賞与(ボーナス)の所得税や源泉徴収額の計算方法は、給与の源泉徴収額の計算方法とは異なります。賞与の源泉徴収では「前月の給与額」を用いて計算することが大きな特徴です。

今回は、賞与から源泉徴収される所得税の計算方法について解説します。また、具体的な計算のシミュレーションも紹介するので、賞与の源泉徴収額を計算するときの参考にしてください。

そもそも「賞与」とは何か?

多くの人が楽しみにしている賞与ですが、そもそも賞与とはどのようなものをいうのでしょうか。また、賞与の手取額はどのように計算されるのでしょうか。ここでは、賞与の源泉徴収額と手取り額についてくわしく解説します。

賞与と給与の違い

賞与とは、毎月の給与とは別に支払われる特別な給料のことをいい、ボーナスや夏季手当、年末手当、期末手当などが挙げられます。ボーナスは支給額や支給基準があらかじめ決まっておらず、会社の純益を基準として臨時的に支給されるため、支給額は一定ではないという特徴があります。

賞与の査定期間や回数は企業によって異なりますが、春と夏の年2回支給されることが多くなっています。また、賞与は金銭だけではなく、自社商品などの現物支給も含まれます。ただし、年4回以上支給されるものは賞与とみなされず、月次給与(報酬)とすることとなっています。また、賞与の制度を導入していない会社もあるため、すべての人がボーナスを受け取れるというわけではありません。

賞与の手取り額は?

賞与では、給与と同じように一定の税額が差し引かれるため、支給額(額面)よりも手取り額のほうが少なくなります。賞与の手取り額は、ボーナスの支給額から社会保険料(健康保険や厚生年金、雇用保険)と所得税の源泉徴収額を差し引いた金額です。

支給対象者の年齢が40歳以上65歳未満の場合は、これらの健康保険料や所得税に加え、介護保険料も差し引かれます。

賞与から源泉徴収される所得税額は、国税庁が定める「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使うため、毎月の給与の源泉徴収額と計算方法は異なります。

また、賞与の源泉徴収では、扶養家族の人数も考慮されることが大きな特徴となっています。

賞与から源泉徴収される所得税を計算するには?

賞与から源泉徴収される所得税額は、どのように計算すればよいのでしょうか。こでは、賞与から源泉徴収される所得税額の計算方法について解説します。

給与との計算方法の違い

賞与の社会保険料や所得税の計算方法は、給与の場合と異なります。

健康保険料や厚生年金保険料は、給与では「標準報酬月額」を使って計算されますが、賞与は「標準賞与額」を使って計算されます。標準賞与額は、標準報酬月額よりも控除額の上限が高いという特徴があります。

雇用保険料は、賞与・給与ともに計算方法は同じです。

所得税の源泉徴収額は、給与の場合は「給与所得の源泉徴収税額表」を使いますが、賞与の場合は「賞与の源泉徴収税額表」を使って計算します。

住民税は、毎月の給与から天引きされますが、賞与の場合は住民税の天引きはありません。

一般的な計算方法

参考:令和3年分 源泉徴収税額表|国税庁

賞与の所得税の源泉徴収額を一般的な方法を使って計算してみましょう。計算の流れは、以下のようになっています。

「賞与に対する源泉徴収税額の表」では、扶養親族の人数によっても税率がかわってきますので注意してください。

前月の給与がない場合

計算の基準となる「前月の給与」がない場合は、以下の方法で所得税の源泉徴収額を計算します。

参考:令和3年分 源泉徴収税額表|国税庁

ここで使う「給与所得の源泉徴収税額表」は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」とは異なりますので注意してください。

賞与が前月の給与の10倍を超える場合

社会保険料控除後の賞与が、前月の社会保険料控除後の給与の10倍を超える場合は、以下の計算方法を用います。

参考:令和3年分 源泉徴収税額表|国税庁

賞与にかかる所得税額をシミュレーションしてみよう!

賞与にかかる所得税額の算出方法は、それほど難しくはありません。ここでは、具体的な例を元に、一般的な計算方法を用いた賞与の所得税額のシミュレーションを解説します。

40歳未満で扶養親族なしの場合

以下のケースで賞与の源泉徴収額を計算してみましょう。

・年齢:35歳
・賞与金額:額面500,000円
(健康保険料24,600円、年金保険料45,750円、雇用保険料1,500円、社会保険料合計71,850円とする)
・前月の給与金額:額面300,000円
(健康保険料14,760円、年金保険料27,450円、雇用保険料900円、社会保険料合計43,110円とする)
・扶養親族:なし

具体的な計算方法は、以下となります。

1. 前月の給与から社会保険料額を引く

300,000円―43,110円=256,890円

2. 1の数字を「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」に当てはめて税率を出す

扶養親族なしで、「252,000円以上300,000円未満」の欄を見ると、税率は「6.126%」となっています。

出典:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和3年分)|国税庁

3. 「賞与額面―社会保険料合計」に6.126%の税率を掛けて、源泉徴収される所得税額を求める

(500,000円―71,850円)×6.126%=26,228円

よって、賞与の所得税の源泉徴収額は26,228円となります。

40歳以上で扶養親族ありの場合

それでは、以下のように扶養親族がいるケースを例として、賞与の源泉徴収額を計算してみましょう。

・年齢:40歳
・賞与金額:額面500,000円
(健康保険料29,100円※介護保険料含む、年金保険料45,750円、雇用保険料1,500円、社会保険料合計76,350円とする)
・前月の給与金額:額面300,000円
(健康保険料17,460円※介護保険料含む、年金保険料27,450円、雇用保険料900円、社会保険料合計45,810円とする)
・扶養親族:2人

1. 前月の給与から社会保険料額を引く

300,000円―45,810円=254,190円

2. 1の数字を「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」に当てはめて税率を出す

扶養親族が2人で「133,000円以上269,000円未満」の欄を見ると、税率は「2.042%」となっています。

出典:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和3年分)|国税庁

3. 「賞与額面―社会保険料合計」に2.042 %の税率を掛けて、源泉徴収される所得税額を求める

(500,000円―76,350円)×2.042%=8,650円

よって、賞与の所得税の源泉徴収額は8,650円となります。

まとめ

賞与に対する所得税の源泉徴収額の計算方法は、毎月もらう給与の場合と異なります。また、賞与の源泉徴収額は、前月の給与の金額や年齢、扶養親族の有無などによって金額が大きくかわるという特徴があります。特に、扶養家族がいる場合は税率が低くなるため、源泉徴収額も少なくなります。

賞与の手取りを知りたいときには、ぜひ自分で源泉徴収額を計算してみてください。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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