マンションの給水方式には、貯水槽水道方式と直結給水方式の2種類があります。水をいったんためておく貯水槽水道方式は水質や衛生面が心配という声も聞かれますが、本当にそうでしょうか。そんな疑問にお答えすべく、今回はマンションの給水方法について詳しく解説します。マンションにお住いの方やマンションへの引っ越しを検討している方は、どうぞ参考にしてください。

マンションの受水槽は汚い?

水道管から水を引き込む受水槽や屋上などに設置される高置水槽などを総称して、貯水槽といいます。

貯水槽の清掃や水質検査については、水道法施行規則第55条・第56条により、毎年1回以上行うことと定められています。清掃や検査は貯水槽の設置者に対して義務付けられているもので、マンションでは管理組合がその責務を負います。そのため、きちんと管理されているマンションであれば基本的には問題ないと考えてよいでしょう。

ただし、貯水槽が劣化している場合や、マンション全体の水の使用が少ない場合など、水質が変化してしまう可能性がないとは言い切れません。そこで近年では、衛生面への懸念が少ない直結給水方式を採用するマンションが増えています。

マンションの給水方式は主に2種類

マンションの給水方式には貯水槽水道方式と直結給水方式の2種類があることを述べました。この段落では、それぞれの仕組みや特徴について解説します。

貯水槽水道方式

貯水槽水道方式とは、水道管から供給された水をいったん受水槽にため、そこから各家庭に給水する仕組みのことをいいます。貯水槽水道方式は、さらに「高置水槽方式」と「ポンプ圧送方式」との2種類に分けられます。

高置水槽方式は、受水槽にためた水を屋上などに設置された高置水槽に送り、水が高い所から低い所に流れる力を利用して各家庭に給水する方式です。マンションやビルなどの給水方式の主流であり、現在でも屋上に大きなタンクが設置された建物は多数みられます。

ポンプ圧送方式とは、受水槽からポンプによって各家庭に直接給水する方式をいいます。屋上の貯水槽がマンションの美観を損ねる、重みが建物に負担をかけるなどの理由により、1980年代以降からはポンプ圧送方式が本格的に採用されるようになりました。

直結給水方式

直結給水方式とは、貯水槽を経由せず水道管から直接給水する仕組みのことです。「増圧直結方式」と「直圧直結方式」の2種類があり、マンションでは主に増圧直結方式が採用されています。

増圧直結方式では、水道の本管から増圧ポンプを利用して各家庭に水を届けます。水圧が弱い高層階へもポンプの圧力によって新鮮な水が届けられるのが特徴で、東京都を中心とした都市部のマンションで多く採用されている方式です。一方の直圧直結方式はポンプを利用せず水道本管から直接給水する方式で、戸建てやアパートなど主に3階までの建物で利用されています。

ただし、一時的に大量の水を使用したり薬品を扱ったりする施設などでは、直結給水方式が認められません。また、断水時の影響が大きいと考えられる病院やホテルなどでは、貯水槽水道方式が採用されることが一般的です。

貯水槽水道方式と直結給水方式のメリット・デメリット

受水槽や高置水槽から給水する貯水槽水道方式と、水道管から直接給水する直結給水方式とを比べると、水質の面では直結給水方式のほうが安心といえるでしょう。しかしながら、状況によっては貯水槽水道方式のほうが便利な面もあります。

2種類の給水方式のメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。

 

直結給水方式がおすすめの理由

近年、直結給水方式を推奨する自治体が増えてきました。築年数が古いマンションでは、大規模修繕と同時に直結給水方式に切り替えるケースもあります。なぜ直結給水方式が推奨されるのか、その理由を解説します。

貯水槽の衛生面が懸念されるため
直結給水方式が推奨される理由のひとつは、貯水槽における衛生面の懸念です。

定期的かつ適切なメンテナンスが行われていれば、貯水槽に蓄えられていた水でも安心して使用できます。しかしながら、すべての貯水槽がきちんと維持管理されているとは限りません。適切に管理されていたとしても、単身者や共働き世帯など留守がちな家庭が多いマンションでは水の使用量が少なくなり、貯水槽に水が滞留してしまいます。

その点、水道本管から直接給水される直結給水方式なら、水質悪化の心配は少ないといえるためです。

直結給水方式を採用できる建物が増えたため
直結給水方式を採用できる建物が増えたことも、この方式が推奨される理由といえます。

増圧ポンプを介して水道本管から給水する増圧直結方式なら、大規模マンションでも直結給水方式の採用が可能です。20階以上の高層マンションについても、増圧ポンプを多段階に設置して水道本管からの直接給水ができます。

また、これまでは地上3階までとされていた直圧直結方式も、配水管の口径が広く一定の水圧が確保できる場合は4階以上の建物への採用が可能となりました。

マンションの給水方式を確認するには?
直結給水方式を推奨する自治体が増えていることから、新築マンションでは直結給水方式を採用している可能性が高めです。古いマンションでも、大規模修繕の際に直結給水方式に切り替えているかもしれません。

マンションの給水方式を確認するには、貯水槽があるかどうかを現地で確認するか、マンション全体の図面で確認するとよいでしょう。長期修繕計画が入手できるなら、給水設備の修繕計画から給水方式を確認できます。たとえば、受水槽や高置水槽の修繕計画が記載されていれば、そのマンションは貯水槽水道方式です。貯水槽についての記載はなく増圧ポンプの修繕計画が記載されている場合は、直結給水方式と考えられます。

図面や長期修繕計画などは管理会社や管理組合に問い合わせれば閲覧可能です。購入検討中のマンションについては、不動産会社の担当者を通して確認してください。

まとめ

マンションなどの貯水槽は、定期的に清掃や水質検査を行うことが法律で定められています。そのため、管理がしっかりしていれば衛生面の心配はほとんどありません。しかしながら、常に新しい水が供給される直結給水方式なら、より安心できるでしょう。

直結給水方式は戸建てやアパート向けとされてきましたが、近年では技術の進化により大規模マンションにも導入が可能となりました。推奨する自治体が増えているため、直結給水方式を採用するマンションは増えています。お住まいのマンションで、あるいは購入検討中のマンションで、毎日使う水がどのように供給されるのか一度確認してみてはいかがでしょうか。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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