マンションの駐車場にはさまざまなタイプがあります。なかでも機械式立体駐車場は、広い面積を確保しにくい都市部によく見られます。機械式立体駐車場には多くのメリットがある反面、機械式ならではのデメリットがあることも事実です。車の大きさの制限や入出庫にかかる時間といった契約者にとってのストレスや重大な事故の発生など、機械式立体駐車場におけるトラブルについて解説します。

機械式立体駐車場とは

機械式立体駐車場とは、機械装置を使って車を縦方向に複数台格納できる駐車場です。都市部のマンションに多く見られるタイプで、限られた敷地を有効に活用できることから、機械式立体駐車場を採用するマンションも増えています。

マンションの駐車場には平置き駐車場、自走式立体駐車場、機械式立体駐車場の3種類があり、それぞれに特徴があります。平置き駐車場や自走式立体駐車場は車の出し入れが容易な反面、駐車時の盗難やいたずらが心配です。また、指定された駐車スペースによっては玄関までの距離が遠くなる可能性があります。特に平置き駐車場は雨や日差しなど天候の影響を受けやすいといった問題があり、敬遠する人も少なくありません。

機械式立体駐車場はこれらの問題が比較的起きにくく、大切な車を保管する有効な方法として認識されています。その一方で、事故を含むトラブルも報告されており、万全の駐車方法とはいえないことも事実です。「あなぶきコールセンター」の調べでは、駐車場トラブル相談事例は第1位の「無断駐車」56%に次いで「機械式立体駐車場」が21%を占めており、利用にあたっては特性をよく理解することが大切です。

車の大きさ、高さが制限される

機械式立体駐車場は、車高、車長、車幅、車重のすべてにおいて、上限が決まっているケースが多くあります。これは、駐車できる車の大きさが厳しく制限されることを意味します。

特に、平置き駐車場や自走式立体駐車場では、それほど問題にならない車高や車幅、車重には注意が必要です。家族が多いために大きな車に乗っている人や、日本車の規格とは異なる輸入車に乗っている人は、あらかじめ利用が可能か否かを確認しましょう。

「コンパクトカーや軽自動車なら問題ない」と思われがちですが、最近ではこれらの車でも車高が高いものも少なくありません。機械式立体駐車場では155cmの高さ制限を設けている場合もあります。機械式立体駐車場の利用を前提に車を選ぶ際には、車の大きさに注意しましょう。

入出庫に時間がかかる

どうしても入出庫に時間がかかる

機械式立体駐車場は、平置き駐車場や自走式立体駐車場と比較して、入出庫に時間がかかります。入出庫の方法としては、操作パネルでボタンを操作する、カード認証によって車室を呼び出すなど、ひと手間かかるものがほとんどです。

時間に余裕がある場合はそれほど問題になりませんが、平日の朝や夕方など、利用者が集中する時間帯は注意しましょう。数十分程度待たされることもあるため、時間に十分な余裕を持って駐車場へ向かう必要があります。

また、暗証番号や認証用のカードを忘れると、ほかの利用者に迷惑をかけてしまいます。自分の番になったらすぐに取り出せるよう、あらかじめ準備しておきましょう。

感知センサーが作動して機械が止まる

機械式立体駐車場には、事故防止のためにセンサーが設置されています。このセンサーが異常を感知すると緊急停止状態となってしまいます。よくある例としては、ドアミラーをたたまずに入庫してしまった、半ドア状態だったのが機械の作動した衝撃で開いてしまった、規格外の車両を停めてしまった、などです。

平置き駐車場や自走式立体駐車場では、これらのことが問題になることはほとんどありません。「こんなことで止まってしまうのか」と思うかもしれませんが、機械式立体駐車場では深刻な事態で、緊急停止状態となればその後の操作はできなくなってしまいます。

緊急停止状態は問題が解決すればいずれ解消されますが、ある程度の時間を要することも少なくありません。ほかの利用者に迷惑がかかることは必至であり、大きなトラブルにも発展しかねないため、入庫の際には気をつけましょう。

維持にお金がかかる

機械式駐車場は維持費がかかる面も

共同住宅における機械式立体駐車場は共用施設とみなされます。賃貸の場合は維持管理をオーナーが行いますが、分譲マンションの場合はマンションの住民が共同で維持管理をしなくてはいけません。

機械式立体駐車場は、平置き駐車場や自走式立体駐車場と比較して、維持管理費が高くなるのが一般的です。加えて、法定耐用年数は一般的な機械式駐車装置で15年、付随する設備の耐用年数はさらに短く、定期的な改修や交換が必要になるため、修繕積立金の制度は必須だと考えましょう。

マンションの所有は、購入時にかかるイニシャルコスト以外に、駐車料金や管理費、修繕積立金などのランニングコストがかかります。修繕積立金が不足する場合は値上げや一時金の徴収もあり得るため、ランニングコストはある程度の余裕をもって計算しましょう。

都市部では車を持たずに生活する人も少なくありません。車を持たない世帯が多いマンションは必然的に駐車場の空きが出ます。すると修繕費の確保が厳しくなり、駐車料金や修繕積立金を値上げせざるを得ない状況になることもあります。

また、車を持たない世帯と持っている世帯とでは利害が異なるため、合意形成が難しいことがあります。機械式立体駐車場の運用は長期修繕計画を綿密に立て、駐車料金などを設定することが大切です。

実際に起ってしまった事故報告

機械式立体駐車場は大きな「機械」であり、使い方を誤ったり災害に遭ったりすると、機械ならではの事故につながることもあります。実際に以下のような事故が起きており、機械式立体駐車場の利用にあたっては注意が必要です。

間違い駐車で事故が発生!

機械式立体駐車場には1台分ごとに「パレット(車を乗せる台、または駐車をするスペースのこと)」が設けられています。すべて同タイプのパレットとは限らず、さまざまなサイズの車を入庫できるよう、入庫スペースの大きさを変えて設計しているケースも少なくありません。

ある住民は、パレットの番号を間違えて車を入庫してしまい、その車高が入庫したパレットの車高制限を超えていたため、ほかの車が出庫する際に車の上部がへこんでしまいました。このように、機械式立体駐車場の間違い駐車は大きな損害を生む可能性があります。

重大な人身事故も

機械式立体駐車場では、命に関わる事故が発生することもあります。国土交通省の調査では、2007年度以降2016年6月までの期間に少なくとも32件の死亡・重傷事故が発生しており、うち12件は死亡に至っています。3件は子どもが亡くなるという非常に痛ましい事故でした。

重大事故となった理由は、装置内に人がいる状態で機械が作動してしまった、人の乗り降りや歩行時に転倒や落下をしてしまった、作動中の装置の中に人が侵入して稼働部に巻き込まれたり挟まれたりしてしまったなどです。

不慮の事故もあるものの、確認や注意をしていれば防げた可能性のある事故もあります。いずれにしても「機械を操作する」ということへの認識をより強く持つことが大切です。

出典:国土交通省「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き

水害で車が水没してしまった!

地下部分が浸水することも

近年、日本の気象状況は大きく変化しています。機械式立体駐車場では、台風やゲリラ豪雨などがもたらす大量の雨によって地下に格納していた車が水没した例があります。

これは、下に潜るタイプの機械式立体駐車場に限定される事故です。地下に大量の水が浸入してしまうと排水が追い付かず、車が水に浸かってしまいます。被害は甚大で、車の買い替え費用ばかりでなく、水による機械装置の損傷も発生するため駐車場自体の修理費用も必要になります。

まとめ

以上のようなトラブルが発生していることを考えると、機械式立体駐車場はデメリットばかりだと考える人もいるかもしれません。一方、防犯面や風雨にさらされない点など、機械式立体駐車場にも十分なメリットがあることも事実です。

マンションの購入にあたっては、駐車場のタイプのみならず、専有部分、共用部分の使い勝手などを総合的に判断して、後悔のない物件を選びましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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