家が欠陥住宅だったときの対処法とは? 欠陥住宅を購入しない予防策も解説

新築住宅を購入し、住み始めてから不具合に気づくことがあるかもしれません。もし欠陥住宅に該当するのであれば、売主に補償を求めることができる可能性があります。

しかし、欠陥住宅とはどのような住宅を指すのでしょうか。購入した家が欠陥住宅だった場合の対処法や、欠陥住宅の購入を避けるための予防策についてあわせて解説します。

欠陥住宅とはどのような住宅か

欠陥住宅被害全国連絡協議会では、欠陥住宅を「通常有すべき安全性を欠いた住宅」と定義しています。具体的には、基礎や土台・柱・梁などの構造部分に問題があり、住む人の生命や健康を脅かすおそれがある住宅のことです。

たとえば、基礎、土台、屋根、外壁の不具合、といったものです。これらに問題があると、建物が傾く、水漏れ、雨漏り、ひび割れなどが発生し、安心して住むことはできません。

こうした構造部分は普段の暮らしのなかでは目に見えないため、簡単には気づけないケースも多々あります。また、新築の家だからといって欠陥がないとは限りません。住み始めて数年たってから欠陥が判明するケースもあります。

参考:欠陥住宅被害全国連絡協議会「欠陥住宅・欠陥住宅問題とは」

欠陥住宅に関する法律

欠陥住宅の購入で受けた不利益を最小限に抑える法律があります。どのような法律があるのか、内容も含めて確認しておきましょう。

住宅品質確保促進法

住宅品質確保促進法は、住宅の品質確保や購入者の利益保護などを目的に2000年に施行された法律です。正式名称は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で、略して「品確法」と呼ばれることもあります。

この法律により、第三者の専門機関が住宅性能評価を購入者にわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」や、住宅性能評価を受けた住宅でトラブルが発生した際に指定機関が紛争処理を行う「住宅に係る紛争処理体制」が整えられました。

また、新築住宅の基本構造部分に欠陥があった際、売主が無償補修に応じる瑕疵担保期間についても定められています。通例では2年間とされていた瑕疵担保責任期間は、住宅品質確保促進法によって引渡し後10年間の対応が義務付けられることになりました。

住宅瑕疵担保履行法

住宅品質確保促進法では売主に10年間の瑕疵担保責任を義務付けています。しかし、売主である業者が倒産してしまったら買主はどこにも責任を問えません。こうした事態に備えるため、2009年10月に施行されたのが住宅瑕疵担保履行法です。

この法律では、ハウスメーカーなどの住宅事業者に対し、保険の加入や保証金の供託によって欠陥の補修費用を確保するように義務付けています。事業者が万一倒産して補修が行えなくなった場合、買主は補修にかかった費用を保険会社や供託所に請求できるという制度です。

期間は引渡しから10年間で、対象となるのは基礎・土台・柱・床など構造耐力上の主要部分と、屋根・外壁など雨水の侵入を防止する部分です。

なお、瑕疵担保責任は2020年4月の民法改正により、契約不適合責任へと名称が変わりました。詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

参考記事:改正ポイントを解説! 家の購入で見落としがちな「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」

不法行為責任

基礎や屋根以外で買主が補修を請求できるのは、欠陥がある(契約内容との不適合がある)ことを知ってから1年以内とされています。また、請求できる相手は売主のみです。たとえば、欠陥の原因が施工会社の手抜き工事だったことがはっきりしていても、施工会社には補修を請求できません。

この場合、不法行為責任を追及するという方法があります。不法行為とは他人の権利や利益を侵害することを指し、損害を受けた人は相手方に賠償請求できることが民法に定められています。

不法行為責任を問える期間は、損害を知ってから3年、不法行為の発生から20年以内です。不法行為にあたるかどうかや賠償請求できる範囲などは状況によって異なります。まずは弁護士に相談するようにしてください。

住み始めてから欠陥を見つけた場合

欠陥かもと思ったら、ハウスメーカーなどの事業者や不動産会社に相談を

見た目はきれいな新築住宅。いざ住み始めてから欠陥が見つかった場合にはどうしたらよいでしょうか。ここでは、欠陥住宅であることがわかった際にとるべき対処方法について解説します。

住宅を購入したハウスメーカーや仲介業者に連絡する

欠陥かもと思ったら、まずは売主であるハウスメーカーなどの事業者や仲介した不動産会社に相談してください。

瑕疵担保責任の範囲内と判断されれば、無償で補修が受けられます。引渡しから10年以内に売主が倒産していたとしても、住宅瑕疵担保履行法によって保険加入や保証金の供託が義務付けられているため、修理費用の還付を請求できるはずです。

住まいるダイヤルに相談する

売主との交渉がスムーズに進まない場合などは、住まいるダイヤルに相談してみてください。住まいるダイヤルとは、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理センターが運営する住宅に関する相談機関です。

新築住宅はもちろん、中古住宅やリフォームに関する相談も受け付けています。弁護士や建築士など専門家からのアドバイスが受けられるほか、住宅紛争審査会(弁護士会)に調停や仲裁などの紛争解決手続きを依頼可能です。

弁護士など第三者に相談する

欠陥住宅に該当する不具合かどうかを判断するには、建築に関する専門的な知識が必要です。買主に建築の知識がない場合、売主は「工事に不備はなかった」などと主張して、瑕疵担保責任を逃れようとするかもしれません。

話し合いを続ける間も安全面などに不安のある欠陥住宅に住み続けるのは、精神的な苦痛を伴います。なるべく早く解決するために、売主との交渉を弁護士や建築士などの専門家に依頼することも検討してみてください。

欠陥住宅を購入しないために

欠陥住宅を購入してしまったとしても、対処法がないわけではありません。しかしながら、手続きには時間や手間がかかるため、はじめから欠陥住宅を買わないように対策したほうがいいでしょう。ここからは、欠陥住宅を避けるための予防策を紹介します。

内覧はしっかりと行う

建築の知識がなくても、内覧時にある程度の欠陥の有無をチェックできます。

まず、基礎や外壁にひび割れがないか、天井や壁に雨漏りのシミがないかを確認してください。次に、窓やドアの開閉がスムーズに行えるかをチェックしてみましょう。床の上にビー玉やボールをそっと置き、自然と転がるようであれば床が傾いていることがわかります。

そのほかにも、室内をくまなく歩いてみて、床にきしみなどがないかを確認してください。自分できちんとチェックできるのか不安な場合は、建築士が内覧に同行してくれるサービスを利用することもおすすめです。費用はかかりますが、事前に欠陥住宅を購入するリスクを下げられます。

信頼できるハウスメーカーを探す

契約前の打ち合わせで、担当者の人柄や対応が信頼できるかどうかをしっかりチェックしてください。建設中の現場を見学できる機会があれば、施工会社との連携状況などもよく見ておくことをおすすめします。何か違和感があれば、そのハウスメーカーとは契約しないほうがよいかもしれません。

ホームインスペクションに依頼する

ホームインスペクションとは、公認の住宅診断士が第三者の立場から住宅の検査を行う、いわば住宅の健康診断です。費用はかかりますが、欠陥住宅を購入するリスクは大幅に軽減できるでしょう。

なお、2018年4月の宅地建物取引業法改正で、中古住宅取引の際は、ホームインスペクションの実施内容を説明することを不動産会社に義務付けています。

住宅性能表示制度を利用する

住宅性能表示制度は住宅品質確保促進法に基づいた制度です。国土交通省が登録住宅性能評価機関に登録した第三者機関によって客観的な評価が行われ、結果は住宅性能評価書として交付されます。

設計段階から評価が始まり、施工時・完成時には検査が行われるため、完成後には見ることのできない基礎部分や壁の内側なども正確に評価されることになります。

評価してもらうには費用がかかりますが、基準に達していることが確認できれば安心につながりますし、評価書の交付によって住宅の価値が高まることも期待できます。

まとめ

欠陥住宅は住む人の安全や健康を脅かす恐ろしいものです。そのため、住宅購入者を保護する法律があり、売主には補償が義務付けられています。

ただし、補償には期限があります。家に違和感があれば、すぐにでも売主であるハウスメーカーや仲介した不動産会社などに連絡してください。安心して住み続けられる家を購入するために、契約前にホームインスペクションや住宅性能表示制度を利用してみてもいいでしょう。

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