新築マンションに比べての中古マンションの最大の魅力は、その価格の安さでしょう。首都圏では平均すると中古のほうが2,000万円以上安いのですが、その価格は築年数によって大きく異なり、築浅物件だとむしろ新築より高いエリアもあります。築深物件は格段に安いにしても、その分リフォーム費用や維持費などがかかりますから、築年数には十分な注意が必要です。

平均すると中古なら新築のほぼ6割で購入できる

まずは、新築マンションと中古マンションの価格差がどれくらいあるのかを見てみましょう。

図表1は、首都圏の新築マンションと中古マンションの価格の推移を示しています。ブルーの折れ線グラフが不動産経済研究所の調査による首都圏新築マンションの発売価格の推移で、オレンジの折れ線グラフは東日本不動産流通機構による、首都圏中古マンション成約価格の推移です。

どちらも右肩上がりで上昇していますが、両者の間には常に一定の差があります。2011年はその差が2,048万円で、2020年は2,484万円。中古マンションなら新築マンションの5割強から6割程度で購入できる計算です。
価格の安さが中古マンションの最大の魅力であるのは間違いありません。

図表1 新築マンション発売価格と中古マンション成約価格の推移

出典:新築は株式会社不動産経済研究所「全国マンション市場-2020年のまとめ-
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)

築浅物件がむしろ新築より高いエリアもある

しかし、すべての中古住宅が新築の5割強から6割程度で買えるわけではありません。中古マンションの価格は築年数によって大きく異なるのです。

図表2の折れ線グラフにあるように、竣工後の経過年数の短い、いわゆる築浅物件ほど高く、年数を経るほどに安くなります。首都圏では~築5年の平均は5,951万円です。図表1にあるように、首都圏の新築マンションの平均価格は6,083万円ですから、新築と大差ありません。

このところ、新築マンションの発売戸数が減少しており、特に都心やその周辺ではなかなか新築が出てきません。そのため、希少性の高さから中古マンション価格が上昇し、エリアによっては新築マンションより中古マンションのほうが、価格が高くなっているところがあるほどです。

価格面でみれば、築浅物件はメリットが小さく、築浅にこだわるのであれば、むしろ新築物件が出るのをジックリと待ったほうがいいかもしれません。

図表2 首都圏中古マンションの築年数帯別成約件数と成約価格

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年数帯別成約状況【2021年01~03月】

築深物件は価格が安く、選択肢が豊富で買いやすい

反対に、築年数の長い築深物件は、価格が安く、物件数も豊富で買いやすくなっています。図表2にあるように、~築5年の成約価格の平均は5,951万円に対して、~築15年では4,000万円台に、~築25年では3,000万円台に下がります。築年数が長くなるほど低価格メリットが大きくなるわけです。

しかも、物件数は豊富です。図表2にあるように、成約件数で見ると、築30年~は3,156件と,他の築年数帯に比べて格段に多くなっています。首都圏全体は1万1,146件ですから、築30年~が全体の3割近くを占めている計算です。

しかも、首都圏中古マンション市場における築年数帯別の構成を見ると、図表3にあるように、新規に売り出された物件数である“新規登録”物件では築30年~が43.2%を占めています。築深物件でいいのであれば、価格が断然安い上に、たくさんの物件の中から、より取り見取りで選択できることになります。

図表3 首都圏中古マンションの築年数帯別構成比

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)

築深物件なら大幅な値引き交渉が可能になることも

図表3を見ればわかるように、築30年~の築深物件は、新規登録の43.2%を占めているのに、成約物件では27.5%にとどまっています。それだけ人気がなく、購入希望者が値引き交渉できる余地が大きいということができます。

図表4は、築年数帯別に新規に売り出された物件に対する成約物件の割合を示しています。~築10年が36.4%と最も成約率が高く、築年数が長くなるほど成約率は下がります。~築30年では14.1%、築30年~では12.5%です。

図表4 首都圏中古マンションの対新規登録成約率

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)

物件によっては1,000万円のリフォーム費用も

しかし、いいことばかりではありません。安いには安いなりの理由があって、築深物件は老朽化が進み、大幅なリフォームが必要になることが少なくありません。

築浅物件であれば、壁紙の張り替え程度で済みます。間取り変更などの特別な事情がない限り、100万円程度の予算をみておけば十分でしょう。
それが築10年から20年になると、一定の補修が必要になることが多く、給湯器などの設備を取り換えたほうがいい物件が増えます。300万円から500万円は見ておいたほうがいいかもしれません。築20年を超えると、キッチン・バス・トイレなどの水回りの設備を取り換えたほうがいいでしょうから、500万円以上、場合によっては700万円、800万円とかかります。

さらに、築30年以上だとフルリフォームが必要になるので、1,000万円から1,500万円見たほうがいいかもしれません。
もちろん、ぜいたくは言わない。住めればOKという人であれば、そんなに予算はかからないでしょうが、実際に住むとなると、あれこれと手を入れたくなるものです。

築深物件はリフォーム費用も念頭に置いた資金計画を

このように築深物件を取得する場合には、事前に必要なリフォーム費用を試算したうえで資金計画を考えなければなりません。

物件価格は3,000万円としても、リフォームに500万円かかるなら、3,500万円の資金計画が必要です。それらを合わせて住宅ローンとして借り入れることができるかも重要なポイントです。リフォームローンは金利が高く、利用できる返済期間も短いので、住宅ローンと同じ条件で借り入れることができるリフォーム一体型の住宅ローンを利用できる金融機関を見つけたいところです。

その物件を取り扱っている仲介会社がそうしたローンを扱っていればいいのですが、そうでない場合には金融機関を回って探してみましょう。

中古マンションは価格の安さだけではなく、リフォームの必要性やローンの手配まで、幅広く確認したうえで購入しなければ、後悔することになりかねないので注意してください。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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