年収400万円台の人の手取り額は、どれくらいになるのでしょうか。手取り額は生活の質や満足度にも結びつきますので、どれくらいの金額が受け取れるかを把握しておきたいですね。今回は、手取り額の計算方法について解説します。さらに、年収400万円台の人にとっての理想的な家賃や生活費の割合も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

年収400万円は給与所得者全体から見て多い? 少ない?

2019年分の国税庁「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は436万円となっています。ただし、「給与階級別分布」を見ると、「300万円超400万円以下」が17.0%、「400万円超500万円以下」が14.6%となっており、「300万円超400万円以下」の割合が最も多くなっています。

女性の場合は、一番割合が多いのは「100万円超200万円以下」の23.7%となっており、受け取る給与は男性に比べて少なくなっています。また男女を合わせた給与所得者全体の割合を見ると、給与所得が400万円人は、全体の半分以上である54.8%にものぼっています。

このようなことから、年収の実態としては、年収400万円超の人よりも400万円以下の人の割合が多く、「年収400万円は給与所得者の平均から見て多い」と判断することができます。

ただし、平均給与は性別や年代だけではなく、企業規模や業種によっても差があるため、単純に比較することはできません。特に資本金が10億円以上の会社では、「年収500万円超600万円以下」の割合が一番多くなっています。このように、企業によって平均給与に差があるのが実状です。

出典:国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査−調査結果報告−」

年収から手取り額を計算するには?

給与の手取り額とは、年収から税金や社会保険料などが天引きされた後の金額のことをいいます。税金や保険料がいったいどれくらい引かれるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。それでは手取り額の計算方法について詳しく解説していきます。
もし「結論、手取り額はどれくらいになるの?」を先に知りたい場合は、こちらの項目は飛ばして、次の項目に進んでください。

所得税を差し引く
給与から引かれる所得税は「課税所得金額×所得税率-所得控除額」で計算することができます。年収が同じでも、控除の有無によって課税所得金額が変わり、所得税額も変わることから、同じ手取り額になるとは限りません。

所得税を求める計算手順は以下のようになっています。

1.年収から給与所得控除を引く
2.基礎控除、社会保険料控除を引く
3.配偶者控除や扶養控除など、条件を満たせる控除を引く
4.課税所得金額に所得税率を掛ける
5.課税所得金額によって決められている控除額を引く

給与所得控除額は、国税庁が公表している計算式を使って算出します。たとえば、年収が400万円の人の給与所得控除の計算式は「400万円×20%+44万円」となっており、124万円を給与所得控除として収入から差し引くことができます。

基礎控除額は収入によって変わりますが、年収2,400万円以下の人は一律48万円となっています。そのため、基礎控除を引いた課税所得金額は「400万円-124万円(給与所得控除)-48万円(基礎控除)=228万円」となり、課税所得金額は228万円になります。

社会保険料は、3ヶ月間の給与を平均して算出した「標準報酬月額」に保険料率を掛けて計算します。1年間で納めた健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料は課税所得金額から全額控除することができ、年収400万円の人の社会保険料控除は、概算で約58万円となっています。

次は、条件を満たせる控除があれば、その控除額を課税所得金額から引きます。控除の種類としては、配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除、医療費控除などがあります。

このような計算をして課税所得金額が決まったら、所得税率を調べます。所得税率は課税所得金額に応じて決められており、国税庁が税率を公表しています。

たとえば、課税所得金額が200万円の場合は、「所得税率が10%、控除額が9万7,500円」と定められています。計算式は「200万円×10%−9万7,500円=10万2,500円」となり、所得税額は10万2,500円となります。

住民税を差し引く

住民税は「都道府県民税」と「市町村税」があり、この二つをまとめて「住民税」として納付します。

住民税は、前年の所得に応じて計算される「所得割」と、一律で決められている「均等割(5,000円)」を合算した金額です。住民税の所得割は「課税所得×住民税率(10%)」で計算されます。住民税率はおおむね10%の地域が多いものの、自治体によっては一部例外もあります。

注意しなければならないのは、住民税における控除額は、所得税における控除額とは異なるという点です。たとえば、住民税を計算するときの基礎控除は33万円ですが、所得税を計算するときは48万円となっています。また、配偶者控除の場合は、住民税では上限33万円、所得税では上限38万円となっています。このようなことから、住民税を計算するときには、正確な控除額を確認してから計算する必要があります。

自治体のホームページでシミュレーションできるサービスもありますので、住民税額を計算したい人はぜひ活用しましょう。

社会保険料を差し引く

社会保険料とは、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料、労災保険料のことをいいます。これらの保険料は毎月給与から天引きされて徴収されます。

社会保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。標準報酬月額とは、被保険者の4月、5月、6月の給与を平均した額を計算して決めます。標準報酬月額は、第1等級の58,000円から第50等級の1,390,000円まで50段階に分かれています。

標準報酬月額を計算するための「給与」には通勤手当や役職手当、残業代なども含まれます。ここで決定した標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月まで使われます。

健康保険料の計算式は「標準報酬月額×健康保険料率÷2」、介護保険料の計算式は「標準報酬月額×介護保険料率÷2」となっています。保険料率は会社が加入している保険組合や地域、業種などで異なっていることから、あらかじめ確認しておく必要があります。

厚生年金保険料の保険料率は18.3%で固定されており「標準報酬月額×18.3%÷2」で計算することができます。

年収400万円の人の手取りは大体どのくらい?

年収400万円の人の手取り額は、控除額や住んでいる地域、年齢などによっても変わってきます。手取り額を正確に把握するには、上記で紹介したような複雑な計算が必要となるものの、概算では「手取り額は年収の約8割」とされています。

ここでは、東京都在住、扶養家族なし、40歳未満の年収400万円台の人の概算の手取り額をまとめましたので、参考にしてください。

出典:JOBSHIL「あなたの手取り年収はどれくらい?早見表で簡単チェック」

年収が増えると手取り額はどのくらい増える?

年収が増えると手取り額も増えますが、同時に税金や社会保険料なども増えることから、手取り額の増え方は緩やかになります。年収が2倍になった場合でも、手取り額が2倍になるわけではないため注意が必要です。たとえば、年収が400万円の手取り額は約315万円ですが、2倍の年収800万円の手取り額は約596万円となっており、約1.89倍にとどまっています。

日本の所得税は累進課税で、収入が増えるほど所得税率が高くなり、税負担が重くなるという特徴があります。この税制も、年収と手取り額の増加率が比例しない一因となっています。

年収が500万円を超えた場合、手取り額はどれくらい増えるのでしょうか。年収が500万円から800万円までの人の概算の手取り額を表にまとめましたので、参考にしてください。

出典:JOBSHIL「あなたの手取り年収はどれくらい?早見表で簡単チェック」

年収400万円の人はどのような家計割合が理想的?

年収400万円(ボーナスなし、東京在住、40歳未満、扶養家族なし)の人の場合、ひと月手取り額はおよそ27万円です。それでは、どのような家計割合が理想的なのでしょうか。

理想の家計割合にするには、まず住居費を全体の3分の1に抑えることが大切です。また、
食費は15%以内、水道光熱費は6%以内にします。特に水道光熱費は電気のつけっぱなしに気をつけるなどして、節約を意識することが大切です。

また、スマートフォンやインターネット代など、最近の生活スタイルでは通信費が多くなりがちです。スマホを格安SIMに変えるなどして、通信費が4%よりも多くならないように気をつけましょう。

理想の家計の細かい割合については、以下の表にまとめました。この表と自分の家計を比べて割合が多くなっている項目は、出費が多すぎる可能性があります。手取り額に比べてお金を使いすぎることがないように、節約を意識して生活することが大切です。

理想の家計割合一覧表

年収400万円の人が貯蓄をするには?

理想の家計の割合では、1人暮らしであっても手取り額の10%を貯蓄に回すことが理想的です。たとえば、年収が400万円で手取り額が27万円の場合、毎月2万7,000円、年間で32万4,000円ほどが理想の貯蓄額の目安になります。

実家暮らしの場合は、住居費や水道光熱費などの費用がかかりません。そのため、家に一定額のお金を入れている場合であっても、毎月の貯蓄額を増やしやすくなります。

また、家族で暮らしていて世帯年収が多い場合も、10%以上を貯蓄に回すことも可能です。

人生では結婚や住宅の購入、教育費、老後資金など、まとまったお金が必要になるタイミングがあります。そのときに困らないためにも、計画的な貯蓄を早く始めることが大切です。

確実に貯蓄をするコツは、給与天引きや自動積み立てなどで強制的に貯蓄をすることです。「余ったら貯金をしよう」と思っていても、ついついお金を使いすぎてしまい、余剰金がなかったということがよくあります。計画的に貯蓄をしたい場合は、天引きなどの仕組みを活用するようにしましょう。

まとめ

年収400万円の人の手取り額は315万円ほどです。ただし、手取り額は扶養家族の有無や年齢、住む地域、さまざまな控除を受けられるかによって違ってきます。

毎月の理想的なやりくりを考える場合は、手取り額からそれぞれの項目の割合を決めて、しっかりとお金を管理することがコツです。特に、毎月着実に貯蓄をすることは、将来の備えのためにも重要です。給与日に天引きや積み立てなどを行い、確実にお金を貯めていくようにしましょう。

(最終更新日:2021.03.17)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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