家の「表札」を出さない派は約半数? 表札をめぐるメリットとデメリット

昔は、世帯主のフルネームを記載した表札を当たり前のように見かけましたが、昨今は、玄関や門に表札を出さない人も多くなりました。特に、一人暮らし用の賃貸物件などでは表札が出ていないケースが大半です。今回は、表札を出す理由と出さない理由、表札を出すメリットやデメリットについても解説しますので参考にしてください。

そもそも表札とは?

表札とは、居住者の姓や姓名を記して、自宅の門や玄関前に掲げる札のことです。表札の歴史は大正時代から始まったとされ、郵便物を間違いなく確実に配達してもらうために通りから見やすい位置に設置するようになりました。

郵便制度は明治時代からありましたが、その頃は転居が少なかったため表札は必要なかったようです。しかし、大正12年(1923年)に発生した関東大震災により誰がどこに住んでいるのかわからなくなり、さらに都市化も進んだことから表札を出すことが一般的になりました。

昔は、住所とともに、世帯主の姓名と同居の家族の名前を記した表札も見かけましたが、今では、名字だけを記したものが多いようです。また、昨今の表札はさまざまな素材やデザインがあり、ローマ字表記、多彩な書体、イラスト入りなど多くのバリエーションがあります。戸建てでは家の雰囲気に合う北欧風のものやタイル製、文字をかたどったアイアン風のものや伝統的な木製など、それぞれにこだわりがあるようです。

表札を出すことは義務ではなく任意のため、昨今では表札を付けない家も多く見かけるようになりました。

表札を出さない人は半数近くに…

「SUUMOジャーナル 編集部」が2016年3月に行った調査によると、自宅に表札を出していない人は全体の48.7%で、約半数に近い結果でした。表札を出している人は苗字のみだけで41.7%、次いで世帯主のフルネームは7.7%、家族全員のフルネームはわずか2.0%でした。

これには、自宅の居住形態が大きく関わっていると見ることができます。賃貸住宅では表札を出さない人の割合が74.7%とさらに高くなります。一方、持ち家では表札を出している家のほうが多く、持ち家に住む人のうち77.3%が何らかの形で表札を出しています。

出典:表札って出す? 出さない派は約5割。賃貸と持ち家で結果に差が|SUUMO

表札を出している理由・出さない理由とは?

表札は自分の意思で出すか、出さないかを選択できます。どちらの判断にしても、それぞれ理由があります。ここでは、その理由をいくつか紹介しましょう。

表札を出している理由

表札を出す一番の理由は、郵便物が間違いなく届くようにするためです。新型コロナウイルス感染症の拡大以降、郵便物や宅配便の配送に加え、ネット通販や食事のデリバリーサービスなどを利用する機会の多くなった人もいるでしょう。たいていは住所や部屋番号だけでも届きますが、表札があったほうがより明確に判断できて間違われにくいものです。表札がなければ、配達の担当者に受取人の名前確認の一手間をかけさせてしまいます。

たとえば、住所が誤っていた場合は、表札がなければ本人の手もとに届かない可能性もあるでしょう。ほかには、「表札を出すのは常識」と考えている人もいます。また、玄関ドア付近に表札を出すことを義務付けているマンションもあります。

表札を出さない理由

表札を出さない人の多くは、個人情報を出すことに抵抗があるようです。情報化社会ではさまざまな情報が飛び交うため、住所と個人名が結びつくことをできれば避けたいという人も多いでしょう。表札を出すことで、さまざまなセールスが増えるのではないかと心配する声もあります。

また、賃貸の場合は、「引っ越しが多いため表札を出すのが面倒」という意見もあります。アパートやマンションなどの集合住宅の場合、集合ポストに苗字のプレートを出しているため、玄関前に出す必要はないと考える人もいるようです。そのほか、防犯やプライバシーを守るためという理由も多いです。

表札を出すことでどんなメリットやデメリットがある?

引っ越しをした際に、表札を出すべきか迷う人もいるでしょう。表札の掲示にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット:コミュニティに受け入れてもらいやすい

家を購入したり借りたりして引っ越した場合、表札を出すと新しい人が住み始めたことがわかります。「新しい住人は〇〇さん」と認識してもらえるため、地域の輪に溶け込みやすいというメリットがあります。直接挨拶を交わしたことのない人でも、「あの人が○○さん」と名前と顔が一致することにより、住民同士のコミュニティに受け入れてもらいやすくなります。

また、表札に名前があれば人が住んでいることが一目瞭然なので、災害時や地域との連携が必要な場面で支援を受けやすくなります。引っ越しても表札を出さないままでは、「近所付き合いを避けている」「身元がわからず不安」「名前を出せない事情があるのか」と、変に勘ぐられてしまうかもしれません。

子どもがいれば、保護者としての付き合いも増えますし、近隣の人に子どもの名前と顔を知ってもらえることは、万一の際に心強いものです。表札を出すことで近所付き合いがしやすくなるメリットがあるなら、表札を出したほうがよいでしょう。

デメリット:個人情報を知られてしまう

一方、表札を出すことがデメリットになると感じる人も少なくありません。表札を出すということは、少なからず住所と名前が結びついてしまうことを意味します。第三者に個人情報を知られることで、犯罪に巻き込まれるリスクがあります。

まして、世帯全員の名前を出してしまうと、家族構成や性別などの情報も与えていることになるのです。子どもが自分の名前を呼ばれれば、見知らぬ人でも家族の知人などと勘違いすることもあるでしょう。また、表札で人が住んでいると判断できるため、訪問セールスが訪れる可能性があります。特に、小さな子どもがいる家庭や、一人暮らしの人は注意が必要です。

表札を出す場合の注意点

表札を出す場合は、さまざまなリスクに備えることが重要です。一人暮らしの女性の場合は、表札から女性と読み取れないような工夫が必要です。たとえば、表札で女性とわからないよう、フルネームは出さず苗字だけにすることが鉄則です。また、女性らしいデザインもできるだけ避けましょう

また、家族で住む家なら、小さな子どもや一人で留守番する子どもがいる場合も、苗字だけの表札にしたほうが無難です。外部の第三者に知らせる情報は、少なければ少ないほど防犯面で安心です。

まとめ

賃貸や一人暮らしの場合、表札を出さない人が主流となっています。しかし、一方で、持ち家の場合は表札を出す人が多いようです。持ち家で長く定住するためには、近所付き合いも大切になります。表札を出すことで近所付き合いがしやすくなることもあるため、メリットとデメリットをふまえたうえで判断しましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア