台東区は東京23区のほぼ中心に位置し、西側に上野の森東側に隅田川に接する自然が豊かな場所です。区の面積は10.11キロ平方メートルで東京23区の中で最も小さな区です。千代田区と中央区に隣接し、職住近接ニーズの高まりもあり1996年頃から増加に転じた人口はこの15年で大きく伸びています。今回は、台東区の魅力と住宅事情を紹介します。

江戸時代から栄えた歴史と文化の街

台東区は、かつての江戸城の都市部と郊外部の境界部分に位置し、南側に武家屋敷、北側に上野の寛永寺や浅草の浅草寺などの寺社地や町人地があった歴史ある街。江戸城下で1657年に 起こった大規模な火災「明暦の大火」後の防災対策で、寺社が江戸城下から移転してきたこともあり、街なかには多くの神社や寺があります。

浅草の雷門

台東区は、上野の森がある武蔵野台地の東端と隅田川に臨む沖積低地から成り立ち、上野恩賜公園や隅田公園など自然が身近で憩いの場も多い区です。不忍池や隅田川などの景色は、歌川広重が描いた名所江戸百景など江戸時代の風景画にも描かれています。

【台東区のデータ】
区制施行日…1947年3月15日
総面積…10.11平方キロメートル
人口…20万3,894(2021年9月1日現在)
世帯数…12万4,143(2021年9月1日現在)

広域位置図(出典:台東区都市計画マスタープラン

台東区の統計情報によれば、2021年9月1日時点の台東区の総人口は、20万3,894。2006年9月1日の台東区の総人口は16万1,306で、この15年間で人口が5万人超も増えています。

上野駅

台東区は、1927年に上野―浅草間で東洋初となる地下鉄が開業するなど、都心と結ぶ交通網がいち早く整備されました。また、1923年の関東大震災以降に行われた帝都復興土地区画整理事業によって整備された街区が多くなっています。2000年代に入り、土地利用の比率において商業用地・工業用地が減少する一方で、住宅用土地利用の割合が増加。製造業や卸売業などの事業所が減少する半面、分譲マンションが数多く建てられ、人が流入しました。

広域ネットワーク図(出典:台東区都市計画マスタープラン

千代田区・中央区に隣接する台東区は、東京の北の玄関口として上野駅が発展したように、古くから交通の要衝として栄えてきました。JR東北新幹線をはじめJR山手線・東北本線・常磐線・総武線、東京メトロ銀座線・日比谷線、都営浅草線・大江戸線、京成本線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレス線と数多くの鉄道路線が台東区内と他地域を結んでいます。

2019年度の台東区民の意識調査によれば、台東区民の定住意向は79.3%(住み続けるつもり56.9%、できれば住み続けたい22.4%)。その理由として、「交通の便が良いから」が60.2%と最も高くなっています。

電車に加え、地域間の移動で活躍しているのがバスです。都営バスのほかに、台東区内を循環するコミュニティーバス「めぐりん」が運行。「北めぐりん(浅草回り)」「北めぐりん(根岸回り)」「南めぐりん」「東西めぐりん」「ぐるーりめぐりん」の5路線が台東区内の公益施設や医療施設などを結んでいます。料金は大人・子どもとも100円で、大人1人につき同伴した幼児は2人まで無料です。

また、定住意向の理由として「下町特有の人情味豊かな街が好きだから」が18.2%、「文化施設や教育施設などの公共施設に恵まれているから」が14.8%あります。
祭りなど寺社を中心とした歴史的な行事も多い台東区。多くの露天商が出店する祭りは、みこしの渡御など地域の人でにぎわいます。上野恩賜公園には、上野動物園のほか国立西洋博物館、東京都美術館、上野の森美術館、東京文化会館、国立科学博物館、東京国立博物館といった文化・芸術施設が集積しています。コンパクトな台東区ならではの、下町情緒を感じつつ文化・芸術・歴史に身近に触れる機会がたくさんあります。

国立西洋美術館

戦後の一時期に35万を超える人口を有した台東区は、商店街などにぎわいのある場が各所にあります。JR山手線の高架下などに広がるアメ横(アメヤ横丁)、観光客中心ににぎわう仲見世商店街・新仲見世商店街、食に関連する商店が集まるかっぱ橋道具街など、個性的な商店街も目立ちます。
上野松坂屋など歴史ある百貨店もあり、買い物施設が充実。居住人口が増える中で、近年はスーパーなどの出店も目立ちます。

アメ横

浅草寺や上野公園などの観光資源が多いこともあり、近年はホテルの建設も目立ってきています。また、倉庫や古民家などを改装したカフェやワインの店なども誕生しています。こうした街の再生が進むのも、観光資源が豊富で人口増加が進む台東区のポテンシャルの高さでしょう。

新築・中古ともにマンションの価格は大きく上昇

都心近接で人口増加が続く台東区ですが、場所ごとに住宅事情は大きく異なります。不忍池のほとりで上野恩賜公園が身近な池之端は、台東区の高級住宅エリア。不忍通り沿いには超高層タワーマンションが相次いで建設され、地域のランドマークになっています。マンションの東向き住戸は、不忍池が眼下に広がり、桜並木など季節の風景が楽しめます。眺望の良い住戸は中古市場で人気があり、1億円を超える価格帯でも活発に取引されています。

不忍池と池之端のマンション群

上野や蔵前、浅草などは中規模マンションの供給が目立ちます。この15年間で人口が5万超増えているように、マンション供給も活発で中古マンションの選択肢も豊富にあります。新築マンション価格は、都心エリアの高騰の影響もあり、上野や浅草も上昇しています。また中古マンションも築浅の物件は人気があり、それなりの予算が必要になります。

続いて、台東区内のおすすめの街を3つ紹介します。

食・買い物・レジャーが三拍子そろう上野・御徒町界隈

台東区に暮らす魅力は、千代田区や中央区に隣り合う良好な都心アクセスです。その中でも、交通利便性が高いのが上野・御徒町です。JR山手線に加え、東京メトロ銀座線や日比谷線も利用可能。都営大江戸線の上野御徒町駅からは、新宿西口駅へも約17分でアクセスできます。また、京成上野駅からは、スカイライナーで成田空港へも直通。上野駅は、JR東北新幹線・北陸新幹線・上越新幹線も利用できるので、東北・北陸・上越方面への出張や旅行もしやすいです。

御徒町駅前のパンダ広場

また、買い物の利便性が高いのも上野・御徒町の魅力。上野広小路にある上野松坂屋や上野マルイなど多彩な商業施設が並びます。御徒町駅の多慶屋では、食料品から雑貨・衣料・家電製品までさまざまな商品がそろいます。さらに、魚介専門店の吉池や佐竹商店街などもあり、小売店には事欠きません。

さらに、宝石商など輸入業者の多い台東区の2018年の外国人居住者の割合は7.5%。東アジア、南アジアなどの出身者も多い多国籍な街だけに、和食や洋食に加え、インド料理や韓国料理、台湾料理など多彩なジャンルの飲食店が豊富にあります。上野恩賜公園が徒歩圏内で、上野動物園などのレジャースポットも充実。東京都美術館や国立西洋美術館も近隣あり、身近に芸術に触られる場所が数多くあります。街なかには、子どもが遊べる公園も点在します。

駅近の好立地は、ホテルや賃貸用住宅と用地取得で競合するため、新築マンション価格は単身向け1LDKタイプでも4,000万円を超えるなど相応の設定になっています。ファミリー向けのマンションなら7,000万円ぐらいの予算は必要です。築年数の浅い中古マンションストックもあるエリアなので、中古と新築を両にらみで検討する人も多いようです。

買い物も便利な銀座線始発駅の浅草

台東区の中で、世界的にも有名な街と言えば浅草でしょう。2018年国・地域別外国人旅行者行動特性調査報告書(東京都)によれば、外国人が訪問した場所で浅草は、新宿・大久保、銀座に次ぐ3位にランクインしています。そうした背景もあり、近年は多くのホテルが浅草エリアに建設されました。

国際通り沿いの浅草ROX

そうした中、浅草は居住エリアとしても注目されています。大きな魅力の一つが都心へのフットワークの良さ。東京メトロ銀座線に加え、都営浅草線、つくばエクスプレス線も利用できます。なかでも東京メトロ銀座線の浅草駅は、始発駅なので通勤時でも座って移動できる可能性が高いでしょう。

浅草駅前

新仲見世通りなどの商店街はもちろんのこと、東武伊勢崎線浅草駅直結の松屋浅草や国際通り沿いの浅草ROXなど多彩な商業施設が立地。西友やマルエツ、オオゼキといったスーパーも点在し、日常的な買い物も不自由なく済ませられます。さらに、老舗の和食やレストランなど歴史ある街ならではの食事処(どころ)も豊富にあります。さらに、三社祭、隅田川花火大会、浅草サンバカーニバルといった季節のイベントも豊富。伝統行事を身近な場所で体験できるのも浅草ならではです。

浅草エリアのマンション供給は、中心市街地からやや離れた奥浅草と呼ばれるエリアが活発です。交通アクセスの良い場所ということもあり、1LDKタイプから3LDKタイプまでさまざまなマンションが供給されています。浅草エリアも価格は上昇傾向にあり、相場はコンパクトな1LDKタイプでも4,000万円以上が目安。ファミリータイプなら5,000万円を上回ります。中古マンションは、成熟した街だけに築年数も幅広く、価格帯もさまざまです。

朝顔市で知られる入谷は「かっぱ橋道具街」も生活圏

台東区の中でも、値ごろ感があるのが東京メトロ日比谷線の入谷駅周辺のマンションです。上野駅の隣で交通利便性が高く、昭和通りの両サイドにこれまでも数多くのマンションが分譲されてきました。

なお、入谷は「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2020」関東ランキングで5位にランクインしています。

関連記事:【本当に住みやすい街大賞2020】第5位 入谷:古き良き魅力とさらなる発展が予感される情緒豊かな下町

入谷朝顔まつり

駅周辺には、スーパーやコンビニエンスストアなど買い物施設が点在。駅前には商店街もあり、「かっぱ橋道具街」も生活圏です。観光客向けではない地域に根差した店が多いのもこの街の魅力。入谷にも多くの神社や寺があり、真源寺(入谷鬼子母神=いりやきしもじん)では「入谷朝顔まつり(朝顔市)」が行われ、開催時期の7月には朝顔の鉢植えを求めて多くの人が訪れます。また、鷲(おおとり)神社で行われる開運や商売繁昌を祈る「酉(とり)の市」は、初冬の風物詩。熊手を売る店や露店も数多く出て、多くの人でにぎわいます。

「酉の市」が行われる鷲神社

マンション供給は、小・中規模な物件が多くコンパクトな1Kタイプから2LDKタイプが目立ちます。価格は1Kタイプで2,000万円台後半から、1LDKタイプで3,000万円台前半からと、都心アクセスが良好な割には手が届きやすくなっています。

自然、芸術、買い物、食事と魅力が豊富な台東区ですが、隅田川が近いこともあり水害リスクには注意が必要です。地震による建物倒壊危険度が高い地域もあり、ハザードマップや東京都が公開している「地震に関する地域危険度測定調査」などをよく確認しましょう。それでも多くの人を引き付けるのは、交通利便性の高さだけでなく、街に多様性があり暮らしの楽しみが豊富だから。台東区は、充実したライフスタイルを求める人におすすめしたい街です。

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