和室と子ども部屋は本当に必要? 家づくりで注意したい部屋数の考え方

家づくりの際、工務店や設計事務所から聞かれるのが必要な部屋数。みなさん、漠然と部屋数を考えていませんか? だけどちょっと待って。その部屋、本当に必要ですか? 今回は部屋数を考えるうえで大切な部屋の用途や間取りについて考えてみましょう。北海道で注文住宅を手がける神馬建設の代表取締役、神馬充匡さんにお話を聞きました。

まずは部屋の使用頻度や使い方を考える

間取りを考えるとき、家族みんなの個室を作るべきか、和室は必要かと悩む人も少なくありません。使い方によっては使用頻度が限定される和室と、子どもが巣立ってしまうと使う人がいなくなってしまう子ども部屋について考えてみましょう。

部屋を作るべきかどうかは、その部屋の使用目的を2つ以上挙げられることを前提としましょう。例えば和室に迷ったとき、『ゲストルームとしても使える』『子どもの遊び場にも使える』となれば、和室は作ったほうがいいということになります。どう使うかによって、作る場所や形を変えられるので、まずは用途をしっかり検討しておきましょう

 

メリット・デメリットから考える和室の必要性


【メリット】リビング近くに設計すれば使用頻度が上がる

日常的に家族が集まるLDKの隣に和室を設計した場合、和室まで一続きになるためLDKを広く使うことができ、使用頻度も上がります。

リビングとひと続きで使用できる和室。扉を閉めればゲストルームにも(神馬建設提供)

【メリット】小上がりにすれば用途が広がる

リビングの横などに小上がりの畳コーナーを設ければ、カジュアルな和室が完成します。小上がりに腰かけたり、下部に引き出しをつけて収納を作ることも可能。畳スペースはお昼寝やオムツ替え、子どもの遊び場などに使えます。

【メリット】ゲストルーム、また介護部屋としても使える

和室を南面〜西面に配置することで、日中は障子からやわらかな光が入り、比較的暖かい部屋になります。来客時の客間としてはもちろんのこと、将来的にベッドを持ち込めば介護が必要な人の個室としても使うことができます。

リビングとは離れたところに仏間として確保した和室(神馬建設提供)

【デメリット】面積に対して費用がかかる

畳、障子、ふすまなど和室は繊細な職人技が集結する場所だけに、コストがかさみます。日常的に使う場所ではないのに建築費用はかかるため、コストパフォーマンスの低い空間といえます。

子ども部屋はライフステージごとに必要性を考えて

まずは子どもの成長を踏まえ、ライフステージごとに子ども部屋のあり方を考えてみましょう。

・赤ちゃん〜幼児期

赤ちゃん時代は親と一緒に過ごすため、子ども部屋などの個室は不要でしょう。ただ、2〜3歳頃になると動きも活発になり、いろいろなおもちゃで遊び始めます。子ども部屋を就学前の幼児の遊び場として使えば、リビングなどのパブリックスペースが散らからずに済みます。

・小学生

友だちが遊びに来る頃です。幼い子どもたちが集まるため、親の目配りが必要です。子ども部屋は、親の気配が感じられる場所にあるとベスト。また片付けや整理整頓を習慣づけるためにも自室は効果的です。自室が与えられることで、「自分のことは自分でする」という意識が芽生えます。

・中学生〜高校生

子どもから大人へと変化していく時期です。親の干渉から少し離れて過ごしたいというのが子どもの気持ちかもしれません。また試験や受験を控えている時期でもあるので、少し静かな場所があると勉強の妨げになりません。そんな時期の子ども部屋はパブリックスペースから少し距離を置いた場所にあるといいでしょう。

・大学生以降

大学生以降になると、子ども部屋というプライベート空間の必要性を感じなくなる人が多いようです。進学で家を離れるケースもありますし、そうでなくても学校やアルバイトなどで、外で過ごす時間が増えるため、家に帰ったときはなるべく家族とリビングでくつろぎたいと考えるのかもしれません。

子ども部屋は成長に合わせて柔軟に使い方をチェンジ

このように子ども部屋はライフステージによって使い方が変わります。だからこそ、可変性が大切。広いスペースを仕切ったり、子ども部屋として使う部屋を入れ替えたり、工夫しながら部屋を無駄なく使いましょう。

子ども部屋を広くとっておいて、子どもが成長したら真ん中で仕切ろうと考える人が多いですね。その際おすすめなのが、可動式収納や突っ張り式の仕切りです。2部屋に分けたあと、また1部屋に戻したいと思ったときに、床や天井、壁などを傷めずに現状復帰できます。賃貸マンションにもいいですね。

将来、子ども部屋として使うために設けた広めのフリースペース。左右の棚は可動式で、子どもが成長したら間仕切りとして活躍予定(神馬建設提供)
フリースペースの出入り口には扉を付けず、同フロアの別室との一体感を出しています(神馬建設提供)
子ども部屋として活用できるように鴨居を設けたフリースペース(神馬建設提供)

兄弟が3歳以上離れている場合は、『移動式の子ども部屋』にするといいでしょう。これは、大きさの違う部屋を作り、必要な時に必要なサイズの部屋を与えるということ。ここは誰の部屋と決めるのではなく、ヤドカリのように成長に合わせて部屋を変えていくのです。3歳以上年齢が離れていることを条件にとしているのは、3歳離れると小中学校では世代が異なるため生活様式が違ってきますし、進学などで家を出て行くこともあるからです。

ロフト空間は子ども部屋に

子どもが好きなロフトを子ども部屋に取り入れてちょっぴり「遊び」のある空間に。将来的に収納スペースとしても使えます。

子どもはロフトが大好き。秘密基地のような感覚で日常的に使います。子どもが幼いときは遊び場になりますが、大きくなって遊ばなくなると収納場所としても活用できます。また、アウトドア好きのファミリーなら、ロフトに寝袋を持ち込んで、おうちキャンプをするのも楽しい時間ですよ。

まとめ

部屋数は家族の人数だけで考えるのではなく、家族の年齢やライフステージによって考えましょう。仕切ったり、部屋をチェンジすることで、無駄な空間を作ることなく、「生きた部屋」だけを作ることができます。また、和室も間取り次第で使用頻度はぐんと上がります。どう使うかを考え、使用目的が2つ以上見つかったら採用しましょう。

【取材にご協力いただいた人】

神馬 充匡さん
神馬建設代表取締役
「イエはハウス(住居、一軒家)ではなく、ホーム(家庭、帰る場所)となる」をコンセプトに掲げ、住居と人間の関係を住み方や生活面から考慮したイエづくりを行う。人生の大半を過ごす場所として、明日へのエネルギーを生み出し、健康的で自分らしい豊かなライフスタイルが叶えられるイエ。幸せな生活の基盤となるイエ。地域の特性を生かしながら、風土に根付いたイエづくりで地域の活性化にも貢献している。
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有限会社 神馬建設ホームページ:https://jinba-kensetsu.com/

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