最近よく耳にする高性能住宅。でも、どの住宅メーカーも高性能をうたっていて比較のしようがないと思いませんか。実は、ひと口に高性能住宅といってもそのレベルはさまざまです。家を建てるなら、UA値、Q値、ηA値、C値などが何を示す数値なのかぐらいは知っておきたいものです。住宅会社を選ぶときに比較検討もしやすいでしょう。

そこで今回は、施主の知識向上を目的にYouTubeなどで「家づくり せやま大学」を発信する瀬山彰さんに、一つ一つ解説してもらいました。瀬山さんが推奨するのは、やりすぎず、やらなさすぎない、“ちょうどいい塩梅”の高性能住宅。なるべくお金をかけずに性能を担保する最適なバランスの家づくりを追求しています。

断熱性能を表す指標「UA値」と「Q値」は何が違う?

UA値とは、家全体の外部に面している面積(外皮面積)に対して、どれくらいの熱量が外に逃げているかを表した数値です。「外皮平均熱貫流率」ともいいます。一方、Q値は、家から熱が逃げる量を延べ床面積で割った数値で、「熱損失係数」のことです。

どちらも断熱性能を表す指標ですが、瀬山さんによると、国の省エネ住宅の基準などにUa値が使われていること、Q値では家の凹凸を正確に評価できないケースもあることなどから、家づくりの際は、Ua値を参考にするとよいそうです。

気密性を表す指標「C値」

C値は、気密性能を測る指標です。家の面積に対して、どれくらいの隙間があるのかを表す数値になっています。

気密性能は、「結露防止や24時間換気システムを機能させるためにとても重要な性能であるにもかかわらず、このC値を積極的にPRしている住宅会社は10%あるかないか…という現状があります。というのも、Ua値はパソコン上で計算できるのに対し、C値は建てた家で実測するものなので、施工に自信がないとやりたがらない業者が多いのです」と瀬山さん。住宅会社を選ぶ際には、このC値を測定しているかどうかで検討するのもよさそうですね。

「ただし、C値を表示している住宅会社でも、その値が、実際に住む家とかけ離れたモデルハウスのような建物の値では意味がありません」とも話します。気密測定は、実態に即したかたちで実施しているがポイントのようです。

日射の影響を表す指標「ηA値」

ηA(イータエー)値は、住宅が日射熱に受ける影響を表す数値で「平均日射熱取得率」といいます。住宅全体の日射取得量を、屋根(または天井)、壁、床、窓などの外皮の合計面積で割って計算します。夏の「冷房期の平均日射熱取得率」はηAC値、冬の「暖房期の平均日射熱取得率」はηAH値で表します。瀬山さんによると、この値は理論値であり、隣家や周辺の建造物などの現実的な要素を加味していないので、気にしすぎることはないそうです。

しかし、家づくりにおいて日射を考えることはとても重要だそうで、「押さえておきたいのは、ηA値の値よりも窓の配置。夏、太陽の日差しを極力家の中に入れないこと」と解説します。たとえば、朝日や西日が差し込んでくる窓を作れば、その部屋は夏にエアコンが効きにくくなります。そこで、「窓は家の南側と北側を中心に配置し、東西に付ける場合はできるだけ小さく。大きな窓にしたいならアウターシェードなどの日射遮へい対策を取りましょう」と瀬山さん。面倒でも、快適な住まいを手に入れるなら絶対に確認しておきたいポイントです。

アウターシェードで日よけをするのも一案

どの指標を使い、どのくらいの数値を目指すべきか

UA値、Q値、ηA値、C値について説明してきましたが、どれも数値を追求すればするほど費用はかかります。ではどの程度を目指したらいいのでしょうか。国が定める「省エネルギー基準地域区分」のうち、区分の大半を占める東北の一部~から九州の一部(※)までの目安を教えてもらいました。
※地域区分では5地域と6地域にあたる

まず、高性能住宅を建てたいなら、高断熱と高気密どちらかでは意味がなく、両方の性能を担保しておく必要があるとのこと。そこで押さえておきたいのがUA値とC値だそうです。

UA値は、0.6以下を目指すのがおすすめといいます。「ちなみに、日本の省エネ基準の最高ランクである断熱性能等級4は5~7地域で0.87以下とされていますが、これは世界的に見ても低すぎるレベルです。営業マンなどに、この数字で高断熱と言われて納得しないようにしてください」と瀬山さん。

また、UA値の「A」はアベレージの「A」で、あくまでも家全体の平均値を表す数字であることを知っておくとよいそうです。たとえば、断熱性能に点数を付けるとして、壁が150点、窓が50点なら、平均値は100点になってしまいます。これは、せっかく高価なダウンジャケットを着ているのに、ファスナー全開で過ごしているようなもの…と瀬山さんは指摘します。樹脂サッシを使うなど、熱が最も出入りする窓の性能を担保したうえで、UA値を考えるのがより現実的だそうです。

C値で推奨する値は、0.7以下です。C値は、一般的に1.0以下で気密性が高いといいますが、この0.7はさほどハードルの高い数字ではないため実現が可能といいます。瀬山さんは「木造住宅の気密施工に慣れた会社であれば、普通に出せる数字です。ただし、複雑な形状の家や3階建ての住居は、数値が悪くなる傾向にあることを知っておきましょう」と話します。

C値測定の実施について瀬山さんは、より具体的にアドバイスします。まず、契約前に依頼しておくのがおすすめだそうです。できれば契約書に目標数値を盛り込み、実測時にクリアしていなければ手直ししてもらいましょう。気密測定は、家が完成した後でなく、断熱工事のタイミングでやってもらうと手直しがきくそうです。さらに「エアコンダクトの設置の段階で、気密施工をきっちりやってもらうことも大切」と瀬山さん。「エアコンの安さや工事費無料につられて、よくわからない下請け工事をされたのでは、せっかくやった気密測定がムダになってしまいます。住宅会社が勧めるしっかりした業者に任せると間違いないでしょう」と話します。

C値測定は断熱工事のタイミングに実施してもらうのがおすすめ

まとめ

住宅の性能を表す指標には、UA値、Q値、ηA値、C値などがあります。家を建てる場合は、専門用語だからわからないといって避けるのではなく、せめてそれぞれの意味や“クリアすべき最低目標”を知っておきましょう。高断熱・高気密住宅を目指すなら、四つの指標うち、UA値とC値を押さえておくのがおすすめです。

【取材協力】
瀬山 彰さん
家づくり知識メディア『グッシン』、YouTubeチャンネル『家づくり せやま大学』を中心に、「なるべくお金をかけずに質の高い家を建てたい!」という方向けの情報を発信。悩める施主のバイブル「せやま基準一覧表」は3万ダウンロードを突破し、日本全国にせやまファンが増加中。
筑波大学理工学群を卒業後、大手コンサル会社で住宅業界を担当。その後、住宅会社での支店立ち上げや支店長業務を経て、独立。自社メディアでの情報発信にとどまらず、YKK AP主催セミナーで講師を務めるなど、日本の住宅業界の未来を担う一人として注目を集めている。

(最終更新日:2021.04.13)
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