ほとんどの人が手つかずの相続対策、話さない理由は親と子で何が違う?

2015年の税制改正以降、今までより多くの家庭が相続税の対象となりました。相続税の申告数が増加するとともに、裁判所「司法統計年報 (家事事件編)」によると、相続に関する調停・審判の申し立て件数は20年間で約1.5倍も増加しています。そうした状況下で、相続を受ける子世代と、相続を送る親世代はそれぞれ何を思い、どのような行動をしているのでしょうか。

相続対策をしている人は親世代・子世代ともわずか1割

株式会社はなまる手帳が、30~50代の子世代と50代~70代の親世代を対象とした「親と子の相続意識調査2021」を実施。相続対策をしているかという質問をしたところ、「対策をしている」と回答した人は子世代が10.3%、親世代が12.3%といずれも1割程度にとどまり、世代関係なく全体の9割が対策していない実態が明らかとなりました。また、3人に1人が、「相続について考えたこともない」と回答しています。

出典:株式会社はなまる手帳「親と子の相続意識調査2021」

親は「資産がない」、子は「何をすべきか分からない」から相続対策をせず

相続対策をしない理由を聞くと、親世代で最も多かった回答は「対策するほどの資産はないと思っているから」で55.5%を占めました。一方、子世代は、「何をしたらよいか分からない」が52.8%で最多となる結果に。子世代の方が相続に対する知識がなく、どう対策したらよいか分からない現状にあることが伺えます。

出典:株式会社はなまる手帳「親と子の相続意識調査2021」

約4人に1人が「コロナ禍の相続対策に不安あり」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で相続対策への意識は変わったかという問いには、22.7%の人が「不安や考えることが増えた」と回答しています。また、これから相続を受ける予定である子世代の方が、相続に関してより不安を感じている傾向が明らかになりました。相続対策はまだ先のことだと思っていた子世代がコロナ禍に直面し、「何をしたらよいか分からない」といった知識のなさから、相続に対して不安と焦りを感じたことの表れではないでしょうか。

出典:株式会社はなまる手帳「親と子の相続意識調査2021」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で具体的にどのような不安が増えたかという問いには「感染した場合の対応」という回答が最も多く45.9%という結果に。次いで「遺言書作成など準備・手続き」が32.4%と続き、相続の実務的な面の不安が見られました。

出典:株式会社はなまる手帳「親と子の相続意識調査2021」

6割以上が「家族と相続の話をしたことがない」と回答

親または子と相続の話をしたことがあるかという質問には、6割以上の人が「話したいと思ったことはあるが話せていない」が31.7%、「話したことも話したいと思ったこともない」が30.2%と、合わせて61.9%の人が「話をしたことがない」と回答しました。

出典:株式会社はなまる手帳「親と子の相続意識調査2021」

親または子と相続の話をしない理由は何かという質問には「話すほどの資産はないと思っているから」という回答が36.8%で最多に。親世代に限定すると42.4%を占めています。一方、子世代で最も多かった回答は「親または子に話しづらいから」で41%でした。子世代の方が親に気を使ってしまうのか、話を切り出しづらいと感じているようです。

出典:株式会社はなまる手帳「親と子の相続意識調査2021」

3人に1人が「相続の相談を誰にしたらよいか分からない」

相続の相談は誰にしようと思うか、もしくは相談しているかという質問には、35.5%の人が「誰に相談したらよいか分からない」、25.3%の人が「親族」と回答。専門家に相談する人は少ない現状が明らかになりました。

出典:株式会社はなまる手帳「親と子の相続意識調査2021」

「相続対策をしなくても大丈夫」と思う親世代と、不安な子世代

今回の調査結果により、全世代の約9割が相続対策をしておらず、親世代の半数以上が「対策するほどの資産を持っていない」と回答しています。

一方、子世代の多くが相続について「不安や考えることが増えた」と回答。アンケート調査を行ったはなまる手帳は「コロナ禍で離れて住む親や兄弟など親族とコミュニケーション機会が減ったこと、また相続はまだ先のことと考えていた子世代も現実のこととして考える機会が増え、知識の無さから危機感が強く表れたことが要因の一つ」と考察をしています。

また、家族で相続の話をしたことがない人が6割を超え、その理由として親世代は「話すほどの資産は持っていない」ことを挙げていますが、子世代の4割が「話しづらい」と回答しており、子どもから話を持ちかけづらい現状も伺えます。

まとめ

裁判所「司法統計年報 (家事事件編) 」によると、相続調停で争われている金額の4分の3以上が「5,000万円以下」であることから、相続は「莫大な資産を持つ人」だけの問題ではなく、一般的な家庭こそ対策が必要な問題であることが分かります。

しかし、3割以上の人が「相続の相談を誰にしたらよいか分からない」と回答し、相談をしている人の多くが「親族」に相談をしています。しかし、相続税の申告なら税理士、相続トラブルに関しては弁護士など、悩みに合ったプロに相談をすることで問題を正確に把握し、解決に一歩近づくことができます。「誰に相談したらいいのか分からない」という人はまず、ファイナンシャルプランナーに相談をしてみてはいかがでしょうか。

【調査概要】
「親と子の相続意識調査2021」
調査対象:親が存命であり、親から資産を受ける可能性のある相続者(30~50代)と、親が亡くなっており、子に資産を相続する予定の被相続者(50~70代)600名
調査方法:インターネット調査
実施期間:2021年6月8日~6月10日
実施機関:株式会社はなまる手帳

ニュース提供元:PRTIMES
情報提供元:株式会社はなまる手帳

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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