24時間換気システムはつけっぱなしが基本? 電気代はいくらかかっているのか

近年建てられた住宅では、24時間換気システムが設置されています。24時間換気システムを使用すると、電気代が高くなるのではないかと気になる人もいるでしょう。

今回は、24時間換気システムや換気扇の電気代がいくらかかるかを解説します。あわせて、24時間換気を行うメリットについても説明します。

24時間換気システムはつけっぱなしが基本?

24時間換気システムはつけっぱなしにするのが基本です。そのため、電気代は毎月ほぼ固定でかかることになります。ここでは、24時間換気システムが必要な理由、24時間つけっぱなしにした場合の電気代の計算方法を解説します。

24時間換気システムは必要?

新しく建てられた住居には、24時間換気システムが完備されています。建築基準法が2003年に改正され、新しく建てる住宅に対して24時間換気システムの設置が義務付けられたからです。

伝統的な日本の住宅は窓が多く換気がしやすくなっていましたが、近年は高気密や高断熱の住宅が増えています。高気密化や高断熱化が進んだのは、住宅の内部が外気温の影響を受けないようにするためです。

高気密・高断熱の住宅は換気設備による換気を行わないと、シックハウス症候群による健康被害を発生させる可能性があります。シックハウス症候群とは、建物の建材などから発生する化学物質、カビやダニなどによる室内の空気汚染が原因で起こる健康被害のことです。頭痛やめまい、咳、鼻水、涙目などの症状を引き起こします。そのため、24時間換気システムは、安心して暮らすために重要な設備です。

24時間換気システムの電気代は?

24時間換気システムの消費電力は、実際に設置している機種によって異なります。消費電力は「弱」で最大70W程度、「強」で最大120Wくらいです。

東京電力の電力量料金を参考に料金単価を26円/kWhとし、1ヶ月の電気代を計算してみましょう。70Wなら「70W(0.07kW)×24h×30日×26円/kWh=1,310.4円」となります。一方、120Wなら「120W(0.12kW)×24h×30日×26円/kWh=2,246.4円」です。

24時間換気システムを365日ずっとつけっぱなしにすれば、70Wで約1万6,000円、120Wで約2万7,000円になります。

換気扇をつけっぱなしにした場合の電気代は?

24時間換気システムだけでなく、キッチンや浴室、トイレなどの水回りに設置されている換気扇についても電気代が気になるところです。換気扇をつけっぱなしにすると、電気代はいくらくらいになるのでしょうか。ここでは、それぞれの換気扇をつけっぱなしにした場合の電気代について解説します。

キッチンの換気扇

一般的に、キッチンの換気扇はレンジフードファンと呼ばれています。消費電力は30Wの機種が多いです。

電気料金が26円/kWhの場合、レンジフードファンを24時間つけっぱなしにすると、電気代は「30W(0.03kW)×24h×26円/kWh=18.72円」になります。

レンジフードファンを1ヶ月つけっぱなしにすれば、電気代は約561円です。1年つけっぱなしにすると、約6,833円の電気代がかかります。

浴室の換気扇

浴室に設置されている換気扇の消費電力は、20W程度です。電気料金が26円/kWhの場合に浴室の換気扇を24時間つけっぱなしにすると、電気代は「20W(0.02kW)×24h×26円/kWh=12.48円」になります。

浴室の換気扇をずっとつけっぱなしにすれば、電気代は1ヶ月で約374円、1年で約4,555円です。ただし、暖房や乾燥の機能を頻繁に使用している場合は、電気代がさらに高くなる可能性があります。

トイレの換気扇

トイレに窓がない住宅では、換気扇を常時付けて換気しているケースも多いでしょう。トイレの換気扇は、キッチンや浴室よりも省電力です。消費電力はだいたい3Wくらいとなっています。

電気料金が26円/kWhである場合、トイレに付いている換気扇を24時間つけっぱなしにしても、電気代は「3W(0.003kW)×24h×26円/kWh=1.872円」と少額です。1ヶ月ずっとつけっぱなしにした場合も約56円しかかかりません。1年つけっぱなしにすると、約683円がかかります。

24時間換気をするメリット

家を長持ちさせるためにも、換気は重要な役割を果たします

24時間換気をすればさまざまなメリットがあります。ここでは、24時間換気の具体的なメリットについて確認しましょう。

カビや結露を防止する

24時間換気をすると、室内におけるカビや結露の発生を防止できます。室内の湿度が高いと、カビや結露が発生しやすくなります。十分に換気しなければ、空気の流れが悪くなり、結露が発生しやすくなるでしょう。

特に、キッチンや浴室などの水回りに加え、収納スペースは湿度が高くなりやすい傾向があります。カビや結露を発生させないためには、24時間換気がおすすめです。

不快な臭いが消える

換気のされていない部屋では臭いも気になるものです。24時間換気をしていると常に空気が循環するため、室内で発生しやすい不快な臭いも除去できます。

特に、玄関やトイレなどは不快な臭いが発生しやすい場所です。キッチン、浴室、洗面所など排水口がある場所も、臭いの発生源になる可能性があります。

臭いを取り除くためには、十分な換気が有効です。窓を開けてこまめに換気するのもひとつの手ですが、24時間換気を付けていれば、頻繁に窓を開けなくても快適な空間を維持できます。

家が長持ちする

家を長持ちさせるためにも、換気は重要な役割を果たします。日本の住宅の多くは木造のため、湿気がたまると壁、床、天井などにカビが発生するおそれがあります。必要以上に湿度が高くならないようにするには、換気により湿気を外に逃がさなければなりません。

24時間換気をすれば、室内に湿気をため込まずに済みます。室内の適度な湿度は60%未満が目安です。換気の効果を確認するには、湿度計を設置するとよいでしょう。

換気の効果を高めるには?

換気の効果を高めるためには、さまざまなポイントがあります。浴室を換気するときはドアを閉めるようにしましょう。湿気を一方向へ流せば、浴室の湿気がこもりにくくなります。

また、換気扇はこまめに掃除すると常に効果的に換気できるだけでなく、電気代の節約にもつながります。換気扇とエアコンを併用すればさらに換気の効果を高められるため、状況に応じて使い方を工夫しましょう。

まとめ

24時間換気システムは、基本的につけっぱなしにして使用しましょう。つけっぱなしにすればその分の電気代がかかるものの、シックハウス症候群を予防できたり、家を長持ちさせたりする効果を期待できます。

換気にはさまざまな役割があるため、24時間換気システムを活用して室内の空気をしっかり循環させられるようにしましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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