「竣工」とは? 建物工事から引き渡しまでの流れや着工などの意味の違い

マイホームの購入を検討している人の中には、業者から竣工年月日に関する話をされたものの、竣工が何を意味するか分からないという人もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、似たような言葉に「着工」や「完工」などがありますが、それぞれが意味するのはどの時点なのかも気になるところです。

この記事では、竣工の意味、着工や完工などの似た言葉との違い、工事開始から引き渡しまでの流れを解説します。

 

竣工の意味とは

竣工(読み方:しゅんこう)とは、建築工事の完了を意味します。

竣工年月日(読み方:しゅんこうねんがっぴ)とは、建築工事が完了した年月日を意味します。たとえば、竣工年月日2021年6月1日の場合は、建築工事が2021年6月1日に完了した物件ということです。

竣工予定年月日という表現の場合は、まだ建築工事が完了しておらず、記載されている年月日に向けて建築工事が進行中であることを意味します。

建築工事には、地鎮祭、上棟式、竣工式の3種類の祭典(式典)があります。地鎮祭(読み方:じちんさい)とは、工事が始まる前に土地の氏神様に土地を使用する許可をもらい、工事の安全を祈る祭典(式典)です。上棟式(読み方:じょうとうしき)とは、骨組みが完成した時点で工事が無事に進行していることを感謝するとともに、完成の無事を祈る祭典(式典)です。

竣工式(読み方:しゅんこうしき)とは、建築物の完成を祝うとともに、安全と繁栄を祈る祭典(式典)という違いがあります。また、規模の大きな建築物の場合は、竣工ではなく竣成(読み方:しゅんせい)という言葉が使用されることもあります。

 

竣工と似た言葉は意味がどう違う?

建設業を含む不動産業界では、似たような言葉が用いられるため、どのような違いがあるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。

竣工に似た言葉として、以下の3つが挙げられます。

・ 着工
・ 落成
・ 完工

それぞれの言葉の意味について詳しく解説します。

着工

着工(読み方:ちゃっこう)とは、建築工事が開始されることを意味します。たとえば、2021年6月1日着工の場合は2021年6月1日に工事が開始されたということ。また、2021年7月1日着工予定の場合は2021年7月1日に工事が開始される予定であるということです。

竣工は工事が完了したことを意味するため、着工と竣工は対義語の関係にあたります。

着工に似た言葉に起工(読み方:きこう)がありますが、起工が大規模な工事を始める際に用いる、造船の場合には着工ではなく起工が用いられるといった点で異なります。

落成

落成(読み方:らくせい)とは、建築工事の完了を意味します。たとえば、2021年6月1日落成の場合は2021年6月1日に建築工事が完了したことを意味します。

竣工も建築工事の完了を意味するため、竣工と落成を混同しているケースも多いですが、使い分けられることもあります。たとえば、竣工は建築工事の完了を意味する一方、落成は建物の完成を意味するという細かな使い分けです。

つまり、竣工とは建築工事を完了させた建築会社が使用する言葉、落成とは建築工事が完了した建物を見た施主が使用する言葉です。

また、竣工式は建築物の完成を祝うとともに、安全と繁栄を神様に祈る祭典(式典)でしたが、落成式は建築工事を完了させた建築会社や近隣住民に感謝を伝えるために行われる、竣工や完工(次の見出しで紹介)は書き言葉で用いられる、落成は話し言葉で用いられるといった違いがあります。

完工

完工(読み方:かんこう)とは、建築工事の完了を意味します。たとえば、2021年6月1日完工の場合は2021年6月1日に建築工事が完了したという意味です。

竣工、落成と同様に建築工事の完了を意味しますが、こちらも使い分けられることがあります。完全や完璧を意味する「完」という漢字が使われているため、すべての工事が完了した場合に使用するという細かな使い分けです。

建築会社が作業や工事などを終えた場合に使用するのが「竣工」、竣工した建物を見た施主が使用するのが「落成」、建物だけでなく外構や内装などを含むすべての工事が完了した場合に使用するのが「完工」と細かな使い分けがあります。

しかし、完工と同じ読み方をする同音異義語(観光、慣行、刊行など)が多いという理由で、建築業界は竣工という言葉が広く使用されています。

 

工事開始から引き渡しまでの流れ

新築マンションの場合は、工事開始から引き渡しまでどのような手順でどのくらいの期間がかかるのか気になっている人もいらっしゃるのではないでしょうか。一般的に、新築マンションの建築の流れは以下の通りです。

1. 準備工事
2. 躯体工事
3. 内装・外装工事
4. 外構工事
5. 竣工

それぞれの工事内容について詳しく解説します。

1.準備工事
まずは準備工事です。

マンションを建築する地盤の調査を行い、地盤に問題がある場合は改良工事に取りかかります。建築予定地に建物が残っている場合には、建物を解体して更地に戻すことが必要です。

2.躯体工事
準備工事で地盤に問題がないことが分かれば、いよいよ躯体(読み方:くたい)工事です。

建物の支柱となる杭を打ち込む杭工事、型枠にコンクリートを流し込んで建物の土台を据える基礎工事が始まります。

1階から順に躯体工事に着手し、次々と上階へと移動していきます。
躯体工事が完了した場合は、メインとなる骨組みが完成したことを祝して上棟式が行われます。

3.内装・外装工事
躯体工事の完了を待たずに並行しながら内装・外装工事に取りかかります。

1階から順に電気の配線やユニットバスの据え付け、空調の配管工事などを進めます。その後、断熱材の施工、天井や壁のクロス貼りといった仕上げ作業を進めて内装工事は完了です。

内装工事の完了後は、下地処理やタイルの貼り付け、外壁塗装、屋上の防水工事といった外装工事に着手します。

4.外構工事
内装・外装工事が完了した後は、最後の仕上げである外構工事に取りかかります。

外構工事とは、駐車場のアスファルト舗装や植栽工事などです。工事の種類や規模によっては順番が多少前後します。

5.竣工
すべての工事が完了した後は、自社検査、完了検査、竣工検査の3つの検査を行います。

自社検査とは、建築工事を担当していた建築会社が行う検査です。工事の責任者や設計士が計画書通りに工事が完了しているかを確認します。

完了検査とは、建築基準法に基づき建築確認した内容通りに工事が完了されたか市区町村や指定確認検査機関が確認する検査です。検査の結果、問題ないと判断された場合は検査済証が交付されます。

竣工検査とは、最終的に問題がないかを施主に立ち会ってもらって行われる検査です。そのため、竣工検査は施主検査、内覧会(見学会)とも呼ばれています。

最終的に竣工検査に問題がなかった場合は、マンションを引き渡して建築工事が完了です。

マンションの規模で異なりますが、準備工事から竣工までは10ヶ月程度かかります。

竣工検査で問題がなかったとしても、何らかの不具合が生じるということも多いです。マンションは完成から1~2年後に瑕疵検査という不具合が生じていないかを確認する検査が行われるため、その際に不具合を解消してもらいます。

瑕疵の対応については契約手続き時の書類に記載されているので必ず確認しましょう。

 

まとめ

建設業を含む不動産業界では、似たような言葉が使用されるケースが多く、それぞれの言葉が何を意味しているのかよく分からないという人も少なくありません。

「竣工」も意味が分かりにくい言葉の1つであり、建築工事の完了を意味します。また、竣工だけでなく落成、完工も工事の完了を意味しているため、細かな使い分けがないか知っておくと誤解を避けられますし便利です。

マンションのような規模の大きな建築物は、着工から竣工まで時間がかかります。どのような流れで引き渡しまで進むのか事前に把握しておくことも、マンション購入時の重要なポイントの1つです。

(最終更新日:2021.08.16)
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