これから家を建てようと考えている人必見! 家づくりを始める前に、知っておいてもらいたいのが「ゾーニング」です。家は一度作ってしまうと、間取りの変更は難しいもの。失敗せず、快適な家を手に入れるためにも大切な「ゾーニング」について知っておきましょう。今回は北海道で注文住宅を手がける神馬建設の代表取締役、神馬充匡さんにお話を聞きました。

「ゾーニング」とは

「ゾーニング」とは、部屋や空間の使い方を考えながらジャンルを分け、それぞれの間に連動性を持たせたり、距離を作ったりすることを指します。一般の人は聞き慣れない言葉ですが、建築業界においては日常的に使われる言葉です。主なゾーニングは以下の2つです。

主なゾーニング
1.パブリックゾーン
2. プライベートゾーン

 

「パブリックゾーン」と「プライベートゾーン」

廊下や通路などは移動ゾーン、客人を招き入れる場所などをサービスゾーンなどとも言いますが、一般の住宅を作る場合は、「パブリックゾーン」と「プライベートゾーン」の2つの区分で考えていきます。

パブリックは「公の」という意味で、プライベートは「私的な」という意味。その言葉どおり、パブリックゾーンはLDKのほか、フリースペースなどとトイレをつなぐ動線も含みます。家族だけでなくゲストも使う場所です。プライベートゾーンは、各個室はもちろんのこと洗面脱衣所、浴室など基本的に家族しか入らない場所を指します。

パブリックゾーンの設計で気をつけること

神馬さんがパブリックゾーンの設計で気をつけているのは「見渡せる」ことと「見せない」こと。この相反するように思われるキーワードも、説明を聞けば納得です。

「みんなが集まるパブリックゾーンにとって大切なのは開放感。閉塞感や圧迫感があっては、せっかくの場所もくつろげません。だからこそ『見渡せる』空間を作る必要があります。
一方、場所によっては『見せない』工夫も大切。例えば対面キッチンの場合、キッチンの背面に収納を設計することがありますが、リビングやダイニング側からは収納棚が丸見えになってしまいます。そういう場合は、棚の前に扉をつけて食器などを見せないようにします。
さらに、対面キッチンのカウンター下に小さな収納を設け、テレビのリモコンや携帯の充電器などを置いておけば、雑然とせず、いつもスッキリ。
このように見せない工夫をしておくことで片付けも楽になりますし、突然の来客にも慌てることなく、スマートに対応できます。お客さまを招き入れるパブリック空間だからこそ、見せたくない場所を見せないようにしておく設計をお勧めしています」(神馬さん)

リビングからキッチンまで見渡せる一体化した間取り。カウンターの下や壁面の収納には扉をつけて“見せない”工夫を(神馬建設提供)

 

プライベートゾーンの設計で気をつけること

プライベートゾーンでは、安らげることを優先します。そして、基本的にゲストは入らない場所なので、見た目よりも使いやすさを追求しているのもポイントです。

「個室に家具を置くと場所を取ってしまうので、作り付け収納にして空間を広く使う提案をしています。個室なので、収納に扉はつけなくてもOK! 収納はしまい込むためのものではなく、出したりしまったりして使う場所。
扉がないことで、収納しているものの量やジャンルを把握することができるので空間を効果的に使えますし、扉をつけないことでコストカットになるというおまけもついてくるんですよ」(神馬さん)

 

ゾーニングを踏まえて間取りを考える

プライベートゾーンとパブリックゾーンという2つのゾーンを踏まえた設計により、バランスの取れた間取りが可能になります。

「ゾーニングを踏まえて各部屋の並びを考えていきます。土地条件などによって当然間取りは変わりますが、ゾーニングができていれば、住みにくい家にはなりません。住みにくい例としては極端ですが、LDKの近くにバスルームがあったらどうでしょうか。
お客さまが来ているときにバスルームから出られないですよね。ゾーニングを無視した間取りでは快適な暮らしはできません。『お客さまが使うLDKは玄関の近くに置こう』『玄関付近にトイレも必要だ』ということは、『バスルームや主寝室はLDKから離したほうがいいね』といった具合に、ゾーニングが決まれば間取りの大枠はできていきます」(神馬さん)

 

家の中の「動線」も意識したゾーニングを

ゾーン間、ゾーン内の動線も快適な家づくりには欠かせません。洗濯動線、買い物動線といった家事動線はもちろんのこと、来客動線も考えておきましょう。動線には住人のライフスタイルの把握が必須です。家の形に住人が合わせるのではなく、住人の暮らしから間取りを考えることで、ストレスのない快適な暮らしが実現できます。

「家事は毎日のこと。だからこそライフスタイルのヒアリングを大切にしています。例えば夜洗濯をする人であれば、キッチンと洗面所を近くに設計する。そうすると、夕食の片付けが終わったあとに、洗濯という流れができます。
逆に朝洗濯する人はキッチンと洗面所を離して設計します。すると、同時間帯に家族が一ヶ所に集中しないので、混雑することなく炊事と洗濯ができるようになります。買い物から帰ってきたときの動線も考えておきましょう。
重い荷物を持ったまま、お客さまのいるリビングを通ってキッチンに行くのはスマートとは言えません。家族用玄関からパントリーにつながるライン、駐車場から勝手口、パントリーやキッチンへとつながる動線を確保しておけば、歩く距離をショートカットできて楽ですよ。逆に来客動線はお客さまにプライベートゾーンを見せなくて済む動線を確保しておきましょう」(神馬さん)

玄関から二つの動線が伸びている家。玄関から手前に進むとリビング、左手に進むとシュークローゼットとパントリー。パントリーの横にトイレがあり、帰宅後すぐに手を洗えます(画像提供:神馬建設)
シュークローゼット(画像提供:神馬建設)
パントリー(画像提供:神馬建設)

 

まとめ

ゾーニングはパブリックゾーンとプライベートゾーンを意識しましょう。家族だけでなく、ゲストも招き入れるパブリックゾーンは、開放感と同時に見せない工夫も施して、片付けなどの手間を省けるように設計しておくと便利です。

また、ライフスタイルを考慮し、家の中の動線を把握しておけば、家の形に縛られることなく、自分のスタイルで暮らすことができます。ライフスタイルに合わせて家を形作る、それが快適な暮らしに欠かせないポイントです。

【取材にご協力いただいた人】

神馬 充匡さん
神馬建設代表取締役
「イエはハウス(住居、一軒家)ではなく、ホーム(家庭、帰る場所)となる」をコンセプトに掲げ、住居と人間の関係を住み方や生活面から考慮したイエづくりを行う。人生の大半を過ごす場所として、明日へのエネルギーを生み出し、健康的で自分らしい豊かなライフスタイルが叶えられるイエ。幸せな生活の基盤となるイエ。地域の特性を生かしながら、風土に根付いたイエづくりで地域の活性化にも貢献している。
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有限会社 神馬建設ホームページ:https://jinba-kensetsu.com/

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