住宅ローンの審査基準|落ちる理由と通りやすくするポイントを解説

家を購入するのに欠かせない「住宅ローン」は、借り入れる金額も大きいだけに、審査に通過するのも簡単ではありません。そのため、「ローン審査に通らなかったらどうしよう」と、不安になっている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、住宅ローンの審査基準や審査に通りにくくなる理由とともに、審査に通るために準備することについてご紹介します。しっかりと事前に準備した上で、住宅ローン審査に臨みましょう。

 

住宅ローンの申込から借り入れまでの流れ

住宅ローンは、申し込みから借り入れまでを、次の手順で行います。

1.事前申し込み
2.事前審査(仮審査)
3.申し込み
4.本審査
5.住宅ローンの契約

審査は、「事前審査」と「本審査」の2回行われます。

借りる側の視点でいえば、「なぜ2回も審査があるのか」と言いたくなるかもしれませんが、金融機関側からすると、「貸したお金を回収できない」というリスクを軽減するためにも、慎重に審査を行う必要があります。

 

事前審査(仮審査)

「事前審査」は、「仮審査」ともいわれ、主に次の項目について審査します。

・返済能力
・ 物件の担保価値
・ 申し込み者の雇用形態
・ 健康状態

特に、返済能力が十分かどうかという点を重視して審査されるのが事前審査です。

 

本審査

事前審査が無事に通り、不動産の売買契約を結んだ後に行うのが「本審査」です。正式に申し込みを行い、返済能力の再検証や物件の担保価値の再評価など、事前審査以上に細かく審査を行います。

ローン契約

本審査で問題なく審査が通れば、ようやく「ローン契約」となります。物件の引き渡しに合わせて、指定した口座に融資金が振り込まれます。

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審査期間の目安

申し込みから審査結果が出るまでには、時間が必要です。金融機関によって差はありますが、おおよその目安を確認しておきましょう。

事前審査:2~3日~1週間

本審査:1週間~2~3週間

 

事前審査は、比較的すぐに結果が返ってきますが、本審査はより丁寧に情報を審査するため、結果が出るまでに時間がかかります。

 

なお、ARUHIの場合には【フラット35】を店舗で申し込みした際に、下記の目安で審査が進みます。

できる限り短い時間で進めたいという方は合わせてチェックしてください。

 

ARUHIで【フラット35】を店舗で申し込みした際の目安

事前審査:最短当日

本審査:最短1~3営業日

 

住宅ローンの審査基準

住宅ローンの審査基準として、金融機関が考慮している項目は、以下の通りです。

 

審査項目

構成比

国籍

69.30%

性別

17.50%

借入時年齢

99.10%

完済時年齢

99.1%

家族構成

23.7%

年収

95.7%

所有資産

21.0%

返済負担率

92.1%

業種

30.1%

雇用形態

76.4%

健康状態

98.2%

担保評価

98.2%

勤続年数

95.3%

連帯保証

95.1%

融資率(購入)

74.3%

融資率(借り換え)

69.4%

債務状況や返済履歴

45.8%

申込人との取引状況

45.8%

雇用先の規模

21.6%

金融機関の営業エリア

91.0%

その他

4.1%

引用:令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書

 

構成比が高いほど、審査で重要視されている項目となります。

 

借入時・完済時の年齢

借入時・完済時の年齢によっては、住宅ローン審査に通りにくくなります。特に、返済時の年齢が定年退職を迎える65歳を過ぎている場合は、審査通過が厳しくなるでしょう。

多くの金融機関では、住宅ローンを完済するまでの年齢を「80歳くらい」としています。返済時の年齢が80歳を過ぎる場合は、完済までの期間を短く設定して申し込みましょう。また、加入時の年齢が若すぎる場合も、将来的に不安定だと判断され、審査に通りにくくなる場合があります。

 

健康状態

健康状態もローン審査に影響する重要な項目の一つです。住宅ローンを申し込む場合、金融機関の多くが、団体信用生命保険(以下、「団信」)への加入を条件としています。

団信は、契約者が死亡したり、高度障害になったり、ローンを返済できない状態になってしまったときに、残りのローン返済が不要になるという保険です。持病があったり、健康状態に問題があったりすると、団信に加入することができません。金融機関によって差がありますが、「健康状態に問題あり」と判断されるのは、以下のようなケースです。

 

過去3カ月以内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けた

過去3年以内に手術や2週間以上の医師の診察・検査・治療・投薬を受けた

また、住宅ローン審査に影響する持病としては、以下のような病気が挙げられます。

狭心症、心筋梗塞、心筋症

脳卒中、脳動脈硬化症

高血圧症、糖尿病

肝炎

 

年収

年収は、少ないよりも多い方が審査のポイントになります。年収が低いと、後述する返済負担率も高くなるため、審査に通りにくいのです。年収が300万円未満の場合は、借り入れ審査が厳しくなる傾向にあります。

勤続年数

転職したばかりのときや独立した直後などは、住宅ローンの審査が厳しくなります。金融機関によっては、勤続年数が半年から1年ほどで審査に通るケースもありますが、「勤続年数2~3年以上」としているところが多いようです。

自営業の場合は、3年以上事業を継続できていれば、比較的審査がスムーズになるでしょう。なお、【フラット35】を利用する場合には勤続年数は要件に入りません。勤続年数や勤務先の情報が気になる方はぜひチェックしてください。

担保評価

「担保」とは、万が一契約者がローンを支払えなかった場合に、金融機関が担保となっている物件を売却し、ローンの残債を回収するためのものです。

ですから、融資額よりも担保の価値が低いと、審査に通りにくくなります。「担保評価額」は、立地、土地の広さ、築年数など、さまざまな要素によって決まります。

安定した収入があり、返済計画に問題がなかったとしても、担保評価額が低ければ、審査に落ちたり、借入額が少なくなったりすることもあるでしょう。

 

返済負担率

「返済負担率」とは、年収に対するローン支払い額の割合です。住宅ローン以外に、自動車ローンや教育ローンなども含まれます。「年間のローン返済額÷手取りの年収」で、返済負担率を計算してみましょう。

返済負担率は、低いほど審査に通りやすく、30~35%であれば住宅ローン審査に有利とされていますが、年収が低ければ、返済負担率を下げる必要があります。

審査をスムーズに進めるためには、頭金を増やして借入額を減らし、返済負担率を下げましょう。

 

個人の金融信用情報

「個人信用情報」に瑕疵がある場合、借り入れ審査が難しくなります。特に「金融事故情報」と呼ばれるブラックリストに記録されてしまっている場合には、ローンを組めない可能性が高いでしょう。

金融事故情報に記録されるのは、以下のようなケースが挙げられます。

 

クレジットカードの返済遅延

公共料金や携帯電話料金の支払い遅延

金融事故の情報は、5~10年は保持されます。住宅ローンを組む予定があるなら、金融事故には十分注意しましょう。個人信用情報は、本人が開示請求できます。

「過去の遅延が金融事故として記録されているかもしれない」という心配のある人は、住宅ローンの申し込みをする前に、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

スマートフォンによる開示手続き |日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関

住宅ローンの審査に通りにくい時に考えられるケース

住宅ローン審査に通りにくい時に考えられるケースとしては、以下の項目が挙げられます。

 

・マイカーローンなど他のローンを返済中
・携帯電話料金やクレジットカードの支払い遅延履歴がある
・消費者金融のキャッシングの利用履歴がある

 

マイカーローンなど他のローンを返済中

住宅ローンの他にもローンを組んでいる場合、審査通過は難しくなります。

自動車ローンや教育ローンなど、すでに借り入れがあると審査が厳しくなるため、余裕がある場合は返済し、ローンがない状態で住宅ローンを申し込むようにしましょう。

 

携帯電話料金やクレジットカードの支払い遅延履歴がある

携帯電話料金、クレジットカードの支払いなどの遅延履歴は、先述した金融事故情報に記録されます。

「過去に1回遅延したことがあるけれど、審査に通った」というケースも見られるものの、「何回までなら大丈夫」という明確な基準はありません。

心配な場合は、個人信用情報の開示請求を行い、事前に確認しておきましょう。

 

消費者金融のキャッシングの利用履歴がある

消費者金融での借り入れ履歴がある場合も、審査が難しくなります。特に、都市銀行における消費者金融からの借り入れには厳しいようです。中には、利用できるキャッシングの枠があるだけで返済負担率に加算される場合もあるので、使っていないキャッシングの枠は解約しておきましょう。

仮審査に通っても本審査で落ちることはある?

たとえ「仮審査」に通ったとしても、「本審査」で落ちる可能性があります。

本審査で落ちる要因として考えられることを、確認しておきましょう。

・仮審査で提出した情報と異なる箇所があった
・仮審査後に新たに借り入れを行った
・仮審査後に信用情報に瑕疵があった

仮審査で出した情報に間違ったところがあれば、それがミスであっても、故意であっても、審査に落ちる原因となります。

また、仮審査に通過してから、新たに借り入れをしていたり、クレジットカードや携帯電話料金の未払いで信用情報に瑕疵があったりした場合も、本審査で落ちる可能性があります。

仮審査から本審査までの期間は、お金の管理や利用にはくれぐれも注意しましょう。

 

住宅ローン審査に通るために準備すること

住宅ローンに申し込むのであれば、審査に通るための条件を押さえて準備しておきましょう。住宅ローン審査に通るために準備することは、以下の通りです。

・フラット35を利用する

・頭金を増やすなど、返済額を減らす

・収入合算を利用する

・複数の銀行で審査を受ける

 

フラット35を利用する

「フラット35」は、全国の金融機関で借りられる固定金利型のローンです。民間ローンに比べて、勤続年数などの比重が低く、自営業の人でも審査が通りやすいといった点が特徴です。

ただし、フラット35であっても、審査する項目自体に大きな違いはありません。金融事故情報などがあると、借り入れは難しくなります。

 

頭金を増やすなど、借入額を減らす

「年収に対するローン返済額が多い」という場合は、頭金を多めに用意しましょう。頭金の金額を増やして借入額を減らすことで、ローン審査を進めやすくなります。

収入合算を利用する

収入合算とは、申込者本人の年収に、近親者(配偶者や父母、子など)の年収を加えて、住宅ローンを借り入れる方法です。

借入可能額は、年収を基にして決まりますが、収入合算をすることで借入可能額を増やせる可能性が高まります。収入合算の対象者は下記に当てはまる方1人です。

1.申込みご本人の親、子、配偶者等
2.申込時の年齢が70歳未満の方
3.申込みご本人と同居される方
4.連帯債務者となる方(1名のみとなります。)

詳しい要件については下記を参照してください。

引用:【フラット35】収入合算

 

複数の銀行で審査を受ける

住宅ローンの審査は、1カ所に申し込むのではなく、3~4カ所の金融機関に申し込む方法があります。

ローン審査の基準は金融機関によって違うので、1カ所でダメだったとしても、他のところで審査に通る可能性があります。ローンの申し込み情報は蓄積されるため、申し込む回数が増えるほど審査が厳しくなるのが一般的です。

しかし、住宅ローンの場合は、他のローンに比べて審査に影響が出にくいという特徴があります。1カ所の銀行でローン審査に落ちたからといってあきらめず、複数の金融機関で審査を受けてみましょう。

 

住宅ローン審査に必要な書類

住宅ローンの審査に必要な書類は、金融機関によっても多少変わります。基本的に必要となる書類を確認しておきましょう。

■事前審査に必要な書類

 

印鑑

本人確認書類(運転免許証、パスポート、健康保険証)

源泉徴収票、課税証明書

物件情報が掲載されたチラシやパンフレット

■本審査に必要な書類

 

実印

住民票の写し

所得証明書、公的収入証明書(住民税決定通知書など)

納税証明書(個人事業主の場合)

預金通帳など、自己資金の証明書

不動産の売買契約書

印鑑証明書

まとめ

住宅ローンの審査は、金融機関によって基準が変わりますが、審査する基本的な項目は共通しています。住宅ローン審査に申し込むときは、事前準備をしっかりしておくことが大切です。

年収に対する借入額、勤務年数、健康状態、信用情報の瑕疵、担保評価などについて、あらかじめ確認しておいてください。

その上で、頭金を増やしたり、返済できるローンは返済しておいたりするなど、審査に通りやすい状況を整えておきましょう。

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(最終更新日:2023.12.15)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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