主婦の半数以上が仕事選びで「震災」を意識、帰宅容易な職場を優先

2011年3月11日の東日本大震災から、10年の時が経とうとしています。今月には福島県や宮城県で震度6強の余震が発生するなど影響は未だに大きく、「いざというときの備え」が必要な状況はこれからも続くでしょう。

震災を経て「家から近い職場を希望するようになった」

しゅふJOB総研が、「震災と仕事選び」をテーマとし、働く主婦層にアンケート調査を実施。震災が仕事選びにどのような影響を与えているかと質問をしたところ、「災害時すぐに帰宅できるように家から近い職場を希望するようになった」という回答が最も多く37.2%という結果に。「仕事選びにおいて特に震災の影響はない」人は36.7%で、6割以上の人が仕事選びの際、震災について何かしら意識していることが明らかになりました。

出典:しゅふJOB総研「震災と仕事選びに関するアンケート調査」

災害を意識した仕事選びをする人が徐々に増加傾向?

震災が仕事選びに与えている影響について、同様の質問をした過去3回の調査結果を比較したところ、大きな差異は見られませんでした。ただし、「仕事選びにおいて特に震災の影響はない」と回答した人の比率が、2016年調査時の44.1%から2021年には36.7%とやや下がっている一方、「自分のやりたい仕事内容を優先するようになった」「蓄えなどを考えてより収入の多い仕事を希望するようになった」「復興支援や環境・エネルギーに携わる仕事に興味を持つようになった」を選んだ人の比率は、じわじわと上昇しています。

仕事に求めるものの意識が少しずつ変化してきているようです。それに対し、「働く意欲が減退し無理に働こうと思わなくなった」が、2016年調査時の2.6%から2021年には8.8%と、今回調査で急上昇していることが気になります。コロナ禍に見舞われたことで、外出することに危機意識のある人が増えているのかもしれません。

出典:しゅふJOB総研「震災と仕事選びに関するアンケート調査」

どのような思いで仕事を選んでいる? 震災を意識する人・しない人の声

震災が仕事選びに与えている影響について、自由回答も多数届いています。最多の「災害時すぐに帰宅できるように家から近い職場を希望するようになった」という回答については

・実際に東日本の時に都内にいて帰宅できなかった。自宅が心配だし、居場所の確保も心配なので歩いて帰れる範囲で働きたい(50代:パート/アルバイト)
・犬を飼っているので、緊急時に歩いてすぐに家に帰れる場所が一番の条件となっている(50代:パート/アルバイト)
・子供が心配なのと帰宅難民になりたくないから家の近くが好ましい(40代:パート/アルバイト)

といった声が届いています。

家族との時間を優先し、より融通の利く時間帯を希望するようになった人からは

・これをメインに考えて転職する事はないが、家族と極力離れず勤められる距離ではありたい(40代:パート/アルバイト)

という声が挙がりました。

・震災関係なしに、仕事選びは変わらず自分のやりたいと思える仕事を第一に考えて探すようにしています(40代:パート/アルバイト)

と、自分のやりたい仕事を優先するようになった人もいるようです。「蓄えなどを考えてより収入の多い仕事を希望するようになった」という人からは

・蓄えや備えが必要と考え、震災後は高給料のお仕事を選んでおりました(40代:パート/アルバイト)
・いつ災害があってもいいように食糧を貯える必要があり、そのためにはお金が必要(30代:今は働いていない)
・インフラ系は何があっても職を失う心配がなくて強い(30代:正社員)

といった声も。その他、2021年の調査から回答の選択肢として追加された「耐震性への配慮など災害対策されている職場を希望するようになった」という項目に合致する人も多いようです。

・震災への対応がキチンとしている会社がよい(50代:派遣社員)
・天災が起きても安定している仕事を求める(40代:パート/アルバイト)
・職場のビルの防災対策は気にするようになった(40代:派遣社員)
・災害を受けにくい土地で働きたいとは思う。例えば埋立地で働くのは地盤が弱そうだし洪水なども怖い(40代:今は働いていない)

自身で災害に備える人も少なくありません。

・職場のドレスコードがうるさくなければ黒のスニーカーを履いて出勤することが多くなった、また、飲み物や飴など持ち歩くようになった(50代:派遣社員)
・融通のきく仕事を選択してきました。有事の際に対応したいため(50代:契約社員)
・コロナと同じくある日突然やってくるかもしれないので備えておく(50代:派遣社員)

また、「仕事選びにおいて特に震災の影響はない」と回答した人からは

・震災直後は何か考えたかもしれないが、現状何も変わっていなし。いつくるかわからない震災(特に地震)よりも明日来年の生活や仕事の充実を考える(30代:公務員/団体職員)
・震災の事を考えて仕事選びをしていたら見つからない。雇ってもらえるところで働く(50代:パート/アルバイト)
・仕事選びと震災はほとんど関係無い。震災に備えて仕事を選べるなら羨ましい限りです(50代:パート/アルバイト)
・特に自分に影響がなかったのであまり深く考えたことはない(50代:今は働いていない)

といった声が挙がりました。

まとめ

2020年には新型コロナウイルスの感染が拡大し、仕事との向き合い方が変わった人も多いと思います。上記調査結果では2021年の調査から追加した項目として除外していますが、「在宅勤務を希望するようになった」人は12.7%でした。

最多の回答だった「災害時すぐに帰宅できるように家から近い職場を希望するようになった」人とともに、安心して働ける環境づくりが、今まで以上に求められているのではないでしょうか。

【調査概要】
「震災と仕事選びに関するアンケート調査」
調査対象:ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOBパート』登録者803名
調査方法:インターネットリサーチ(無記名式)
実施期間:2021年1月13日~2021年1月20日
実施機関:株式会社ビースタイル ホールディングス

ニュース提供元:PRTIMES
情報提供元:しゅふJOB総研

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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