どの動物まで飼える? マンションの「ペット相談」と「ペット可」の違い

ペットを家族として迎え入れる家庭が増えています。マンションを借りたり、購入したりする際に、念願だったペットとの暮らしを始めたいと考える人も多いようです。マンションの中には「ペット相談」「ペット可」と表記されている物件があります。本記事では、それらのマンションについて、実際どのようなペットをどれだけ飼えるのかを紹介します。

ペットを認めているマンションはまだまだ少数

マンションは多数の世帯が共同で生活する建物です。ペットを飼いたい住人もいれば、ペットを飼ってほしくないという住人もいます。近年のペットブームの影響で、ペットを飼えるマンションが増えているものの、現状では管理規約にペット不可を明記しているところが多数を占めています。

「分譲マンションは賃貸と異なり所有権があるので、専有部分で飼うのは可能なのでは?」と思われるかもしれませんが、それは誤解です。分譲マンションの1戸を購入した場合は区分所有者になり、区分所有法によってそのマンションの管理組合員になることが義務付けられています。

組合員は、マンションの法律ともいうべき管理規約を遵守しなければなりません。したがって、管理規約にペット飼育不可と記載されている場合は、無視することはできないのです。実際に管理規約の有効性が裁判で争われたケースもありますが、判決では「ペット飼育不可」の有効性が認められました。

「ペット相談」と「ペット可」の違い

「ペット可」なら中型犬までは認められることが多い

ペットの飼育が認められているマンションでも、その表記は「ペット相談可」「ペット応相談」「ペット可」などさまざまです。このように記載されているからといって、どんなペットでも好きなように飼えるわけではありません。以下に、それぞれのケースについて考察します。

「ペット可」の場合

「ペット可」と表記されているマンションは、一定の条件の下でペットの飼育が認められているマンションということができます。「一定の条件」は物件によって多少異なりますが、おおよそ以下のようになります。

・犬

犬の場合は、一般的に超小型犬、小型犬、中型犬までなら認められています。

超小型犬は、チワワやトイプードルなど成犬体重が4キログラム未満の小柄なサイズの犬種です。小型犬は、柴犬やパグ、シーズーなど成犬体重が10キログラム未満の犬種で、室内犬として人気があります。成犬体重25キログラム未満の中型犬にはボーダーコリー、ブルドッグ、スタンダードダックスフンドなど、特徴ある容姿の犬種が含まれます。

・猫

サイズが超小型犬程度の猫は、散歩が不要などの扱いやすさもあって、ペットとして人気が高まっています。成猫になると寝ていることが多く、鳴き声もあまり出さないので飼育が認められている場合が多いようです。

一方で、「爪とぎ」の習慣があり、室内を傷めやすいという理由で飼育不可となっている物件もあります。

・2匹以上の多頭飼い

また、犬、猫ともに飼育可であっても、2匹以上の多頭飼いは不可としているところが多いようです。多頭飼いの場合や、成犬体重25キログラム以上の秋田犬やゴールデンレトリバー、ダルメシアンなどの大型犬飼育を希望する場合は、事前に管理組合やオーナー(入居前であれば不動産会社)に相談するようにしましょう。

・そのほかの動物

ペットの中には犬や猫のほかにも、うさぎ、ハムスター、フェレット、爬虫類などケージで飼育できる小動物もいます。また、鳥類や金魚、熱帯魚などの魚類もペットになります。ケージ内飼育は可とする物件が多いものの、大きな鳴き声を発したり、臭いがきつかったりする場合は問題になることもあるため、事前に確認や相談をしたほうが良いでしょう。

「ペット相談」の場合

爪とぎの習慣のある猫は判断が分かれることも

それでは、「ペット相談可」「ペット応相談」の場合はどうでしょうか。これらの表記があるマンションは、オーナーや管理組合が総合的な判断をしてペット飼育の可否を決めている物件といえます。

賃貸アパート・マンションは、駅から遠く、築年数が古い物件は入居者不足に陥りやすく、「ペット応相談」として入居者を募るケースもあります。このような物件では、犬であれば小型犬まで、猫は爪とぎで室内を傷つけやすいため不可など、可否の基準はオーナーの考え方に依るところが大きくなります。

ただし、中型犬や大型犬であっても老犬の場合は走り回ったり吠えたりしないため、小型犬より近所迷惑になるリスクは少ないと判断される可能性もあります。また、爪とぎ対策を施すことによって、猫が認められることもあるでしょう。

入居後のトラブルを避けるためにも、まずは、事前にきちんとオーナーに説明し、許可を得ることが必要です。

「ペット共生型」マンションという選択も

ドッグランが付属している「ペット共生型マンション」もある

ペットと気兼ねなく暮らしたい人や、大型犬を飼いたい、2匹以上の動物を飼いたいという人には、「ペット共生型」のマンションという選択肢もあります。

ペット共生型マンションは、ペットと一緒に暮らすことを前提に設計されています。「ペット相談可」のマンションでペットを飼う場合は、ペットを飼っていない住人への配慮や気遣いが必要です。

しかし、ペット共生型マンションの住人は、ペットを飼っている人やこれから飼おうとしている人など、総じて動物好きな人たちです。ペットを飼っていることで肩身の狭い思いをすることなく、安心して暮らせます。

また、共用部分に犬用の足洗い場や、汚物ダスト、ドッグラン、グルーミングルームなどの設備がある物件もあります。室内には猫用のキャットウォークや、傷がつきにくく防臭効果のある壁クロスや床材が採用されるなど、住人とペットが快適に暮らせるように配慮されています。

ペットと暮らしたい人にとっては理想的といえるペット共生型マンションですが、残念ながらまだまだ物件数が少ないのが現状です。

まとめ

ペットとの暮らしを希望する人が増えている一方、ペット飼育が認められているマンションはそれほど多くありません。「ペット相談」の表記があるマンションでも、飼育できるかどうかはオーナーや管理会社の個別判断に委ねられるので、まずは相談することが必要です。

どうしてもペットとの暮らしを優先したい場合は、ペット共生型マンションを選択するという手もあります。ペットとの暮らしをストレスなく楽しむために、物件探しは慎重に行いましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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