不要不急の外出自粛や在宅勤務の拡大などの影響により、自宅で過ごす時間が増えたこの1年半。ARUHIとクックパッドが実施した共同調査『料理と暮らし白書2021』の結果をもとに、住まいに関する意識や行動はどのように変化したか、読み解いていきます。第2回のテーマは「今だから優先したい居住地域に求める環境」。居住地域に求める条件がコロナ禍を経てどのように変化をしたのか、紹介します。

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居住地域に求める条件は「買い物の便利さ」「治安」「駅近」

出典:アルヒ株式会社・クックパッド株式会社による『料理と暮らし白書2021』

今の住まいを選んだ際に重視した「居住地域に求める条件」を複数回答で聞いたところ、最多は「日常の買い物の利便性」で51.0%。続いて、「治安の良さ(38.2%)」「最寄り駅までの近さ(37.8%)」という結果に。以下、「家賃・物件価格のコストパフォーマンス(33.2%)」「公共施設・医療機関の充実度(26.0%)」「職場へのアクセスの便利さ(25.8%)」「都心へのアクセスの良さ(21.9%)」でした。

続いて、次に住まいを選ぶ際に重視したい「居住地域に求める条件」を複数回答で聞いたところ、「日常の買い物の利便性」が最多の62.5%。「治安の良さ(50.8%)」「最寄り駅までの近さ(43.7%)」が続き、「家賃・物件価格のコストパフォーマンス(38.6%)」「公共施設・医療機関の充実度(38.5%)」「職場へのアクセスの便利さ」「物価の安さ」(ともに27.4%)も支持を集めました。

今の住まいも、次に選ぶ住まいも、居住地域に求める条件としては「日常の買い物の利便性」が最多である点に変化はないものの、その割合は51.0%から62.5%と11.5ポイント上昇しています。また、「治安の良さ」は38.2%から50.8%の12.6ポイント増、「公共施設・医療機関の充実度」は26.0%から38.5%の12.5ポイント増と、いずれもより多くの人が求める条件になったことが分かります。

【年代別TOP3】各年代とも1位は「日常の買い物の利便性」

出典:アルヒ株式会社・クックパッド株式会社による『料理と暮らし白書2021』

次に住まいを選ぶ際に重視したい「居住地域に求める条件」を年代別に見ると、すべての年代で「日常の買い物の利便性」がトップとなりました。

「日常の買い物の利便性」や「公共施設・医療機関の充実を求める人は、年齢とともに増加

出典:アルヒ株式会社・クックパッド株式会社による『料理と暮らし白書2021』

「日常の買い物の利便性」を重視する人の割合を年代別で見てみると、男女とも年齢が上がるほど重視している傾向がうかがえます。特に男性は、20代以下が37.4%なのに対し、60歳以上になると68.1%と、重視している人の割合が大幅に増えています。年齢を重ねて体力が衰えるにつれ、日常の買い物を近場で済ませることのできる環境が重要視されているようです。

また、男性の50代・60歳以上と女性の60歳以上は「公共施設・医療機関の充実度」を重視している人の割合が高く、こちらも男女とも、年齢が上がるほど重視する傾向にあります。 年齢が上がるごとに病院などへ行く機会が増え、生活圏内に医療機関があることの重要度が増すためと考えられます。

女性は年齢を重ねるごとに「最寄り駅までの近さ」を求めるように

出典:アルヒ株式会社・クックパッド株式会社による『料理と暮らし白書2021』

「最寄り駅までの近さ」も年齢が上がるほどに重視する傾向があり、20代以下は42.4%ですが、30代が49.5%、40代が52.6%、50代が57.4%、60歳以上になると57.5%の女性が重視。「日常の買い物の利便性」などと同様、年齢を重ねるごとに負担なく移動できる環境が求められていると考えられます。高齢になると運転免許証を自主返納する人も多いため、公共交通機関で移動しやすいエリアであることがより重要になってくるのでしょう。

逆に「職場へのアクセスの便利さ」は年齢が上がるほどに重視する人が減ります。20代以下の女性は38.4%が重視していますが、30代が33.6%、40代が30.5%、50代が25.9%、60歳以上で重視している女性は10.6%にまで減少します。

男性は年齢とともに「自然の多さ」を重視するように

出典:アルヒ株式会社・クックパッド株式会社による『料理と暮らし白書2021』

ちなみに、TOP3には入りませんでしたが、男性は年齢が上がるほど「自然の多さ」を重視する傾向が。20代以下で「自然の多さ」を重視する男性はわずか13.6%ですが、30代が18.0%、40代が21.6%、50代が33.3%、60歳以上になると20代の約3倍となる41.4%の男性が重視しています。30代以降の男性は在宅勤務を実施している割合が高いこともあり、自宅で働く傍ら、自然に癒されたいと考える人も多いようです。

在宅勤務ありの人は自然の多さを重視する一方、利便性も求めている?

出典:アルヒ株式会社・クックパッド株式会社による『料理と暮らし白書2021』

次に住まいを選ぶ際に重視したい「居住地域に求める条件」について、在宅勤務状況別に見てみましょう。在宅勤務ありの人が「自然の多さ」を求めている割合は28.9%、「公共施設・医療機関の充実度」は39.7%、「都心へのアクセスの良さ」は30.7%、「最寄り駅までの近さ」は48.0%と、いずれも在宅勤務なしの人よりも重視しています。

一方、「職場へのアクセスの便利さ」は在宅勤務ありの人が26.5%なのに対し、在宅勤務なしの人が33.8%と、在宅勤務がない人は通勤の利便性を重視しています。

在宅勤務ありの人は、職場の近さよりも安心して暮らすために必要な公共施設や医療機関、自然が多く心穏やかに過ごせる環境を求めているようです。その一方、最寄り駅までの距離や都心に移動する際の利便性も重視している傾向に明らかに。職場に毎日行く必要はないものの、郊外の駅から離れた立地でも良いとは限らず、利便性が確保されたエリアに住みたいと考えている人が多いようです。

居住地域に求めるのは安心して生活を送れる環境

次に住まいを選ぶ際に最も重視したい「居住地域に求める条件」を単一回答で聞いたところ、「日常の買い物の利便性」が最も多く23.5%。次いで、「治安の良さ(16.0%)」「家賃・物件価格のコストパフォーマンス(11.3%)」、以下「最寄り駅までの近さ(9.5%)」「自然の多さ(6.2%)」「公共施設・医療機関の充実度(5.9%)」と続きます。

なぜその条件を最も重視するのかその理由を自由回答で求めると、コロナ禍で暮らした経験をもとに居住地域を決める人の声が相次ぎました。その理由を一部紹介します。

「日常の買い物の利便性」
・コロナになるまで買い物は毎日していましたが、今は3日分程度まとめ買いをしている。3日後の献立に頭を使うし、荷物も重たいので、スーパーがもっと遠かったら尚更大変だな、やっぱり近くにあると便利だなと思った。住居の近くで買い物を済ませられるのはとても有りがたく大事な事だと思う(大阪府/40代/女性/専業主婦)
・近くに日用品や生鮮食品を売っている店が無いと、また緊急事態宣言が出た時に困ると感じたから(東京都/30代/男性/自営業)

「治安の良さ」
・子どもたちが成長する上で、環境は大切だと思うので、安心安全に生活できる治安の良い場所が良い(福岡県/40代/女性/自営業)
・あまり遠出出来ない状況なので、周りの環境が良く地域のコミュニティーが良好なところが良いなと思った(茨城県/30代/女性/会社員)

「家賃・物件価格のコストパフォーマンス」
・通勤が減り都心に住む必要はなくなったので、より生活のバランスを意識した家探しをしたいと思ったから(東京都/20代/男性/会社員)
・テレワークによって職場へのアクセスの良さの優先度が下がったので、その分安いところにしたい(京都府/30代/男性/会社員)

「最寄り駅までの近さ」
・出かけることが少なくなったとは言え、コロナが落ち着けばまた出かける事が増えるので、やはり駅から近いところに住みたい(神奈川県/50代/女性/パート・アルバイト)
・駅に近ければ将来売りに出してもすぐ処分出来そう。そのためには多少の出費はしょうがない。コロナでコストパフォーマンスのいい中古物件が多く出ていると思う(兵庫県/40代/男性/会社員)

「公共施設・医療機関の充実度」
・コロナ禍で医療機関の大切さが改めて感じられたので(千葉県/40代/女性/会社員)
・新型コロナの影響で行けない病院などあったので、充実したらいいと思っている(大阪府/20代/男性/会社員)

コロナ禍という非常時の生活を経験し、外出自粛や在宅勤務をする人が増えたり、それに伴う食品や日用品の買いだめする習慣ができたり、地元で過ごす時間が増えたりと、生活にさまざまな変化が生じました。その結果、いつでも気軽に買い物ができる利便性や安心して暮らせる住環境のありがたみを、今まで以上に感じた人が多かったのではないでしょうか。

まとめ

「日常の買い物の利便性」や「治安の良さ」はコロナ禍前から重要視されていましたが、家やその近所で過ごす時間が増え、今まで以上に大切したい条件と考えられているようです。また、年齢を重ねるごとに、利便性の高い立地を求める人が増える傾向も明らかになりました。これから住宅購入を予定している人や検討している人は、コロナ禍で変化した自身や家族のライフスタイルを踏まえ、居住地域に求める条件を整理してみてはいかがでしょうか。

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