マイホームでは、住む期間に応じた維持費(メンテナンス費用)がかかります。戸建てであれば自分で計画的に積み立てる必要がありますが、マンションの場合は管理組合に費用を預ける形になります。管理組合では、共用部分の大規模な修繕を定期的に行えるように、毎月徴収した費用を積み立てていきます。それが修繕積立金です。

マンションを購入して、住宅ローンを毎月返済し続けるのと合わせて、管理費や修繕積立金を負担していくので、家計に無理がないかあらかじめ確認しておく必要があります。では、どの程度の費用になるのか、それぞれ目安はあるのでしょうか?

管理費の目安は首都圏で戸当たり1.2万円程度

管理費は、管理員の人件費や共用部分の清掃費用、植栽費用、法定点検費用などに充当されます。実際に管理費の額に最も影響を与えるのが、管理員の勤務時間でしょう。24時間常駐(夜間は警備員の場合あり)なのか、日勤なのか、週に数日勤務するだけなのかなどによって、その費用が大きく変わります。

その目安を平均額で見ると、国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」では、全国平均で戸当たり1万862円(平方メートル当たり147円)となっています。ただし、単棟型は1万970円(平方メートル当たり148円)、団地型(同じ敷地内に複数棟のマンションがあるもの)は1万419円(平方メートル当たり141円)と、一般的な1棟型のマンションの管理費のほうが高くなっています。

管理費の平均額はエリア別で見ると首都圏が最も高くなり、その平均額は1万2,275円(平方メートル当たり179円)となります。この額を東日本不動産流通機構(以下、東日本レインズ)の「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2020年度)」の額と比べると、首都圏の平均額は1万2,480円(平方メートル当たり191円)とほぼ同額になります。首都圏の管理費は、戸当たりで1万2000円台というのが目安になるでしょう。

管理費は、いずれの調査でもマンションの総戸数が少ない場合(マンション総合調査では20戸未満、東日本レインズの調査では50戸未満)と逆に大規模な場合(マンション総合調査では301戸以上、東日本レインズの調査では200戸以上)で高くなります。これは戸数が少ない場合は1戸当たりの負担が大きくなること、大規模マンションでは共用施設・設備が増えることなどが要因です。

修繕積立金はどうやって算出する?

管理費よりもその額に違いが出るのが、修繕積立金です。修繕積立金は、共用施設である建物や設備のメンテナンスにかかる費用を全戸で負担するように積み立てるものです。

そのためには、メンテナンス費用がいくらかかりそうかを試算しておく必要があり、それが「長期修繕計画」です。原則として、長期修繕計画に基づく修繕が行えるように、計算上の必要額を全戸で月々積み立てることになります。

ところが、話はそう簡単ではありません。
長期修繕計画を立てることと、修繕積立金の額を設定することが、必ずしもリンクしない時代があったのです。修繕積立金の設定方法が特に決まっていなかったので、新築分譲時には、住宅ローンの返済を続けても無理がない額になるように、修繕積立金の額を抑えて設定するといったことが行われていました。

実際、筆者が住む2000年築のマンションでは、管理組合の総会の資料として添付された長期修繕計画と修繕積立金総額の推移グラフを見ると、明らかに第2回の大規模修繕工事で費用が不足する予定になっていました。そのため、管理組合で修繕積立金の費用を値上げする決議をしました。

修繕積立金が不足したままで適切に修繕工事が行われないと、マンションは劣化してしまいます。国土交通省では2005年に「マンション管理標準指針」を策定し、中古マンションは25年以上、新築マンションは30年以上の長期修繕計画を立て、その必要額を負担割合に応じた修繕積立金の額に設定するようにと示しています。また、5年を目安に長期修繕計画を見直すことも求めています。

そして、2008年には「長期修繕計画作成ガイドライン」が策定されました。今では、このガイドラインに沿った長期修繕計画が立てられ、必要額が積み立てられるように修繕積立金の額が設定されています。

ただし最近の新築マンションでは、同じ額をずっと積み立てる「均等積立方式」ではなく、当初の金額を抑えて段階的に額を引き上げる「段階増額積立方式」を採用する事例が増えています。そのため、最近分譲したマンションの修繕積立金が低額になることがありますが、最終的には値上げが前提の金額ということを覚えておきましょう。

ちなみに、必要額を負担割合に応じて算出する場合、ほとんどのマンションで「1平方メートル当たり」で割り出す形になっています。つまり、同じマンションの1戸でも60平方メートルと80平方メートルでは、管理費や修繕積立金の額が異なるというわけです。

修繕積立金の目安は機械式駐車場の有無で大きく変わる

では、修繕積立金の目安はいくらぐらいでしょう。管理費と同じように調査結果で平均額を見ていきましょう。

前出の「平成30年度マンション総合調査結果」では、全国の平均額が戸当たり1万1,243円(平方メートル当たり164円)、単棟型で戸当たり1万1,060円(平方メートル当たり151円)、団地型で 1万2,152円(平方メートル当たり227円)でした。

また、首都圏の平均額は戸当たり1万3,019円(平方メートル当たり196円)とやはりほかのエリアより高くなりました。一方、東日本レインズの調査では、首都圏の平均額が1万1,071円(平方メートル当たり169円)ですから、マンション総合調査よりも低い平均額になっています。

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」より作成 ※管理費および現在の修繕積立金の額には、使用料・専用使用料からの充当額を除く
出典:東日本レインズ「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2020年度)」より作成 ※管理費・修繕積立金は、2020年度に東日本レインズを通して成約した首都圏中古マンション

実は、修繕積立金の額については、国土交通省が2011年に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を策定しています。

このガイドラインは、新築マンションの購入予定者が購入予定マンションの修繕積立金の額の妥当性を見る目安とするものです。実際に長期修繕計画作成ガイドラインに沿って計画された修繕積立金の事例を分析して、均等積立方式で算出した額を示して目安とするという考え方をしています。事例のばらつきが大きいため、「平均値」とともに「事例の3分の2が包含される幅」を併せて示しています。

また、マンションに機械式駐車場がある場合は、機械式駐車場の修繕工事費がかなり高くなるので、その有無によって修繕積立金の額が変わります。そのためガイドラインでは、機械式駐車場の1台当たりの修繕工事費を算出した額を、修繕積立金の額の目安に加算する方法を取っています。

計算方法が少し難しいので、新築マンションを購入する予定があれば、販売員にガイドラインの目安額の範囲か、範囲外であればその要因は何かなどを確認したほうが早いと思います。その際には、均等積立方式かどうかも忘れずに確認しましょう。

マンションを買うときには忘れずに修繕積立金の確認を

さて、管理費や修繕積立金の目安を紹介してきましたが、重要なのは修繕積立金です。積立金が潤沢に蓄えられていれば、例えばオートロックのない古いマンションでも、後付けすることができます。逆に、積立金が不足していれば必要な修繕ができずに、建物や設備に不具合のあるまま使い続けなければならなくなります。

毎月払っていくものなので、低額なほどありがたいと思いがちですが、妥当な額を積み立てていることがとても重要です。きちんと確認しないと、中古マンションを買ってすぐに、不足する修繕工事費用を補うために全戸で数百万の「修繕一時金」を集める、という決議が行われる可能性もあるのです。

そのためには、長期修繕計画がガイドラインに沿って立てられ、計画通りの額で修繕積立金が集められているか、今後修繕積立金に値上げの予定はないかなど、仕組みをきちんと理解して、買うべきマンションかどうかを見極めることが大切です。

執筆者:山本 久美子(住宅ジャーナリスト)

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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