厚生労働省が公表している「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、2018年1月1日から12月31日の1世帯あたりの平均所得金額(※)は年間で552万3,000円となっています。このデータより、世帯年収が900万円であれば、全国平均よりも約350万円高いことがわかります。しかし、世帯年収が900万円でも家計が厳しいと感じている人も中にはいるようです。

今回は、世帯年収900万円の世帯における家計の状況や住宅ローン、貯金などについて解説します。

※「2019年 国民生活基礎調査の概況」における「所得」とは、税金や社会保険料を含む収入のことを示しています。

世帯年収900万円台の世帯は全国で何%くらい?

厚生労働省が3年ごとに行う大規模調査「国民生活基礎調査」の、2019年の統計を参考に見てみましょう。この調査の世帯年収は、2018年1月1日から12月31日までの税金や社会保険料を含む1年間の世帯年収を示しています。

「所得の分布状況」の項目に、100万円刻みで世帯年収の分布を表したグラフがあります。それによると、世帯年収900万円以上1,000万円未満、いわゆる世帯年収が900万円台の世帯は全体の4%です。世帯年収900万円未満の世帯が占める割合は全体の83.8%なので、世帯年収900万円以上の世帯は比較的裕福な世帯と見ることができるでしょう。

出典:2019 年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

世帯年収900万円の生活とは?

世帯年収が900万円あれば余裕のある生活が送れるのでしょうか。ここでは、世帯年収900万円の手取り額や家計の状況、貯金などについてさまざまなモデルケースを例に解説します。

世帯年収900万円で手取りはいくら?

年収とは、社会保険料や税金などが引かれていない総支給額のことを指します。同じ(世帯)年収であっても扶養家族が多ければ税金が安くなるため、手取り額は多くなります。

また、夫婦のどちらかの片働きで900万円の年収がある世帯と、夫婦共働きで年収の合計が900万円ある世帯とでは、差し引かれる税金の額も異なります。共働きのほうが一人あたりにかかる税金の税率が低いため、手取り額も多くなります。以下に、それぞれのケースで手取り額がどの程度違うのか見てみましょう。

【ケース1】
夫の年収が900万円(月額75万円)、東京都の会社に勤務し、年齢40歳、扶養家族1人の場合
→世帯の手取り額:年間714万8,580円、月額59万5,715円

【ケース2】
夫の年収が450万円(月額37万5,000円)、東京都在住、年齢40歳、扶養家族1人
妻の年収が450万円(月額37万5,000円)、東京都在住、年齢40歳、扶養家族0人
→夫の手取り額:年間371万5,668円、月額30万9,639円
→妻の手取り額:年間368万8,068円、月額30万7,339円
→世帯の手取り額:年間740万3,736円、月額61万6,978円

以上から、同じ世帯年収900万円でも、ケース1の片働きよりもケース2の共働きのほうが、年間の手取り額が25万円強多いことがわかります。

家計の状況は?

総務省統計局では社会の経済状況を把握するため、労働力や物価、家計の調査などを行ってきました。その調査をまとめた『日本の統計』の中にある「22-2 年間収入五分位階級別1世帯当たり1か月間の支出(二人以上の世帯)」では、世帯年収を五つの階級に分けて支出に関するデータを公表しています。

それによると、世帯年収900万円の世帯が属する階級は「845万円~」(年収845万円以上の世帯)です。これは最も世帯年収が高い階級になります。「845万円~」の二人以上世帯における1ヶ月あたりの支出を項目別にまとめました。

出典:第22章 家計|総務省統計局

1ヶ月の支出額の合計は約42万8,000円で、五つの階級では最も高くなっています。世帯年収が高いほど支出は多くなる傾向があります。

貯蓄や負債はどのくらい?

『日本の統計』の「22-7 年間収入五分位階級別貯蓄と負債の1世帯当たり現在高(二人以上の世帯)」では、片働き世帯や共働き世帯の勤労者世帯に絞って、貯蓄や負債についてのデータを公開しています。

こちらでは、五つの階級のうち、世帯年収900万円の世帯は「757~969万円」の階級に属します。統計によると、世帯年収「757~969万円」の階級では、預貯金、生命保険、有価証券などを含めた貯蓄残高は1,535万円、住宅ローンなどの負債は1,075万円が平均額です。

出典:第22章 家計|総務省統計局

世帯年収900万円で住宅ローンを組むなら?

世帯年収が900万円ある場合、住宅ローンはいくらまで借りられるのでしょうか。ここでは、住宅ローンの借入可能額、理想とする月々の返済額の目安について解説します。

借入可能額は?

住宅ローンの借入可能額は世帯年収だけでは決まらず、契約者の状況によって異なります。一般的には、年収、借り入れ時の年齢、ローン完済時の年齢、勤務年数、雇用形態などの条件によって借り入れられる上限額が決定します。

たとえば、【フラット35】で年収900万円の人が金利1.3%、返済期間35年で住宅ローンを組む場合、金融機関が定める条件を満たせば、最大8,000万円まで借りることが可能です。ただし、全国平均では年収の6~7倍を目安に借り入れる人が多い傾向があります。年収900万円なら、5,400~6,300万円が返済しやすい借入額の目安といえるでしょう。

毎月の返済額の目安

住宅ローンの返済額は、返済比率を重視し、金融機関で基準を設けていることがほとんどです。返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合を算出したもので、計算式は「年間返済額÷年収×100」となります。一般的には、30~35%が上限の目安です。たとえば、年収900万円の人が【フラット35】を利用し、5,000万円を借り入れたケースを考えてみましょう。

・借入額:5,000万円
・借入期間:35年
・金利:1.3%

上記のケースでは、毎月の返済額は14万9,000円、年間返済額は178万8,000円、返済比率は約19.9%となります。

世帯年収900万円でも不満な人が多い理由は?

世帯年収900万円は、全国の平均世帯年収552万3,000円からみても収入が多い世帯といえます。住宅ローンの借入上限額も高額に設定されるため、希望の金額を借りられる可能性が高いでしょう。

しかし、実際には世帯年収が900万円でも、不満を持つ人は少なくありません。その理由は、収入が多いほど税金が高くなるためです。税率は一律ではなく、収入が増えるほど税負担が重くなるため、世帯年収が900万円でも手取りは700万円台になってしまいます。

また、地域によっては子ども医療費や子ども手当の支給に保護者の所得制限を設けていることもあり、税金を多く納めているにもかかわらず手当が減ってしまうことも原因のようです。

まとめ

世帯年収が900万円あれば、余裕のある生活が送れる可能性があります。ただし、手取り額は家庭の状況によって異なるため、家計管理を行ううえでも手取り額が世帯でいくらになるのか確認してみることが大切です。また、世帯年収が多いほど税金が高く、支出も増える傾向があるため、家計管理はしっかり行う必要があります。住宅ローンも無理なく返済できるように、余裕を持った借入額を検討しましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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