自分の力で小屋を建てる! 知っておくべきポイントとは

最近「小屋」と呼ばれる小さな家を建てるのが静かなブームになっているのをご存知でしょうか。コロナ禍でリモートワークが増えたことによりワークスペースとしても注目されています。ほかにもセカンドハウスとして活用したり、趣味の部屋にしたり、使い方はさまざまです。

一見簡単に建てられそうですが、失敗を避けるには事前に確認すべきことがあります。そこで、小屋を建てるときに見落としがちな注意点をまとめました。

建設費用を細かく試算しよう

小屋を自分で建てるセルフビルドが増えている昨今。セルフビルドは、費用が安く済むのが魅力です。さらに、セルフビルドは自分の力で建てる喜びもあり、外出自粛が求められるなか、家族でできるイベントとしても楽しめます。

通常、小屋のセルフビルドキットの価格に工事費用は含まれていません。そのため、別途工事費用が必要になるケースがあります。セルフビルドキット以外にかかる費用についてみていきましょう。

基礎工事費

建物を支える重要な役割を持つ基礎工事。建築業者に頼むのが一般的ですが、小さな小屋の場合は自分で行うことも可能です。ワークスペースとして机や椅子を置くだけなど、使用形態が簡易的なものであれば基礎工事も簡単にできます。しかし、建築確認が必要な建物の場合は基準を満たすしっかりとした工事が必要になります。どのような建物に建築確認申請が必要なのかについては後ほど詳しく解説します。

断熱工事費

快適な小屋暮らしのためには断熱工事は必要になる

断熱工事そのものは難しくないため、自分で施工することもできます。ただし、材料である断熱材がオプション扱いとなり、セルフビルドのキット価格には含まれてない場合がほとんどです。必要であれば別途購入費用も用意しておく必要があります。

断熱されていない建物は外気温の影響を直接受けるため、真冬や真夏は特に過ごしにくくなってしまいます。とはいえ、建物自体が小さく、定住するわけではないのなら小型の冷暖房器具でまかなえる場合もあります。

設備工事費

水道・ガス・電気のライフラインに関わる設備工事も別途費用がかかります。電気の配線工事を行うには電気工事士の資格が必要なので、資格を持っていなければプロにお願いすることになります。

また、水道を引き込むために行う給水管敷設工事は自治体が指定する業者でないと施工できません。これらの工事はプロに依頼することになるため、セルフビルドキットとは別に費用を確保しておきましょう。

工具費用

工具は必需品

当然ですが、セルフビルドのための工具費用は別途必要になります。代表的なものは、のこぎりやインパクトドライバー、ハケ、メジャー、水平器などです。一般家庭にないものも多いため、組み立てるための道具を別でそろえる必要があります。

今後さまざまな場面でDIYをする予定があるなら、道具を一式揃えてみてもいいかもしれません。しかし、小屋を建てるときだけ工具を使うのであればレンタルするのも一つの方法です。ホームセンターによっては工具を貸し出しているところもあるので、店舗に確認してみましょう。

建築確認が必要かどうか確認しよう

「物置程度の小屋だから建築確認は必要ないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、安易に考えてはいけません。もし、建築確認が必要な建物であるにもかかわらず申請をせずにいると、違法建築物になってしまう可能性があります。たとえ小さな物置だったとしても、建築する以上は申請が必要かどうかの確認は必須です。

それでは、どんな建物に建築確認が必要なのかみていきましょう。

建築確認の基準

建築物は基本的に建築確認が必要になります。建築確認申請が不要なのは以下3つの条件をクリアしている場合です。

1. 床面積が10平方メートル以下の建築物であること
2. 増築・改築・移転であること(新築の場合は不可)
3. 防火指定のない地域であること(防火地域・準防火地域以外の地域)

なお、小屋を建てる敷地が都市計画区域外であれば、建築確認は必要ありません。

防火指定や都市計画区域に関しては小屋を建てる場所によって決められているため、建てる敷地が該当するかどうか調べることで確認ができます。

気をつけたいのが、1の「建物の床面積」と2の「増築・改築・移転」という項目です。10平方メートル以下というと6畳ほどの大きさになり、それより大きいと建築確認が必要になります。そして、増築・改築・移転というのは、敷地に母屋があるかどうかが基準になります。つまり、更地に新築で小屋のみを建てる場合は床面積にかかわらず建築確認が必要です。一方、母屋がある土地に小屋を増築する場合は、その土地が防火地域・準防火地域外で、床面積が10平方メートル以下なら建築確認が不要ということです。

建築確認申請を自分で行うには

建築確認申請は本来自分で申請するものです。しかし、申請に必要な設計図書は専門の知識がないと書けません。そのため、建築士に依頼するのが一般的です。また、建築士に依頼すると建築士の特例が適用されます。これは、建築士が設計した建築物であれば規定の多くを審査対象から外すことができるというものです。つまり、建築士に設計から確認申請を依頼すれば建築確認の審査を簡素化できるのです。

個人で申請するとこの特例が適用されないため、申請のハードルが上がります。お金を払ってでも建築士に依頼したほうが無難だといえるでしょう。

固定資産税がかかるかどうか確認しよう

固定資産税を念頭に置こう

「建築確認の必要がない場合は固定資産税もかからない」と考えている人もいるかもしれませんが、この二つは別物です。建物には基本的に固定資産税がかかると考えておきましょう。ここでは、固定資産税がかかる条件や免除される点について解説します。

固定資産税がかかる条件

固定資産税がかかるか否かは、その建物が「建物」とみなされるかどうかで決まります。建物と定義されているのは次の1~3のすべてを満たすものです。

1.屋根、周壁(周囲に外壁)を有する
2.土地に定着している
3.使用目的に適した状態である

1と3は全ての小屋に該当するため、重要なポイントになるのが2の「土地への定着性」です。土地に定着しているかどうかの基準は、基礎の有無です。基礎工事をしていれば建物とみなされ固定資産税がかかります。一方、ブロックの上などに置かれただけのものは「構造物」とみなされ、固定資産税がかかりません。しかし、台風や地震などが起きたときは基礎工事をしていないと危険です、基礎工事の必要性は、しっかりと検討しましょう。

固定資産税の免税点

建物に該当しても固定資産税がかからない場合があります。それは、課税標準額が免税点(下記の価格)を下回った場合です。

・土地 30万円
・建物 20万円

これは小屋単体ではなく、同一市区町村内において同じ所有者のすべての物件の合計です。建物の場合、合計の課税標準額が20万円未満であれば非課税になります。反対に、物件の合計の課税標準額が20万円を超えた場合、すべての建物に対して課税されることになります。

まとめ

小屋を建てるには、建てる場所や設置方法を検討することはもちろん、費用の総額や法規制についても事前に確認しておくことが大切です。建築費用や建築確認、固定資産税について考慮しておけば、小屋をセルフビルドするときの大きな失敗は回避できるでしょう。小屋を自分で建てる喜びは格別なものがあります。ぜひセルフビルドにチャレンジしてみてください。

~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア