理想のキッチンに近づく! 家事動線を考えたパントリー(食品庫)の間取り

キッチン収納の幅が広がるので、「新築するときにはパントリー(食品庫)を作りたい」という人も多いでしょう。しかし、パントリーの設置にはメリットだけではなくデメリットもあります。そのため、実際に設置するときには本当に必要かどうか慎重に考えることが大切です。そこで、パントリーの間取りの考え方について解説します。

パントリーとは?

パントリー(pantry)とは、食料品やキッチン雑貨などを収納・保管できる空間のことです。食品庫やキッチンパントリー(kitchen pantry)とも呼ばれ、日本でも一般的なものとなってきました。お米やお水、お酒、インスタント食品、麺類など主に常温で保存できるものを収納します。非常食の保管や、ラップやキッチンペーパーのストック置き場にも活用できます。場所をとる大きなホットプレートや鍋も、パントリーに収納するとキッチンがスッキリします。

考えるべきは本当に必要かどうか

費用と広さが求められる

パントリーを作るとキッチンの収納力はアップしますが、裏を返せばある程度の広さが必要となり、他の部屋の広さを犠牲にするということです。大きなパントリーを作ろうと思うと、どこかの部屋をなくしたり、部屋を狭くしたりしなければならないかもしれません。また、パントリーを設置するには、扉や造作収納が必要になるため、費用も余分にかかります。

「別の部屋やリビングを狭くしてまで設置するほどの価値があるか」「パントリーのための費用を用意できるか」についてよく考えることが大切です。

パントリーがあると便利な人とは?

パントリーがあれば憧れのワインセラーも設置可能

パントリーがあると便利な人とは、設置費用や一定の床面積を割いても、食料品などのストックが必要な人です。たとえば、次のような人はパントリーがあると便利でしょう。

・買い物の機会が少ない人
・ワインセラーなどお酒のストックが欲しい人
・調味料・調理器具が多い人
・家族・来客が多い人

家族が多く、共働きでまとめ買いをすることが多いのであれば、パントリーはとても便利です。来客用の食器や食品のストックもパントリーにしまっておけるので、常にキッチンをスッキリさせておくことができるでしょう。

パントリーの種類

パントリーの種類は大きくわけて3タイプです。それぞれ必要なスペースが異なり、タイプによってはできる間取りとできない間取りがあります。ここでは、3タイプそれぞれの特徴について解説します。

壁面収納型

壁面収納型パントリー

壁面収納型のパントリーはキッチンの壁に棚を取り付けて収納するタイプです。クローゼットのようなパントリーなのでクローゼット型ともよばれます。壁面収納型のメリットは、省スペースで実現できることです。キッチンの背面の壁に収納棚を取り付けてパントリーにすることもできます。

キッチンのすぐ近くなので、よく使う調味料などをしまっても取り出しやすいです。ただし、リビングやダイニングからパントリーが見えてしまうことが多いため、目隠しや見せる収納などの工夫をするとよいでしょう。

ウォークイン型

ウォークイン型は、歩いて入れるほどの広さがあるパントリーのことです。壁面収納型のパントリーに比べると広くて収納量が大きいのが特徴になります。そのため、お米やお水など大型の食品をストックしやすいのが、ウォークイン型の魅力です。

スペースに余裕があるので、あまり出番の多くない鍋やホットプレート、たこ焼き器なども十分収納できます。ただ、キッチンと隣接する場所にパントリー用のスペースが必要になるため、キッチン・ダイニングやリビングのスペースを圧迫してしまう可能性があります。

回遊型(ウォークスルー型)

回遊型はウォークスルー型ともよばれ、出入り口が2ヶ所あり、ウォークスルーになっているタイプのパントリーです。出入り口がキッチン側と玄関側にあれば、買い物帰りに食料品をそのままパントリーに収納することができます。そして、パントリーに収納したものをキッチン側から取り出すことができてとても便利です。

回遊型もウォークイン型と同じように人が通れるほどの広さが必要となります。また、出入り口が2つあるので、部屋の奥に棚を設置できるウォークイン型と比べると収納量は少なくなってしまいます。

パントリーの間取り例

パントリーの間取りは家事動線が命

パントリーの間取りは、家事動線を意識することがポイントです。食料品の出し入れはほぼ毎日のことなので、パントリーとキッチンの行き来がスムーズかどうか、実際の暮らしをイメージして間取りを考えましょう。ここでは、3つの事例を紹介します。

パントリーの間取り1:キッチンの背面に

壁面収納型の場合は、キッチンの背面にパントリーを作るのが一般的です。ほかのスペースを圧迫しないので、3つのなかでもはもっとも簡単に間取りに取り入れることができます。

ちなみに、間口(幅)は90センチメートル、奥行は30~45センチメートルが1つの目安です。奥行きが30センチメートル以上あれば、パスタやワインのボトルも寝かせて収納できます。90センチメートル以上の幅なら、観音開きの壁面収納にしたときも収まりがよいでしょう。

キッチンの背面にあるパントリーは、振り返ればすぐに必要な調味料やラップなどを取り出せるので、使い勝手も抜群です。

パントリーの間取り2:キッチンの横に

ウォークイン型と回遊型のパントリーは、キッチンの横に設置するケースが多いです。家事動線を考えると、キッチンから離れた場所に設置しないほうがよいでしょう。キッチンで使うものはキッチンの近くに収納したほうが、取り出しやすくて便利です。

キッチンの背面にパントリーを作るとリビングから見えてしまいますが、キッチンの横なら正面からは見えません。お客様にパントリーの中を見られたくない場合は、この間取りがおすすめです。歩けるほどの大きさのパントリーなら収納力があり、急な来客があってもすぐにしまえて便利です。

パントリー内を歩くことを考えると、棚の奥行きプラス60センチメートルは確保しましょう。机を設置すれば、趣味やちょっとした仕事ができる多目的ルームとしても活用できます。

パントリーの間取り3:玄関横につなげる

キッチンから玄関横につなげて回遊型のパントリーにするのも便利です。そうすれば、買い物のあとに玄関から直接パントリーにアクセスできます。お酒や常温の食品ストックはそのままパントリーに下ろし、あとはキッチンの冷蔵庫に食品をしまうだけです。

そして、パントリーを土間にして土足OKにすると、さらに使いやすくなります。ネット注文したお米やウォーターサーバー用の水ボトルが届いたときも、玄関とパントリーが隣接していれば、届いたものをパントリーに置いてもらうことができます。後で重たいお米や水をキッチンへと運ぶ手間も省けます。家庭菜園を営んでいる場合は、採れた野菜の一時的な置き場としても重宝するでしょう。

玄関とキッチンをつなぐ回遊型のパントリーはとても便利ですが、土地の大きさや形によっては、ほかの居住スペースを圧迫してしまう可能性があります。実際にパントリーを使うシーンを想像して本当に必要かどうか考えてから間取りに取り入れましょう。

まとめ

パントリーがあると、場所を取りがちな食品ストックや調理器具をスッキリと収納することができます。その一方で、パントリーを中心に間取りを考えてしまうと、費用が高額になったりほかの居住スペースを圧迫したりしてしまうことがあります。パントリーにはさまざまな種類があるので、間取りに上手く取り入れて、豊かなキッチンライフを実現しましょう。

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