生活費、家計費、住居費…「家に入れるお金」の言い方や金額の決め方は?

実家暮らしの人が社会人になり、収入を得るようになったら、食費や光熱費などの一部を家に入れるお金として親に渡している人もいるでしょう。この「家に入れるお金」は、正式にはどのような名称があるのでしょうか。今回は、「家に入れるお金」の名称や言い方、金額の相場はどれくらいか、また、収入に応じた金額の決め方などについて解説します。

「家に入れるお金」の言い方とは?

社会人で実家暮らしをしている場合、炊事や洗濯、掃除など身の回りを世話してくれる親を気遣って、家にお金を入れる人もいるでしょう。自分で収入を得るようになってから家計簿を付け始める人もいます。この場合、家に入れるお金の名目を何と記入したらよいのでしょうか。

特別に決まった言い方はないものの、一般的に「家計費」「生活費」「住居費」などの費目で記帳することが多いようです。たとえば、住居費や食費、水道光熱費など、実際にかかった費用に対して何割負担など設定してある場合は、それぞれの費目で記帳しておくと何にどれだけかかったのかが一目瞭然です。特に決まっていない場合は、まとめて家計費や生活費などの費目で記帳するとよいでしょう。

家に入れるお金の相場は?

実家暮らしの社会人が家に入れるお金の金額と、その金額に決めた理由について、就職や転職関連の多彩な情報を発信する大手ポータルサイト「マイナビ」のデータをもとに紹介します。

入れていない

実家暮らしの若手社会人を対象にしたマイナビのアンケートによると、全体の回答者の30.7%が「家にお金を入れていない」という結果でした。その理由として挙がったのが「親が生活費に困っていないため、その分を自分の貯蓄に回すよう言われた」というものです。

若手社会人なら、親も現役社会人である家庭が多く、将来の備えとして貯蓄を促すケースは多いでしょう。また、「収入が少ないため家に回すだけの余裕がなく、免除してもらっている」というケースもあります。その代わり家事を分担するなど、お金は出せなくても何らかの形で補っているようです。

3万円~5万円

家にお金を入れている社会人の中でもっとも多い回答が、3万円以上5万円未満を負担しているケースで全体の28.9%でした。つまり、3万円台、4万円台が、家に入れるお金の相場と見ることができます。その金額にした理由は、「親と話し合って決めた」「世間の相場を参考にした」などとなっています。

平均給与や一般的な消費支出などから鑑みて、そのくらいの金額が妥当だとの判断かもしれません。一人暮らしですべて自分でやり繰りすることを思えば、実家暮らしは3万円~5万円を家に入れても自分の自由になるお金は多いといえます。

3万円未満

3万円未満を家に入れている人は、全体の26.6%でした。社会人1~2年目のうちは、まだ収入も少なく、通勤のために必要な被服費や美容代などの出費も一時的に多くかかることもあるでしょう。止む無く気持ちだけの少額しか家に入れられないというケースもあれば、親に少額で構わないと言われるケースもあるようです。

また、将来自立するために貯蓄に多く回したり、奨学金の返済に充てたりするなど、事情はさまざまです。

5万円以上

5万円以上を家に入れている人は13.8%です。相場よりも高めの金額を家に入れているケースは、全体からすれば少数派といえます。しかし、まったく家にお金を入れていない人を除けば、5人に1人は5万円以上を家に入れていることになるため、極端に少ないとはいえないでしょう。

「親の収入が少ないため家計の足しに」「自分ではあまり使わないので相場よりも高い金額を自分で決めた」「親に言われたから」などさまざまな理由があるようです。

出典:実家暮らしの社会人に聞いた! 家に入れるお金 は3万円~5万円が相場!?|マイナビ

家に入れるお金はいくらが適当?

家にまったくお金を入れていない人がいる一方、月に5万円以上を入れているケースもあることがわかりました。一般的にはどの程度のお金を家に入れるのが適当なのでしょうか。算出の基準とする考え方それぞれのパターンについて解説します。

一人暮らしの生活費を基準にした場合

総務省統計局の2020年1月から12月の調査によると、一人暮らしの勤労者世帯における毎月の支出額の推移は、20万円台~25万円台となっています。これらの支出のうち、食費が3万5,000円台~4万1,000円台、住居費として2万円~2万9,000円台、水道光熱費が8,000円台~10,000円台、家事用品が4,000円台~5,000円台です。

統計の数値は全国平均のため、地域により家賃相場はかなり変わるでしょう。しかし、一人暮らしをしていれば、生活費の平均値で6~8万円程度が毎月必ずかかることがわかります。首都圏や都心では住居費はさらにかかるでしょう。

家に入れるお金を一人暮らしの生活費を基準にする場合、若手の社会人を調査対象とした相場よりもかなり高く感じられます。というのも、総務省統計局は幅広い世代を対象とした調査のため、調査対象者の平均年齢が40代となるためです。そのくらいの年齢で単身なら、自由に使えるお金も多く支出も増えることが考えられます。それらを考慮したうえで収入や年齢に見合った金額に調整することが必要です。

出典:家計調査 家計収支編 単身世帯|総務省統計局

収入に対する割合を基準にした場合

厚生労働省の2019年の調査によると、会社員の初任給は16万円台~23万円台となっています。仮に、手取りの20%を家に入れるお金として計算した場合、15万円で3万円、20万円だと4万円で相場に近い金額になります。

手取り額に対する割合を基準として決める方法は、残業の増減や減給などで収入に増減が生じても負担にならず、臨機応変に対応可能です。実際の割合をどの程度にするかは親との話し合いにもよりますが、毎月の収入金額に変化がある人にとって、無理なく続けやすい方法といえるでしょう。

出典:令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給|厚生労働省

実際にかかる生活費を基準にした場合

総務省統計局の2020年1月~12月の調査によると、二人以上で暮らす世帯の支出平均額は、少ない月で25万円台、多い月で31万円台とのことです。1ヶ月の支出のうち生活費については、食費は7万円台~8万円台、住居費が1万5,000円台~2万円台、水道光熱費1万8,000円台~2万6,000円台、家具・家事用品が9,000円台~1万3,000円台となっています。

当然、単身世帯とはかかる費用にかなりの差異があります。これは、二人以上が暮らす世帯人数の全国平均が約3人となっているためです。そのため、1ヶ月あたりの平均支出額を頭数の3で割ると、一人あたり3万7,000円~4万6,000円程度になります。

このように、実際にかかった生活費の平均値を基準にした場合、全国の一般的な現状に即した金額が反映される算出方法といえるでしょう。金額としては、若手社会人が家に入れるお金の相場に近い数字になっています。

出典:家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)|総務省統計局

まとめ

「家に入れるお金」の名称には決まった呼び名がなく、家計費や生活費、住居費などさまざまな言い方があります。金額も0円~5万円以上まで幅があり、月に3~4万円程度を入れるケースがもっとも多いことがわかりました。

実際のところ、子どもが家に入れたお金を、子どもの結婚資金や独立資金など、子どものために使うお金として貯蓄するケースも少なくありません。さまざまなデータをもとにすると、家に入れるお金は月3~8万円程度の範囲内が適しているといえそうです。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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