ドライバーたちの憩いの場所、道の駅。この道の駅には周辺に魅力や情報が詰まっていることをお気づきでしょうか。つまり、道の駅を知れば、その周囲の住み心地、そして自分や家族にとってマッチした場所か否かがよくわかるのです!

土地の魅力がぎっしり詰まっている

郊外にクルマで出かけるとよく目にする道の駅。広い駐車場とトイレや休憩所が無料で利用できる。ドライバーにとって格好のオアシスです。しかし、その土地の魅力を深く知りたい人にとっても非常に重要な施設なのです。

ミートボールやハンバーグの食品メーカーとして知られる石井食品株式会社(本社・千葉県船橋市)では、道の駅を見掛けたら可能な限り利用するように全社員に指示を出しているそうです。その目的は道の駅を知ること。注目したのは道の駅の「情報発信力」です。

「道の駅を知ればその地域の産業や周囲住民の特性までわかります。私たちはその情報を元に新製品の開発に役立てています」(石井食品・岩瀬真人さん)

なるほど、ということは住みたい場所の道の駅を見れば、その地域が自分や家族の住みたい場所かどうかがわかるということ? 早速調査です!

地域の特産物の生産者を知る

まず向かったのは千葉県柏市にある「道の駅しょうなん」。柏市は都心から電車で30分程度。高速道路のアクセスも良く、人口43万5千を数える、東京のベッドタウンです。そんな土地にある道の駅では、平日にもかかわらず、多くの買い物客でにぎわっていました。人気は特産品をメインとした直売店です。季節ごとに旬な野菜が豊富にそろい、農業が非常に盛んなことがよく分かります。また、利用者のほとんどは地元住人だと、道の駅しょうなんのプランナー・木村美穂さんは言います。

「売り場には生産者の名前や農場の名前を記したボードなどを展示して、生産者の顔が見えるようにしています。生産者を知ることで安心につながります」(木村さん)

さらに、これら生産者の多くは、道の駅を中心に半径3キロメートル圏内に集中していると話してくれたのは、道の駅しょうなんにトマトをおろしている、生産者の小林陽一さん。

「売り切れそうになってもすぐに農園から追加納品されるため、いつでも新鮮で旬な野菜が揃います。生産者ごとに固定のお客様が付き、指名買いされることもあります。お客様との距離が近くなりました」(小林さん)

これらが道の駅が持つ大きな特徴だと、先の石井食品の岩瀬さんは言います。

「道の駅の直売店は地元の生産物の見本市のようなもの。生産する農園や生産者の情報を表示することで、どのような生産者がどのような野菜を生産しているのか、何にこだわっているのかが分かります。また盛んな農作物や、地域で人気の産物から消費者の趣向など、地域の『食』文化も読み取れます」(岩瀬さん)

生産者と消費者の距離感が非常に近く、安心した食生活に拘る人にとって、魅力的に感じるはずです。

「生産者の情報を掲示する方法は、最近はスーパーでも同様の方法を取り入れているところが増えていますが、数や規模は、道の駅にはかないません。その土地の季節ごとに楽しめる『味』、生産者のこだわりや住んでいる方々の嗜好も道の駅なら明確です」(岩瀬さん)

道の駅しょうなんの店内では新鮮な野菜がずらり。同じ品種を複数の生産者が卸しているので、生産者それぞれのこだわりも分かります。
落花生も販売。記者には落花生は南房総の特産物というイメージがありましたが、柏市内でも生産されていることを知りました。

「道の駅しょうなん」
住所:千葉県柏市箕輪新田59-2 TEL:04-7190-1131

海に近い道の駅ではどうでしょうか。次に向かったのは南房総市の「道の駅 ちくら潮風王国」。ここの特産品はやはり海産物。しかも切り身や刺し身など、加工はされず地元の漁港で水揚げされた鮮魚がまるごと売られています。海の自然と新鮮な魚を身近に感じたい人にはこの地域の魅力度が格段にアップするはずです。

道の駅ちくら潮風王国。海岸線沿いにあり、公園も隣接。地元住民の憩いの場にもなっています。
店内に大きないけすを設置。近くの漁港で水揚げされた魚が泳いでいました。近くの飲食店や旅館なども買いに来るそうです。

「道の駅 ちくら潮風王国」
住所:千葉県南房総市千倉町千田1051 TEL:0470-43-1811

コミュニティとして新たな価値を創造

地域住民にとって大切な交流の場になっている道の駅もあります。南房総の保田(ほた)にある「都市交流施設・道の駅保田小学校」は、廃校になった小学校をリノベーションしました。そのユニークさから、観光で訪れる人も多いのですが、地域住民にとっても欠かせない場所になっています。その一つが、毎朝、校庭で開催されるラジオ体操です。

「ラジオ体操は365日、一日も欠かさず早朝に開催しています。参加者はもちろん、地域の住民の皆さまです」と、道の駅保田小学校“教頭”の中村靖さんは語ります。交流が盛んになれば、絆もより強くなります。

「保田には観光資源がほとんどありません。しかしこの人の交流に和みを感じる人もいます。最近は、リタイアされた方や若い世代まで、移住される方も増えてきました。そこで道の駅ではこの地域に移住を希望する方への相談窓口も用意しています」(中村さん)

道の駅保田小学校。校舎をそのまま生かしてリノベーション。地域住人の和みの場にもなっている。

「都市交流施設・道の駅保田小学校」
住所:千葉県安房郡鋸南町保田724 TEL:0470-29-5530

道の駅こそ地域の情報発信の場

それぞれの道の駅を訪れると、その周囲で生活する方々の様子も見えてきました。

「地元の人たちが集まるから、変わりゆく環境が分かる」と先の道の駅しょうなんの木村さんは言います。

「最近、周囲に広大な住宅地が開発されたことをきっかけに若いファミリー層の利用も増えてきました。そこで近隣農家とも協力し、収穫を体験できるイベントも企画しています。また、おしゃれなカフェなども増えました。それも道の駅で得られる情報交換が核になっています」(道の駅しょうなん・木村さん)

地域の魅力度がアップし、そこに着目し、住み着く人も増える。道の駅がそのきっかけの一つになっているのです。

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