世帯年収750万円は多い? 少ない? 住宅ローン利用は収入・支出の変化に注意

厚生労働省が公表している「2019年 国民生活基礎調査の概況」によれば、児童のいる世帯の収入は平均で745万9,000円です。つまり、世帯年収750万円なら、児童のいる世帯としては平均的だといえます。

子どもの教育費や住宅ローンをまかなう場合、世帯年収750万円は十分な金額なのでしょうか。今回は、世帯年収750万円の家計について解説します。教育費や住宅ローンに加えて老後資金についても触れますので、ぜひ参考にしてください。

出典:2019 年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

年収750万円と世帯年収750万円の違いとは?

世帯年収とは、世帯全員の年収をあわせた金額のことです。世帯主のみが働いていて750万円を得ているケースもあれば、世帯主とその配偶者の収入を合計して750万円になっているケースもあります。年収750万円はあくまで個人の年収を表しているのに対し、世帯年収750万円は同じ世帯の人の収入を合算した年収を示しています。

手取り額は、それぞれの収入、年齢、扶養家族の人数などによって変わります。世帯年収だけでなく、世帯としての手取り額が実際にいくらになるのか把握することが大切です。

ここでは、東京都の会社に勤務し、世帯主が40歳未満の男性である世帯について想定してみましょう。働いているのが世帯主のみで世帯年収750万円を得ている場合、月収は約62万5,000円です。扶養家族が妻だけだとすると、世帯年収の手取り額は約608万円になります。

一方、世帯主の年収が650万円、妻の年収が100万円であるケースについても考えてみます。世帯主の年収のみで考えると、月収は約54万円、年収の手取り額は約534万円です。この場合、妻は夫の扶養家族となり税金や社会保険料がかからないため、世帯年収の手取り額は約634万円になります。

世帯年収750万円は多い? 少ない?

厚生労働省が2020年7月17日付で公表した「2019年 国民生活基礎調査の概況」によれば、2018年の世帯年収の平均は552万3,000円でした。高齢者世帯以外の世帯は659万3,000円、児童のいる世帯は745万9,000円です。

この結果を踏まえると、全体的にみれば世帯年収750万円は高い水準にあるといえます。ただし、児童のいる世帯のみで考えると平均的です。

なお、世帯主の年齢ごとの世帯年収の平均をみると、世帯主が50~59歳の世帯年収の平均は756万円で、全年齢のなかで最も高くなっています。50歳未満で世帯年収が750万円程度であれば、年齢から考えて世帯年収が高めだと判断できます。

出典:2019 年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

世帯年収750万円で住宅ローンを借りるなら?

世帯年収750万円の場合、住宅ローンはいくらまで借りられるのでしょうか。住宅ローンを組むときには、注意すべきこともあります。ここでは、住宅ローンで借りられる金額の目安や注意点について解説します。

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いくらまで借りられる?

【フラット35】は、各金融機関が住宅金融支援機構と協力して提供している住宅ローンです。【フラット35】を利用して金利1.3%、返済期間35年で住宅ローンを借りることを想定すると、年収750万円の場合の借入限度額はシミュレーション上は7,378万円となります。

ただし、住宅ローンを組むときは、年収の6~7倍程度の金額に抑えるのが一般的です。そのため、年収750万円なら、実際には4,500~5,250万円程度が返済しやすい借入額の目安といえるでしょう。

住宅ローンを組むときの年収倍率は、エリアによっても差があります。地方に比べると、大都市圏では住宅ローンの年収倍率が高めです。エリアごとに住宅を購入する際の事情は異なるため、世帯年収とともに地域性を考慮しながら最適な借入額を検討しましょう。

出典:2020年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構

今後の収入の変化に注意

世帯年収が高めであっても、働き手の年齢によってスムーズに返済できる住宅ローンの金額は異なります。若いうちに住宅ローンを組むと、30年以上の返済期間を確保することが可能です。その場合、毎月の返済の負担を低く抑えられます。住宅の購入を希望している世帯では、なるべく早いうちから検討し始めるべきです。

ただし、長期間かけて住宅ローンを返済するうえでは、将来的な収入の変化に注意する必要があります。住宅ローンの契約時には年収が高くても、後から年収が下がる恐れもないとはいえません。何らかの理由により退職すれば、毎月の返済が滞るリスクもあります。住宅ローンを借りるときは、さまざまな状況を想定したうえで借入額に余裕をもつことが大切です。

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住宅ローン以外の大きな出費にも注意

子どもがいる場合は教育費がかかるため、コツコツ貯蓄する必要があります。また、夫婦の年齢が上がってくると、老後資金の心配も出てきます。ここでは、住宅ローン以外の大きな出費について、貯蓄額の目安を紹介します。

教育費

文部科学省は、子どもが大学を卒業するまでにかかる教育費の目安について資料を公開しています。この資料によると、幼稚園から大学までのすべてが国公立なら約766万円、すべてが私立なら約2,228万円の教育費が必要です。幼稚園から大学までにかかる教育費のなかで最も高いのは大学の学費であり、国立なら約263万円、私立なら約527万円がかかります。

世帯年収が750万円であれば、年収に対する大学の学費の負担割合は年間で約9~18%です。負担が大きいため、早い時期から貯蓄を始めましょう。

子どもが生まれてから大学に入学するまでの18年間で私立大学の学費を貯める場合は、子ども1人あたり年間30万円程度の貯蓄が必要です。これは、世帯年収の約4%に該当します。この水準で貯蓄すれば、私立大学へ進学するために必要な学費もまかなえます。

出典:【資料5-2】教育投資参考資料集|文部科学省

老後資金

老後もそれまでと同じように生活するためには、十分な資金が必要です。厚生労働省が発表している資料によれば、老後の日常生活に必要な最低限の金額は1世帯あたり年間282万円程度です。1ヶ月あたりで考えると、約23万5,000円が必要になります。

世帯の働き手が退職してからの老後の生活が20年間だと仮定すると、最低でも5,640万円の資金を用意しなければなりません。老後は年金も支給されますが、年金だけで老後に必要な資金のすべてをまかなうのは難しいケースも多いです。

自分たちが老後にどの程度の年金をもらえるのか確認し、実際にどの程度の金額が不足しそうか把握しておきましょう。そのうえで、不足する分については若いうちから少しずつ貯蓄していく必要があります。

出典:高齢者の生活実態|厚生労働省

まとめ

世帯年収750万円で住宅ローンを組むなら、借入額は4,500~5,250万円程度が目安です。ただし、住宅ローンの返済期間は長いため、途中で世帯年収が変化する可能性もあります。万が一、世帯年収が減っても無理なく住宅ローンを返済できるよう、返済額には余裕をもたせましょう。

子どものための教育費や老後資金も貯蓄できるようにするには、家計全体のバランスを考慮することも大切です。長期的な目線で計画を立て、最適な住宅ローンを組みましょう。

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(最終更新日:2024.04.19)
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