土用の丑の日と聞くと鰻を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、土用にまつわる風習は鰻だけではありません。土用の期間中は地鎮祭を行わないなど、建築上の慣習にも影響があります。

この記事では、土用の丑の日について、なぜ鰻を食べるのか、鰻以外にどのような慣習があるのか、などを詳しく解説します。

土用の丑の日はどういう意味?

「土用の丑の日」という言葉は、夏が近づいてくるとよく目にするのではないでしょうか。しかし、鰻を食べる日といった以外の意味を想像できない人も多いでしょう。そこで、土用の丑の日の意味を解説します。

土用とは

よく夏に鰻を食べるキャンペーンが行われるため誤解している人も多いのですが、土用の丑の日の「土用」は夏だけではありません。土用は立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前の18日間であり、春夏秋冬の各季節にあります。立春・立夏・立秋・立冬の日付と土用の期間については概ね以下の通りになります。

立春、立夏、立秋、立冬がいつなのかはその年によって少しずれる可能性があるため、具体的な日付は暦を確認してみてください。ちなみに、2021年の立秋、立冬は、8月7日、11月7日、2022年の立春、立夏は2月4日、5月5日です。

丑の日とは

土用の丑の日の「丑」とは十二支のなかの丑のことを指します。昔は日付に対して、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支を当てはめていました。

そして、十二支が30周すると1年が経過するとされ、1年は360日でした。そのため、1年が365日とされている現代とは差があり、丑の日もその年によって日付が異なります。

つまり、「土用の丑の日」とは?

前述したとおり、土用の期間中にある丑の日が「土用の丑の日」に当たります。そのため、土用の丑の日は各季節にあるということになります。

また、土用は18日間であるなか、干支は12日で一周します。そのため、その季節の土用の丑の日が2日ある年もあるでしょう。近年では2017年に夏土用の丑の日が2日ありました。この場合、土用の丑の日はどちらか一方のみとなるのではなく、一の丑、二の丑と、両方とも土用の丑の日として扱われます。

2021年夏の土用の丑の日はいつ?

2021年の夏土用の丑の日は7月28日(水)です。この日が近づくと、コンビニやスーパー、飲食店などで鰻のキャンペーンが始まるでしょう。普段あまり鰻を食べることがない人も、「この時期は鰻を買ってしまう」ということが多いのではないでしょうか。

土用の丑の日にはなぜ鰻を食べる?

夏の土用の丑の日は鰻を食べる風習がありますが、そもそもなぜ鰻なのか不思議に思う人もいるでしょう。ここでは、土用の丑の日に鰻を食べる風習の起源や鰻以外の食べ物についてご紹介します。

鰻を食べる風習は江戸時代からはじまった

土用の丑の日に鰻を食べる習慣は江戸時代に生まれたとされています。誰が始めたのかについては諸説あり、代表的なものとしては「平賀源内説」「大田南畝説」「春木屋説」の3つです。

「平賀源内説」
発明者の平賀源内は「商売が上手くいかない」という鰻屋に、店先に「本日土用の丑の日」と大々的に張り出すよう助言をしたところ、店が繁盛しました。これは、丑の日に「う」のつくものを食べると夏負けしないという風習があり、それからヒントを得たといわれています。

「大田南畝説」
狂歌師の大田南畝も平賀源内と同じような提案をした、とされています。大田南畝が売れない鰻屋に対して「本日食べれば一年中無病息災」と土用の丑の日に打ち出すことを提案したところ繁盛した、という説があります。

「春木屋説」
鰻屋の春木屋は、土用に大名から大量の蒲焼の注文を受けました。その注文をこなすために、子・丑・寅の3日間焼き続け、土がめに保存します。すると、丑の日に焼いた鰻だけ味が落ちず腐らなかったため、土用の丑の日の鰻が評判になったという説です。

鰻は栄養価が高く夏バテ防止に向いている

鰻は栄養価が高い食べ物として知られています。ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、カルシウムなどが含まれていて、疲労回復や免疫力を高める働きがあります。

とくに、ビタミンB1はほうれん草の約15倍、ビタミンB2はほうれん草の約6倍含まれています。

土用の丑の日である7月後半は、暑さが厳しくなるころです。真夏の盛りで体力が消耗しやすい時期に、疲労回復の効果が期待できる鰻を食べるというのは理にかなっているといえます。鰻の旬は冬場ではありますが、本格的な暑さに備えるために鰻を食べ、夏バテを防止しましょう。

土用の丑の日に食べるとよいとされるもの

土用の丑の日といえば、鰻を食べるのが定番です。現代ではあまり知られていませんが、実は土用の丑の日に食べるものは鰻だけではありません。土用しじみや土用餅(あんころもち)、土用卵(土用に産まれた卵)など、土用にちなんだものがたくさんあります。

ほかにも、梅干しやうどん、牛の肉、馬の肉など、「う」がつく食べ物も土用の丑の日に食べるといいとされています。土用の丑の日を、鰻以外の食べ物で楽しんでみてもいいでしょう。

土用の期間中は地鎮祭ができない?

土用の丑の日に行う風習について解説してきましたが、反対に土用の期間に行ってはいけないという習わしもあります。土用の期間中はどんなことをするとよくないのか、その理由とともにご紹介します。

土用の期間中は土に関することはしない

土用の期間は土いじりに関することは避けたほうがよいとされています。

土用の期間中は土を司る土公神という神様が土の中で休んでいるため、土いじりをすると土公神の怒りをかってしまうといわれています。

そのため、土用の期間中は草むしりや家の基礎工事など、土に関することをしてはいけません。ちなみに、鰻は夏土用の丑の日の風習ですが、この土いじりに関する風習は、春、夏、秋、冬すべての季節の土用の期間が該当します。

土用の期間は地鎮祭や増改築は行わない

土用の期間中は土に関することはできないため、地鎮祭や増改築も基本的に避けるべきとされています。

地鎮祭をするときには神社の神主さんにお願いするのが一般的ですが、土用の期間は地鎮祭を受け付けていない神社も多くあります。

ちなみに、地鎮祭においては、土用の期間以外に「三隣亡(さんりんぼう)」も避ける必要があります。三隣亡は3軒隣まで滅ぼすといわれていて、建築関係の大凶日です。地鎮祭の日取りを決めるときは、土用の期間とあわせて三隣亡の日も確認しましょう。

土用の期間でも土用の間日には着手可能

土用の18日間はまったく工事や地鎮祭ができないのかというと、そうではありません。土用のなかでも間日(まび)の間は土公神が土から出るといわれていて、その日は土に関することをしてもよいとされています。間日は以下の日です。

冬の土用:寅、卯、巳の日
春の土用:巳、丑、酉の日
夏の土用:卯、辰、申の日
秋の土用:未、酉、亥の日

土用の期間のなかでも数日間の間日があるので、1日で済むような作業であれば可能です。しかし、地鎮祭に関しては土用の期間中は受け付けていない神社も多いでしょう。

どうしても土用の間に工事や地鎮祭を行いたいときは、建設会社や神社が間日に対応しているかどうか確認してみてください。

まとめ

土用の丑の日は、立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前の18日間にある丑の日のことです。日本では、立秋前の土用の丑の日に、精をつけるために鰻を食べるという風習があります。鰻以外にも梅干しやうどんなど、「う」のつく食べ物もよいとされています。

一方、土用の期間は土に関することは避けるべきだという習わしもあり、地鎮祭や増改築は基本的には行われません。地鎮祭や増改築、家の基礎・配管工事などの予定を立てる際には注意しましょう。

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