土地を購入して住宅を建てるにあたって、「どんな土地を選べばいいのか」と頭を悩ませる方は多いのではないでしょうか。住宅は大きな買い物ですし、一度マイホームを購入したらそう簡単には引っ越せません。交通の利便性や街の住みやすさ、災害に対する強さなど様々な点を考慮して慎重に選ぶ必要があります。

今回は住宅購入者を対象にしたアンケート結果をもとに、土地探しの悩みや失敗談を紹介し、土地選びのポイントや注意点についてまとめていきます。

土地探しの悩みや失敗談

出典:GOEN株式会社『「マイホームの購入」に関する調査』

GOEN株式会社が2020年にマイホームを購入した方に大変だったことを聞いたところ、住みたい場所の土地探しに苦労した方の割合は25.8%と、一番多いことが分かりました。 土地を購入して家を建てた方は、どんなことに苦労したのでしょうか。 ここでは、マイホームを購入された方のリアルな声を紹介していきます。

参考:GOEN株式会社『「マイホームの購入」に関する調査』

マイホーム購入で大変だったこと

・交通機関の便利性を重要視するべきだった。駅遠だしバスの本数は少ない。(20代/女性/正社員)

利便性については購入する前からしっかり検討される方も多いでしょう。しかし、購入前と実際に住んだ後では、利便性についての印象が違ってくることもあります。たとえば、「安くて間取りもよくて周りも静かで住みやすい。駅からはバスで30分かかるけれど、それくらいは我慢できるはず」と思っていても、実際に毎日通勤してみると「バスで30分」がかなり大変だった――ということもあります。

・駅が近く利便性の高いエリアに住宅を購入したときに、繁華街などが近隣にあったため、夜の治安が悪く外出をためらうようになったことです。(40代/女性/個人事業主)

逆に駅が近く利便性のいいエリアに住宅を購入したものの、今度は治安が悪く住みづらかったというケースもあります。治安に関しては実際にエリアを歩いてチェックすることが多いと思いますが、「昼間しかチェックしておらず、購入してから夜間の治安の悪さに気づいた」というケースもありえます。これもやはり、住んでみて初めてわかるケースです。

このように、慎重に考えて土地を選んだつもりでも、実際に住んでみないとわからないことは多々あります。もちろん、利便性の悪さも治安の悪さも気にならないという人もいるでしょう。こうした条件は人によって捉え方が違うので、唯一の正解がないのが難しいところです。

土地選びに正解はない?

土地選びで苦労している人は予想以上に多いことがわかりました。では、これから住宅を購入する場合、どのように土地を選べばいいのでしょうか。

土地を選ぶポイントを紹介する前に、大切なことを1つお伝えします。

それは、「完璧な土地は存在しない」ということです。 多くの人が土地に求める条件は似通っています。治安がよく、商業施設が近くて利便性が高く、交通の便がよく、日当たりがよく、地盤がしっかりしていて災害に強い……そんなふうに世の中の人が求める条件がすべてそろっている土地探しは困難で、仮に存在していたとしても売りには出ません。

土地選びに「完璧」を求めていては、いつまでたっても購入できないのです。 ではどうすればいいのでしょうか。

重要なのは「自分にとっての条件の優先順位」を決めることです。「絶対にここだけは譲れない」というポイントは妥協せず、「できればこうだったらいいかも」程度の条件については妥協することも想定しておきましょう。 家族がいる場合は、自分だけでなく家族全員の思いや意見、ライフスタイルを考慮しましょう。

また、将来を考えておくことも大切です。今は夫婦二人暮らしでも、将来子どもを育てるなら「子育てのしやすさ」も今から条件に入れておくべきでしょうし、老後まで過ごすなら若いままの感覚ではなく、年をとると生活がどう変わるのかをしっかり検討する必要があります。

場所選びのポイント

ここからは、具体的に土地の場所選びのポイントを紹介していきます。何を基準に場所を選べばいいのかわからないという方はぜひ参考にしてください。

交通の利便性

通勤や通学をする場合、交通の利便性は非常に重要なポイントです。仕事や学校は毎日のことなので、ほんの少しのストレスも積み重なって不満がたまってしまいます。

交通の利便性については、住んでいる地域や車を所有しているかどうかなどによっても変わります。車を所有しているので駅を使う必要はないのであれば、駅からの距離はそれほど気にしなくてもいいかもしれません。 一方、車を持っておらず、なおかつ職場や学校に通うのに電車を使わないといけない場合は、駅までの時間やバスが通っているかどうかなどが重要なポイントになります。

とはいえ、駅に近い場所など交通の利便性のいい場所はどうしても購入費用が跳ね上がります。購入予算のことを考えて、どこまで利便性を重視するのかを検討しましょう。

教育施設

子育てをする場合、重視したいのが教育施設の有無です。幼稚園や小学校、中学校、あるいは図書館や塾、公園などが行きやすい距離にあれば子育てしやすい土地といえます。 現時点で子どもがいなくても、将来的に可能性があるなら重視すべきポイントといえるでしょう。

公共施設

市役所や郵便局、病院など、公共施設へのアクセスのしやすさも、できれば重視したいポイントです。公共施設はそれほど頻繁に訪れる場所ではありませんが、かといってまったく行かない場所でもありません。 また、病院は老後になると訪れる機会が増えることも想定されます。若いうちはそれほど通わないとしても、老後まで住むのであればしっかりと考えておきたいところです。

商業施設

日常的な買い物に利用する商業施設へのアクセスのしやすさは大事なポイントです。商店街やスーパー、コンビニ、大型商業施設などはできれば近くにあるほうが何かと便利です。 ただ、商業施設は多くの人で賑わいますから、あまりにも近い場所に住むと、今度は騒音などが気になるかもしれません。近ければいいというわけではなく、住環境とあわせて検討しましょう。

土地の「状態」も確認を

土地の場所だけではなく、土地そのものの状態を確認することも必要です。あとでトラブルにならないよう、購入前からしっかり(現地を)チェックしておきましょう。

地盤の安定性

日本は災害の多い国です。地震や台風などは毎年のように発生します。せっかく住宅を購入しても、災害に弱い土地を選んでしまうと大きな被害を受けてしまうかもしれません。

そこで注意したいのが地盤の安定性。地盤の強さについては、無料で診断できるサービスがインターネット上にあるので利用して調べてみましょう。 地盤が弱いと地震で建物が倒壊したり、地面が液状化したり、台風や豪雨で土砂崩れが起きて飲み込まれてしまうなどのリスクが高まります。可能な限り地盤の安定した土地を選びたいところです。

境界標

境界標とは、隣地との境目を示す標識です。土地の境目となる四隅などに打ち込まれていることが多く、土地を購入する際はこの境界標をきちんと確認しましょう。「どこまでが自分たちの土地なのか」を境界標でチェックすることで、購入後の隣地トラブル防止にもなります。

道路の所有権

土地の正面の道路が公道なのか私道なのかも事前に確認しておきましょう。もし、道路が共有持分の私道だった場合、自宅を建てるにはそれぞれ所有者の許可を得る必要があります。この点を曖昧にしたまま建築計画を進めてしまうと、後々のトラブルに発展する恐れもあります。

まとめ

土地選びは誰もが失敗しないように慎重に検討しているにも関わらず、それでも後悔や失敗談がつきない難しい買い物です。仮に完璧な土地ではなくとも、条件に優先順位をつけて予算を相談しながら選びましょう。

交通の利便性や教育環境、公共施設、商業施設などの周辺環境は特に重視したいポイントです。また、地盤や土地の境界、道路の所有権など曖昧にしておくとトラブルになりかねない点についてもしっかりと検討することが大切です。

土地選びは気をつけるポイントがたくさんありますが、後から後悔しないようにじっくりと考えましょう。

【監修者】
佐川 旭さん

一級建築士 (株)佐川旭建築研究所代表
1951年 福島県生まれ.
日本大学工学部建築学科卒業 個人住宅から公共建築まで幅広い実績をもつ.
2010年木材活用コンクール特別賞受賞.
著書に最高の住まいをつくる間取りの教科書(PHP研究所)など、これまで住に関しては15冊を出版.

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア

おすすめ記事