名前はよく耳にする「漆喰」。蔵などによく見られる建築材料ですが、実は家にも使うことができます。戦後の住宅需要の拡大や工期短縮の影響により使われることが少なくなりましたが、最近になって再び漆喰が注目されつつあるようです。壁紙にない漆喰ならではの魅力とはどのようなものでしょうか。本記事では漆喰壁のメリットやデメリットなどを紹介します。

漆喰とは

漆喰とは、壁や天井などに使用される塗料の一種で、石灰石を焼いて水を加えた「消石灰」を原料とした塗り壁材のこと。石灰石とは炭酸カルシウムで構成される方解石と呼ばれる鉱物からできた岩石。日本の石灰石は2〜3億年ほど前のサンゴ礁が結晶化したものだといわれています。

建築材料としての漆喰が日本に伝来したのは飛鳥時代といわれています。以来、神社仏閣や城壁の壁などに使われてきました。いわゆる本漆喰のほか、土佐漆喰(高知県)、ムチ漆喰(沖縄県)など、地域独自に発展したものもあります。

本漆喰は、塩で焼いた消石灰、海藻のりなどが原材料です。土佐漆喰は、やや黄味を帯びているのが特徴で、のりを入れないことから、水に強く耐久性に優れています。ムチ漆喰にものりが入りません。台風で瓦が飛ばされないよう固定する屋根漆喰としてよく使用されています。

漆喰と聞くと蔵や城のイメージが強く、「白いのっぺりした壁」という印象を持っている人もいるかもしれません。ところが、デザインは意外と豊富です。

その美しさや機能性の高さから、伝統的な工法で造られる建築物だけでなく、現代建築において見直され、住宅を含むさまざまな建物に用いられています。現代の住宅が高気密・高断熱化している中、手仕事特有のぬくもりが感じられる自然素材としても魅力的です。

黒漆喰にも注目

最近では顔料を混ぜない白漆喰だけでなく、黒い漆喰も注目を集めているようです。

富山県高岡市にある黒漆喰の壁をあしらった土蔵造りの街並み

例えば、黒漆喰をマイホームに取り入れるメリットは、何と言ってもその深みのある美しさを間近で堪能できる点にあります。かつて富の象徴とも言われた黒漆喰を所有することは、オーナーにとって大きな喜びとなるはずです。

その反面、黒漆喰の磨き仕上げは左官仕事のなかでは最も難易度が高いとされ、ムラなく仕上げるためには高度な技術が求められます。そのため、一般的な漆喰に比べてコストがかさむのは覚えておきたいところですね。

漆喰のメリット・デメリット

漆喰の特徴をメリットとデメリットに分けてチェックしていきましょう。漆喰はデザイン性に優れ、日本の気候にも合っていますが、デメリットもないわけではありません。

漆喰のメリット

まずは漆喰のメリットをチェックしてみましょう。

・調湿機能と不燃性能
漆喰は室内の温度が高いときは水分を吸収し、乾燥しているときは水分を放出する調湿機能を持ちます。また、燃えにくい素材(※)でできていて、万一、火災にあった場合でも有害ガスが発生しにくい点も魅力です。古くから城や蔵などの建造物に使用されている理由は、その耐火性が理由にあると言えるでしょう。
※ただし、不燃認定が確保できているかどうか、不燃になる条件については、商品説明をよく確認しましょう

・自然素材ならではの安全性
子どものいる家庭では、アレルギーが心配事の一つになりがちです。漆喰はアレルギーの一因となるホルムアルデヒドなどの有害物質をほとんど発散させないため、シックハウス症候群を誘発しないと言われています。

・見た目の美しさとオリジナル性
漆喰が古くから現代まで愛される理由の一つが見た目の美しさです。コテの跡を残さない仕上げやコテのあとを残すコテ波など、手仕事独特のぬくもりを感じられる多様なデザインを実現できます。国宝姫路城の見事な城壁を思い浮かべると、漆喰の美しさがよく分かると思います。

漆喰のデメリット

メリットが多い漆喰ですが、デメリットもあります。漆喰を選ぶ前にしっかりと把握しておきましょう。

・ひび割れリスク
漆喰はひび割れに弱い素材です。施工の際の下地がしっかりしていない場合や地震が発生した場合など、ひび割れが発生するリスクがあります。ただし、補修することは可能です。

・コストの高さ
「何よりも値段を重視したい」という人に漆喰は向いていません。ただし、初期費用はかかるかもしれませんが、長い目でみるとコストパフォーマンスがいい場合もあります。

漆喰壁を施工できる職人さんの数は限られています。そのため、地域によっては高い技術を有した職人さんを確保できない可能性もあります。

DIYで漆喰を楽しむ方法

工務店の助けを借りて漆喰のDIYにチャレンジ

新築時で漆喰の導入を検討している場合には、家族や友人同士で漆喰をDIYするイベントを開催すると、より家に親しみが持てるでしょう。

ただし、DIYといっても、すべて自分で作業するのはおすすめできません。下地などの条件が漆喰を使用する環境によって異なるため、工務店監修のもとで作業するのがベター。具体的には、養生や下塗りは工務店に任せ、上塗りだけDIYするのが良さそうです。素材選定や施工方法については、工務店による工程の都合も踏まえながら、よく相談したうえで決定しましょう。

漆喰デザインのいろいろ

漆喰の塗り方は、コテの跡の付け方によってさまざまな名前が付けられています。一般的なコテ波仕上げのほか、はけ挽き仕上げ、扇仕上げなどの塗り方があります。

コテ波仕上げの一例

コテでの施工以外にも、スポンジ仕上げやゴム手袋仕上げなども選択可能です。壁紙と違い手作業で行うので型もパターン化しないのがおもしろいところです。

はけ挽き仕上げの一例

色も真っ白よりも少し黄色が入ったミルキーな色であれば、あらゆるインテリアのテイストに合わせやすいでしょう。漆喰は天井に塗ることも可能です。

扇仕上げの一例

まとめ

漆喰は機能性とデザイン性に優れた伝統的な壁材です。色や模様によっては、独自性の高い壁に仕上げることもできます。一部の工程をDIYするのもおすすめです。工務店の助けも借りながら、新築の記念としてぜひ挑戦してみてください。

【監修】
植松千明さん(建築家/一級建築士/植松千明建築事務所 代表/CASBEE評価員/福祉住環境コーディネーター2級)
http://chiakiuematsu.com/

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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