最近、各地で町内会・自治会をめぐるトラブルが報道されています。町内会・自治会は、戸建てに限らずマンションなどの集合住宅にもあります。引っ越した先でトラブルに巻き込まれないか心配している人もいるかもしれません。ここでは、実際に起きた町内会・自治会をめぐるトラブルを紹介し、解決方法について解説します。

町内会・自治会とは

そもそも町内会・自治会とはどのようなものなのでしょうか。総務省の資料では、「町または字(あざ)の区域、その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体」と定義しています。

(出典)総務省「自治会・町内会等とは」

活動内容については「区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等、良好な地域社会の維持および形成に資する地域的な共同活動」となっています。各自治体でも町内会・自治会の役割を重視し、地域コミュニティを作るうえで協力し合っている場合が多いようです。ホームページで活動内容を紹介したり、自治体としての支援内容を具体的に紹介したりしている自治体もあります。

町内会や自治会、町会と呼び名は別れているものの、すべて同じ団体です。また、これらのほとんどは法人格のない任意団体です。したがって、法律上は権利能力がありません。ただし、一部に「認可地縁団体」として法人格を持っている会もあります。任意団体、認可地縁団体にかかわらず、加入は任意であり、強制力はありません。

町内会・自治会の活動

楽しいお祭りも町内会があればこそ

町内会・自治会の活動内容は地域や会によってさまざまですが、主な活動のひとつが「防犯や地域安全活動、災害時の対応」です。具体的には、防火・防犯パトロール、防災訓練や防災マップの作成、災害時の緊急連絡などがあります。また、「ごみ集積所の管理と環境美化活動」も行っています。環境美化活動は、河川や水路の清掃活動などのことです。

さらに、「お祭り、イベントなどの文化・レクリエーション活動」や「子ども会や老人会などの福祉活動」などもあります。いずれも地域のコミュニティを維持するための活動であり、住人同士がコミュニケーションを図ったり、地域の活性化を図ったりするうえで重要な役割を担っているといえるでしょう。

活動の一部には、行政の補助的な仕事もあります。ごみ集積所の管理などは、その一例になります。どんな人であってもごみ出しをせずに生活はできないので、町内会・自治会未加入者のごみ集積所利用を巡っては、トラブルになるケースが多いようです。

町内会・自治会で起きたトラブル事例

この章では、実際に起きた町内会・自治会のトラブルを紹介します。いずれも当事者間で解決できずに裁判で争われたケースです。

寄付金が自治会費に上乗せされた

善意も強制されると…

滋賀県のある自治会では、赤い羽根共同募金などの寄付金集めを戸別訪問で行っていました。しかし、集金業務が負担になるため、自治会は自治会費を増額し、増額分を寄付に充当する方法を提案したところ、総会の賛成多数で可決されました。

しかし、会員の中に、本来個人の自由な意思に委ねられるべき募金が強制的に徴収されることに異を唱え、増額を拒む人たちが出てきました。結局、自治会と、増額を拒否した会員たちは裁判で争うことになりました。2007年8月に大阪高裁から下された判決は、「(自治会の)決議は思想、信条の自由を侵害し、公序良俗に反する」というものでした。その後、この自治会では自治会費の増額をやめて、寄付金や募金は自由意志に託されました。

町内会・自治会の寄付金や募金にまつわるトラブルは各地で発生しています。寄付金や募金の呼びかけが町内会・自治会の業務になっていること自体に問題があるという考え方もありますが、まずは集金を呼びかける側、応じる側の双方が強制は違法であることを理解しておく必要があるでしょう。

マンション管理組合が地域の町会に一括加入

大阪市にある総戸数約230戸のマンションでは、住人の高齢化が進んでいました。そこで災害時の安否確認に対する備えを不安視した管理組合は、地域の町会に一括加入することを総会で決議しました。町会費は、管理組合費から捻出するとしたところ、賛同しなかった一部の住人により提訴されました。

大阪地裁はこの訴えに対し、「町会の加入や費用支出は管理組合の目的の範囲外であり、無効と言わざるをえない」と指摘し、管理組合として町会へ加入することは不適切であり、加入は住民の意思に委ねられるべきとの判決を下しました。

実は、マンションの管理組合と町内会・自治会とでは目的や法的根拠が異なります。管理組合の場合、建物の維持や管理を目的とし、区分所有法のもと、区分所有者全員の加入や費用負担が義務付けられています。これに対し、先述したように町内会・自治会の加入は任意であり、法的拘束力はありません。

15年間ごみ集積所を自宅前に固定

横浜市では、1999年の転居以来、15年間ごみ集積所を自宅前に設置され続けた男性が、自治会に輪番制を提案したにもかかわらず却下され、同じ自治会班の住民に利用されてきたことから裁判となりました。

横浜地裁は「男性は悪臭やごみの散乱、景観の悪化などの被害を受けてきた」とし、原告側の被害は受忍限度を超えていると認定しました。そして、住民側も被害を分け合うよう努力することを期待し、利用禁止まで6ヶ月の猶予期間を設けるとしたのです。

実際にトラブルが起こってしまったら

本来、町内会・自治会は、安心・安全で住み良い地域社会にするための活動を行う組織です。しかし、残念ながら前述した通り、さまざまなトラブルを起こしている町内会・自治会もあります。できればこのようなトラブルに巻き込まれたくないものですが、身の回りで起きてしまった場合にはどのようにしたらよいかを、以下に解説します。

自治体に相談

前述した事例のほかにも、町内会・自治会トラブルには、行事への参加を強制される、役員・会長になることを無理強いされる、高額な寄付金や理不尽な要求をされるなどがあります。このようなトラブルに遭遇した場合は、まずは自治体(市町村の役所)に相談してみましょう。

弁護士に相談

弁護士に相談という手も

自治体に相談しても、なかなか対応してもらえない、解決の見込みがないと感じた場合は、弁護士に相談することもできます。弁護士相談はハードルが高いと感じるかもしれませんが、まずは各地の弁護士会の法律相談センターに問い合わせてみるのがよいでしょう。法律相談センターでは、弁護士が相談に応じてくれますし、公的団体が運営しているので安心感があります。

さらに、法テラス(日本司法支援センター)に相談するという手もあります。法テラスは国によって設立された機関で、全国どこでも法律に関するトラブルを解決するために必要な情報やサービスを受けられます。経済的に余裕がない場合は無料法律相談が受けられます。

まとめ

町内会・自治会が、地域の大切なコミュニティ活動を担っているのも事実です。自治体サービスが行き届かないような細々とした仕事を引き受けたり、住人同士の調整役を担ったりして、身近な頼れる存在になっている町内会・自治会もあるでしょう。しかし、町内会・自治会トラブルに遭ってしまい、解決が困難になった場合は、自分の家族だけで抱えず、上記のように相談することをおすすめします。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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