大学までにかかる教育費とは? 教育費として確保すべき目安額を解説

子どもの教育費は一体どのくらいかかるのか、どのように準備したらよいのかと不安に感じている人は少なくないでしょう。

子どもが小さいうちはそれほど費用がかかりませんが、中学、高校、大学と上がるにつれ教育費は増大します。本記事は、幼稚園から大学までにかかる平均的な教育費について解説します。子供のために用意すべき教育費の目安にしてください。

幼稚園にかかる費用

幼稚園から大学に至るまで、通う学校が公立か私立かによってかかる費用には大きな差がでます。幼稚園で1年間にかかる学習費の実態は、下表の通りです。

出典:文部科学省「平成30年度 子供の学習費調査 1 学校種別の学習費

表中の学校教育費は、保育料のほか、行事や父母会にかかる費用、教材費など幼稚園にかかる費用です。学校教育費の内訳では、公立、私立ともに授業料が全体の5割以上を占めています。また、学校外活動費は、習い事の月謝など家庭でかかる費用です。表の一番下段が学習費の総額です。

表からも明らかなように、公立か私立かによってかかる費用に大きな差が生じます。学習費総額の差額は、1年間で約30万円になるため、私立の場合は公立に比べて卒園までの3年間で約90万円も多くの費用がかかっていることが分かります。

幼稚園の無償化

公立、私立でかかる費用に大差があることに驚かれた人もいるでしょう。しかし、2019年10月より幼稚園にかかる保育料が一部無償化になりました。

無償になるのは学校教育費のなかに含まれている保育料のみです。行事費や学校納付金、教材費、通学費などは無償になりません。また、無償となる月額保育料には上限があり、超過分は保護者負担です。

とはいえ、私立幼稚園の場合では年間最大30万8400円が無償化されることになりますし、別途補助制度などを設けている自治体もあります。詳しくはそれぞれの自治体のホームページなどで確認することをおすすめします。

幼稚園の無償化についての詳しい解説は、こちらの記事をご参照ください。

関連記事:幼児教育・保育の無償化は2019年10月から! わが家は対象になる?

小学校にかかる費用

続いて、幼稚園と同様に公立、私立に分けて小学校の1年間にかかる学習費の実態を考察します。

出典:文部科学省「平成30年度 子供の学習費調査 1 学校種別の学習費

小学校でかかる学習費を見ると、公立では幼稚園時よりも学校教育費が下がっていることがわかります。公立小学校では授業料がかからないため、学校給食費を含めてもかかる費用は1年間で約11万円、1ヶ月にすると1万円未満です。これに対し、授業料が約半分を占める私立の学校教育費は、公立と比較すると14倍近くになります。

学校外活動費は公立、私立ともに幼稚園時に比較して高額になっていますが、これは小学校になると習い事が増えるほか、学習塾や家庭教師などの補助学習費がかかるためと考えられます。

教育費が低めに抑えられる公立小学校の場合は、この6年間が高校、大学の教育費に備えやすい時期になるでしょう。一方、私立の場合は6年間の学習費の総額が約960万円にもなることを考慮すると、相応の世帯年収が必要になります。

中学校にかかる費用

中学校の学習費の実態はどうでしょうか。

出典:文部科学省「平成30年度 子供の学習費調査 1 学校種別の学習費

中学校も公立の場合は授業料がかかりませんが、学校教育費に含まれる修学旅行、遠足費のほか、教材費などが、小学校時に比較して増加します。私立の場合は授業料が有料となるほか、学校納付金、修学旅行、遠足費などの費用が公立より高額になります。このため、学校教育費は公立の約14万円に対し、約107万円と8倍近くになります。

中学校では、学習塾や家庭教師、習い事にかかる費用である学校外活動費も増えます。特に、公立では高校受験に向けて2年から3年にかけての学習塾費用が膨らむ傾向があります。学校外活動費は公立、私立とも大差なく30万程度かかることがわかります。

高校にかかる費用

高校になると、小学校、中学校のときほど公立と私立の教育費の差が大きくないことが分かります。

出典:文部科学省「平成30年度 子供の学習費調査 1 学校種別の学習費

高校は義務教育ではないため、公立でも入学金がかかり、授業料も有料となります。とはいえ、公立の授業料は年間2万5千円程度で、私立の23万円に比較すると低めです。ただし、教科書や教材費、教科外活動費などが増大するほか、自宅からの通学費もかかるようになります。このほか、大学受験をする場合は、受験準備のための費用や検定料、入学金などが必要です。

高校の授業料は、2010年にスタートした「高等学校等就学支援金制度」、いわゆる高校無償化により、要件はあるものの無償になりました。その後、制度改正により支援の対象が絞られましたが、再改正後、再び支援が拡充されることになりました。以下に新制度について紹介します。

高校の無償化

2020年4月から改正後の就学支援金制度がスタートし、年収約590万円未満の世帯は、私立高校で年間39万6,000円、公立高校で最大11万8,800円まで授業料が無償化されました。さらに、各自治体独自の補助金や支援金が上積みされる場合もあります。

なお、新制度における高校無償化は、世帯年収が約910万円未満である家庭が対象です。そのため、保護者の収入や子どもの人数によって受給できるかどうかが変わります。

所得制限や申請の仕方など、詳しくはこちらの記事を参照してください。

関連記事:「公立高校無償化」には所得制限がある! 世帯年収の計算方法とは

大学にかかる費用

大学も高校同様に公立であっても入学金や授業料がかかります。

出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果

大学の場合、かかる費用は国公立か私立か、理系か文系かによって大きな差が生じます。

受験や併願校や入学する大学に支払う入学金などの入学費用は、国公立でも77万ほどかかりますが、私立の場合は90万円以上となります。

在学費用は、国公立は115万円ですが、私立理系になると190万円以上、医学部などはさらにその倍以上かかるとうことが一般的です。また、私立の音楽学校なども学費が高いことで知られています。

大学生になると、遠方で一人暮らしをする子どもも増えるため、生活費や家賃などの仕送り金も別途必要です。日本政策金融公庫の調べによると、自宅外通学者への仕送り額の年間平均は90.3万円(月約7.5万円)です。学費と仕送りを合わせると国公立大でも4年間で900万円ほどかかるでしょう。

教育費は大学までにどのくらいかかる?

これまでの解説を踏まえて、幼稚園から大学までにかかる費用の総額を算出すると、以下のグラフにようになります。算出の際は、幼稚園にかかる年額費用の3年分、小学校6年分、中学・高校3年分、大学4年分に入学費用を加算、私立大学の場合は文系の学費を採用しています。

 

 

グラフから、子ども一人にかかる教育費の総額は、幼稚園から大学まですべて国公立に進学した場合でも約1,080万円かかることがわかります。すべて私立の場合では2,533万円ですが、大学が理系の場合はさらに費用がかかります。

幼稚園から大学までのすべての過程で私立の方が国公立より費用がかかるため、私立に通う時期が長いほど教育費の負担が増えることになります。また、幼稚園から大学までの教育費についての目安を把握する際は、教育費以外にもかかる費用があることも念頭に入れておきましょう。

教育費が心配な場合の対処法

幼稚園から大学までの教育費を知って、心配になった人も少なくないでしょう。しかし、少子化対策の一環として、国や自治体ではさまざまな補助金や支援策を設けています。ほかにも教育費への不安や負担を解決するための方法があるので、以下に解説します。

学資保険

子どもの教育資金を準備するにあたっては、まずは学資保険があります。学資保険は、子どもの将来に必要な学費を貯めるためにコツコツ積み立てていく保険です。契約時に決めた保険料を満期まで毎月払い込むことで、必要な学費を半ば強制的に貯蓄することができます。

学資保険には貯蓄型や保険型などさまざまなタイプがあり、それぞれメリット、デメリットがあるので、家庭の事情や教育プランなどに合わせて選ぶと良いでしょう。

学資保険の利用ポイントについては、こちらの記事も参照してみてください。

関連記事:子どもの教育資金の準備に、学資保険を利用する場合のポイントは?

奨学金や学資ローン

奨学金やローンなどで、学費を借りるという方法もあります。奨学金制度は国や自治体、NPO、企業などが設けており、返済義務がある貸与型と、返済義務のない給付型があります。

貸与型の奨学金の場合は、卒業後に子どもが返済していくことになります。なお、貸与型の場合でも条件を満たせば無利子で借りられる可能性もあります。学資ローンは、奨学金と違い親が借りて返済することになるため、子どもに負担がかかりません。

奨学金については、こちらの記事もご参照ください。

関連記事:奨学金の継続を申請するには? 経済状況・学生生活・学修の状況はどう書く?

まとめ

子どもの教育費は、幼稚園から大学まですべて国公立に進学した場合でも1,000万円を超えます。入学金が必要になる高校や大学入学時にあわてないためにも、教育費は計画的に貯蓄したいものです。

貯蓄に自信がない人には、学資保険に入ってコツコツ貯めることをおすすめしますが、どうしても支払えない場合には奨学金や学資ローンを利用するのも一つの手です。いずれにしても、子どもが小さいうちに、将来に備えて準備を始めておくと安心でしょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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