「一畝」「一反」「一町」…昔ながらの面積の意味と知られざる歴史

日本で古来使用されていた面積の単位をご存知でしょうか。農家の方には馴染み深いものですが、一般的には使わない単位です。一畝、一反、一町と書かれていても、読み方すらわからない人もいることでしょう。この記事では、そんな日本古来の単位について、身近な単位に変換してわかりやすく解説します。

 

一畝(せ)とは

一畝(読み方:いっせ)とは一反の1/10の面積を示す農業用語の単位です。広さは約99.1平方メートル、坪数は30坪、メートル法では約1アールとあらわせます。尺貫法の土地の面積をあらわす単位です。

一畝(30坪)は、6畳の和室(約10平方メートル)が10部屋あるイメージです。スポーツのコートに例えると、テニスコート(シングルス)は、一畝(30坪)の約2倍の広さになります。

 

一反(たん)とは

一反(読み方:いったん)とは、面積をあらわす農業用語の単位です。具体的な面積は約991.7平方メートル、坪の広さは300坪とあらわせます。メートル法では約10アールです。これも尺貫法の面積の単位です。

田んぼ一枚・面の大きさは一反であることが多く、もともと米を一石(読み方:いっこく)収穫できる面積を一反としていたからです。一石とは、尺貫法における体積の単位。一石は千合に相当し、大人1人分の年間消費量に相当すると言われています。大人が1食に一合食べると考えると1日に三合消費し、それを365日続けるのでおおよそ千合となるのです。

作物の一反あたりの収穫量を反収(読み方: たんしゅう)と言います。似たような言葉で単収(読み方: たんしゅう)がありますが、これは一定面積当たりの収穫量を指すので、別の単位として覚えておきましょう。

一反はテニスコート(シングルス)の5倍。標準的な小学校や中学校の体育館2つ分程度の広さです。また、東京ドームは47反分の広さがあります。

 

一町(ちょう)とは

一町(読み方:いっちょう)とは、一反の10倍の広さです。具体的な面積は約9917.36平方メートル、坪数は3,000坪、メートル法では約100アール(1ヘクタール)とあらわせます。これも尺貫法の面積の単位です。

東京ドームは約4.7町の広さで、テニスコート(シングルス)の約50倍の広さです。また、甲子園球場や東京ドームの野球グラウンドの広さが約12,000~13,000平方メートルなので、一般的な広さの野球グラウンドよりやや小さい程度と考えると分かりやすいでしょう。

 

面積のあらわし方の種類や歴史

土地の面積をあらわす方法として、日本では古来「尺貫法」が用いられ、現代においては「計量法」という国際的な基準が使用されています。ここでは、面積をあらわす単位の種類や歴史をご紹介します。

古来の「尺貫法」とは?

尺貫法とは、日本の古い計量方法です。基本単位として、長さに尺(読み方:しゃく)、面積に歩(読み方:ぶ)、体積に升(読み方:しょう)、質量に貫(読み方:かん)を使っていました。日本では「計量法」により、1958年12月31日限りで取引や証明に尺貫法を用いることは禁止されています。

一方、不動産取引ではm2(平方メートル)が用いられますが、尺貫法の単位の面積として坪(読み方:つぼ)は今でも土地や建物の広さを表す単位としてよく用いられます。一坪は約3.3平方メートルです。ほかにも建築で使うものとして、一寸(読み方:いっすん)、一間(読み方:いっけん)があります。これらは長さの単位です。一寸は約3.03センチメートル、一間は約181.8センチメートルです。一尺が30.3センチメートルなので、一寸の10倍が一尺、一尺の6倍が一間という関係になります。

現代の「計量法」とは?

計量法とは、計量に使用する単位や計算の仕方を定めた法律です。国際単位系(SI単位)を採用しており、国際的に計量基準を統一する目的があります。計量法のなかに「商品量目制度」がありますが、これは商品に表示されている量と実際の商品の量の違いを、一定の範囲内にしなければいけないという決まりです。この制度のおかげで、表示されている量を信じて買うことができるのです。

日本における計量の歴史

日本では尺貫法による計量は中国大陸や朝鮮大陸から伝来し、大宝律令(701年)により制度として確立されたとされています。とはいえ、時代により基準がバラバラで統一した単位はありませんでした。その後、1582年に豊臣秀吉が太閤検地という土地の測量を開始し、バラバラだった計量制度をまとめました。

1875年には度量衡取締条例が制定され、全国的に統一されることになります。

その後、1891年には度量衡法が制定され、国際的な基準であるメートル法が認められることになりました。

しばらくは尺貫法とメートル法の混在する時代が続きますが、1921年にメートル法へ統一。1958年には取引に尺貫法を用いることが禁止されることになります。

 

農業単位のサイズ変換表

農業単位を平方メートルや坪、アールに換算した表を下記に記載します(小数点以下5位切り捨てで表示)。

坪のサイズ変換表

坪数

畝(せ)

反(たん)

町(ちょう)

10坪

0.3333畝

0.0333反

0.0033町

20坪

0.6666畝

0.0666反

0.0066町

30坪

1畝

0.1反

0.01町

40坪

1.3333畝

0.1333反

0.0133町

50坪

1.6666畝

0.1666反

0.0166町

60坪

2畝

0.2反

0.02町

70坪

2.3333畝

0.2333反

0.0233町

80坪

2.6666畝

0.2666反

0.0266町

90坪

3畝

0.3反

0.03町

100坪

3.3333畝

0.3333反

0.0333町

200坪

6.6666畝

0.6666反

0.0666町

300坪

10畝

1反

0.1町

400坪

13.3333畝

1.3333反

0.1333町

500坪

16.6666畝

1.6666反

0.1666町

600坪

20畝

2反

0.2町

700坪

23.3333畝

2.3333反

0.2333町

800坪

26.6666畝

2.6666反

0.2666町

900坪

30.畝

3反

0.3町

1,000坪

33.3333畝

3.3333反

0.3333町

2,000坪

66.6666畝

6.6666反

0.6666町

3,000坪

100畝

10反

1町

 

平方メートルのサイズ変換表

平方メートル

畝(せ)

反(たん)

町(ちょう)

100平方メートル

約1畝

約0.1反

約0.01町

200平方メートル

約2畝

約0.2反

約0.02町

300平方メートル

約3畝

約0.3反

約0.03町

400平方メートル

約4畝

約0.4反

約0.04町

500平方メートル

約5畝

約0.5反

約0.05町

600平方メートル

約6畝

約0.6反

約0.06町

700平方メートル

約7畝

約0.7反

約0.07町

800平方メートル

約8畝

約0.8反

約0.08町

900平方メートル

約9畝

約0.9反

約0.09町

1000平方メートル

約10畝

約1反

約0.1町

2000平方メートル

約20畝

約2反

約0.2町

3,000平方メートル

約30畝

約3反

約0.3町

4,000平方メートル

約40畝

約4反

約0.4町

5,000平方メートル

約50畝

約5反

約0.5町

6,000平方メートル

約60畝

約6反

約0.6町

7,000平方メートル

約70畝

約7反

約0.7町

8,000平方メートル

約80畝

約8反

約0.8町

9,000平方メートル

約90畝

約9反

約0.9町

10,000平方メートル

約100畝

約10反

約1町

 

アールのサイズ変換表

アール

畝(せ)

反(たん)

町(ちょう)

約1 アール

1畝

0.1反

0.01町

約2  アール

2畝

0.2反

0.02町

約3  アール

3畝

0.3反

0.03町

約4  アール

4畝

0.4反

0.04町

約5  アール

5畝

0.5反

0.05町

約6  アール

6畝

0.6反

0.06町

約7  アール

7畝

0.7反

0.07町

約8  アール

8畝

0.8反

0.08町

約9  アール

9畝

0.9反

0.09町

約10  アール

10畝

1反

0.1町

約20  アール

20畝

2反

0.2町

約30  アール

30畝

3反

0.3町

約40  アール

40畝

4反

0.4町

約50  アール

50畝

5反

0.5町

約60  アール

60畝

6反

0.6町

約70  アール

70畝

7反

0.7.町

約80  アール

80畝

8反

0.8町

約90  アール

90畝

9反

0.9町

約100  アール

(1ヘクタール)

100畝

10反

1町

 

町と町歩の違い

尺貫法の単位には「町」以外に「町歩」と書くことがありますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

町には「面積」の単位と「長さ」の単位があります。

面積の場合は、文中でお伝えした通り、約9917.36平方メートルの広さです。一方、長さの単位として使う場合、1町は109.09091メートルとなります。

これら、面積の単位と長さの単位が両方とも「町」となることもあり、混同することを防ぐために、長さの方を「町歩」と表記することがあるのです。なお、長さの町については「丁」とすることもあります。

 

田んぼでとれるお米の収穫量

田んぼでとれるお米の収穫量は、令和2年のデータでは、全国平均で10アール当たり531kgです。年間の1人当たりの消費量は約53.5㎏なので、一反(=約10アール)でとれたお米は1人暮らしの方の消費量に換算すると約10年分であることがわかります。

なお、令和2年の調査では日本全国の米の作付面積は1,462,000ヘクタール。
1ヘクタールは1町ですから、1,462,000町の田んぼで米が作られているということになります。

ちなみに、平成16年には約1,700町の作付面積で10反あたり514kg、さらに遡って昭和40年には約3100町の作付面積で10反あたり390kgの米が作られていたため、面積は徐々に減っている一方、米の面積あたりの収穫量はやや上昇していることが分かるでしょう。

 

まとめ

一畝、一反、一町といった尺貫法の単位の数え方について、さまざまな角度から解説しました。

昔から日本で使われていた尺貫法による計量は、国際化が進む中でメートル法の導入が進み、1958年には計量法で取引や証明に尺貫法が用いられることが禁止されました。

とはいえ、現在でも土地や建物の面積の数え方に「坪」を用いるなど、尺貫法を用いる機会もあります。尺貫法における単位の数え方について、今後用いる機会があるときは、本記事の内容を参考にしてみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2021.09.14)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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