんこお金ドリル(うんこドリル×金融庁)

未就学児から小学生まで大人気の勉強ドリル、「うんこドリル」シリーズと金融庁がコラボしたコンテンツです。子どもと一緒にゲーム感覚で学べ、子どもに親しみやすい「うんこ」がキャラクターになっているのがポイントです。

ファイナンスらんど(財務省)

日本の財政や税金の仕組みを、アニメやゲームで学べるコンテンツが詰まっています。アニメを見ると、「街の税金が不足しているから消防車を買えない」「小学校が建てられない」といったリアルな話が出てきます。税金によって街の安全や教育が成り立っていることがよくわかります。

みんなで話し合って街をつくろう!(国税庁)

街づくりのゲームを通じて、税金と社会の仕組みが理解できるようになっています。

実際にゲームをしていると、公園を一つ設置するのに2,000万円、図書館には6,000万円の予算が割り振られていることに気付きます。普段当たり前に使っている施設の設置・運営にかかるお金を遊びながら理解できます。

紹介したサイトは、あくまでお金の知識を身につけるためのツールです。なんとなくパソコンで流し読みさせるだけでは、お金に対して考え・賢く使う力は身に付けることは難しいでしょう。

大切なのは、学んだ内容を実際の行動に移すことです。行動が伴ってこそ、本当の意味での知恵が身に付きます。「頭ではわかっているんだけど…」で終わらないよう、学んだ内容を家庭内の遊びや会話でアウトプットしてみましょう。

まとめ

2022年から、高等学校の家庭科授業でもお金の教育が始まります。しかし、学校の授業で指導されるだけではまだまだ十分とは言えないでしょう。

なぜならお金教育の本質は、お金と賢く付き合う知恵・お金を使って生きる力を育むものだからです。高校生になってから急に知識を詰め込んでも、行動が伴わなければ意味がありません。

「なぜ、おもちゃを買うのにはお金が必要なんだろう」
純粋な欲求と好奇心に満ちあふれた幼少期こそ、知識と行動をセットで体得できる絶好のタイミングです。

高校生になったら授業で教えてもらえるから…ではなく、遊びと勉強の区別がない子どものうちから、お金教育を始めていきましょう。

※参考:文部科学省 学習指導要領「生きる力」高等学校家庭科指導資料

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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