関東や関西など大都市圏を中心に発出された緊急事態宣言、2月2日に1ヶ月延長が決定しました(栃木県は2月7日に解除)。緊急事態宣言は昨年4月に続いて2度目ですが、イレギュラーな出来事は建築中の住宅品質に影響を及ぼす可能性もあります。建築現場に気を配るとともに、工期と契約内容を再度確認しましょう。

緊急事態宣言の発出は2度目ですが、宣言下でマイホーム建築を経験するのは、ほとんど人にとって初めてのことです。

「大工さんや職人さんは建築現場に来てくれるのだろうか」
「建築現場でクラスターが発生したらどうなるんだろう」

という不安を持っている人も少なくないでしょう。

不動産コンサルティング会社・さくら事務所は、そうした不安を払拭すべく、宣言下で施主が確認すべきチェックポイントをまとめています。今回は後編としてこのチェックポイントの一部を解説します。

引用:さくら事務所「コロナ禍に建築中の方向けチェックリスト」

前編はこちら:工期大丈夫? マイホーム建築中の人が「緊急事態宣言下」で気をつけるべきポイント(前編)

現場監督の巡回ペースを日頃からチェック

建築現場に現場監督がどのくらいの頻度で訪問しているのか、ときどき確認を

一戸建ての建築現場には、施工会社の現場監督が週に何日かチェックしに行きます。

「通常は週に1回以上通うのが望ましいものの、前回の宣言のときから現場監督が直行直帰になるなど、回れるペースを落とす現場もありました」(さくら事務所のホームインスペクター・田村啓さん)

現場監督が来ていないときは職人だけで工事を行います。誠実に工事する職人であっても、手作業ゆえに間違いが発生することはしばしばあります。定期的に工事をチェックすることは非常に重要です。

例えば、基礎の鉄筋を組む工事では、もし工事に間違いがあって、それに気づかなければコンクリートが流し込まれて見えなくなります。外壁の防水工事などでは防水紙のはり方を間違えていることに気づかなければ、外装材をはる工事に進んでしまいます。

新型コロナに限らず、現場監督が体調不良になってしまうと、いつもの頻度では現場を回り切れないということも考えられます。建築現場に現場監督がどのくらいの頻度で訪問しているのか、ときどき確認しましょう。もし、現場巡回の頻度が極端に低くなっているなら、施工会社やハウスメーカーに改善を求めます。

万が一、建築現場にクラスターが発生したりすると、施工がすべて止まる可能性が高くなります。建築現場で感染が広がらないよう、国土交通省が出している建設業向けのガイドラインなどを参考に対策が行われているかどうか、具体的な実施内容とともに教えてもらうといいかもしれません。

参考:国土交通省「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」

 

「国交省のガイドラインは、どちらかと言うと施工全体を管理するゼネコン向けですが、消毒や換気など、ごくごく当たり前のことが書かれています。現場を離れて、施工会社の事務所の方もきちんと対策できているかということもありますね。最近指摘されていのが、排泄物からの感染です。施主さんが現場に行って仮設トイレを使ったときにちょっと心配な事例が出てくるかもしれないので、これもポイントの1つです。今は仮設トイレも水洗になっており、手も洗えるのですが、単に掃除していないとか、石鹸を切らしていることがあるかもしれません。基本的には現場監督が巡回したときにチェックしているはずです」(田村さん)

前回の宣言時は工期を提示しない施工会社も

工事が終わればすぐ引き渡しというわけではなく、通常はその家を所有する方が引き渡し前の工事完了確認を行います。

内覧会や施主検査、竣工検査などと呼ばれ、注文した仕様や間取りになっているか、適切な工事が行われているかなどを確認し、もし直すべきところがあれば引き渡し前に手直し工事をしてもらいます。

ところが、工事が遅れていたり、内覧会を担当できるスタッフが不足していたりすると、日程がずれこんで引き渡しぎりぎりのタイミングになってしまうかもしれません。

「前回の宣言のときは、コロナ禍を何となく口実にして工程表を出さないとか、工期が読めないと言うなど、うやむやにしていた施工会社がかなりありました。納期遅れがあっても仕方ない部分はあるものの、内覧会の日は、引き渡し日から逆算して、仮であっても絶対に組んでおくべきものです。『わからない、決まってない』でずるずる行ってしまうと、いつの間にか引き渡しになってしまいます。そもそも内覧会の予定が組まれていないということもあり得ますので、やはり確認する必要があります」(田村さん)

仮であっても、あらかじめ内覧会の日程があれば、工事に遅れが出たときにも「内覧会も遅れますか?」と質問しやすくなります。

内覧会(施主検査)は引き渡しの2週間前に

遅れた理由ははっきりさせておくのは重要

工程表や引き渡しまでのスケジュールに、内覧会を明記してもらう場合、引き渡し日(代金決済日)までに少なくとも1週間以上の余裕があるかどうかを確認します。

内覧会や施主(竣工)検査で施工の間違いが見つかった場合、内装材の傷や汚れであれば数日で直せるかもしれませんが、中には部材を交換したり、大がかりな解体を伴う工事が必要な場合も出てきます。

さくら事務所のホームインスペクション(住宅診断)で実際にあった事例ですが、屋根裏に入って調べたところ、断熱材の施工方法に間違いがあることがわかり、一部の建材を解体して断熱材を施工し直したことがあったそうです。1週間では修繕が終わらない施工不良が見つかることもあるようです。

「引き渡しは前から決めているはずなので、そこから逆算して内覧会の日ができれば2週間の余裕があるかどうか。仮でもいいから必ず決めておきます。引き渡しが遅れる場合、必ずその理由をはっきりさせましょう。遅延損害金等の取り扱いにかかってきます」(田村さん)

大地震など天災地変により工事が遅延した場合、「不可抗力」によるものとして損害遅延金は発生しない取り決めが一般的です。新型コロナなど感染症による影響も、不可抗力として扱われるケースが多いようです。

「新型コロナのような不可抗力で遅れてしまった場合は、損害金を請求できませんが、施行会社の責任の範囲で遅れたのならば、遅延損害金を請求できると契約書に書かれています。実際に請求するかどうかは別として、遅れた理由ははっきりさせておくのは重要です」(田村さん)

新型コロナのせいで遅れたのならば、やはり仕方ないと言う他ないのですが、実際は新型コロナは何も関係なく、単に工事が遅れているだけのものまで「コロナ禍」として不可抗力を主張されるケースも考えられます。

施工会社などから引き渡しを遅らせてほしい旨の要望があった場合、施主に余分な負担金が発生しないかどうか、損害遅延金の取り扱いをどうするかなど、金銭的な問題はしっかり確認しましょう。

3月という決算期ならではの懸念も

今回の緊急事態宣言下では、前回のように部材などの納期遅れが目立つ状況ではないので、現時点で引き渡しの遅れなどが深刻化しているわけではありません。しかし、時期的に特有な懸念材料もあります。

「3月の決算期にかかってくるので、売り上げを何としても今期の決算に入れたい会社があります。しかも、前回の宣言の影響で、上半期に着工すべき案件を下半期にずらしている会社がいっぱいあると聞いています。どこの会社も売り上げが減っているので、徹底的に今期に入れられるものは入れると。それをしないと資金繰りが厳しいということなので、全体的に突貫工事が起きやすい環境が整ってしまったのが今回の特徴です。コロナ禍も冬には終わっているだろうと思っていた会社なら、尚さら今期に入れたいでしょうね」(田村さん)

なお、余談ですが、感染拡大は建築現場のみが原因となるものではありません。職人以外の営業担当者などが勤務する事務所も関係してきます。

「営業担当者に話を聞くと、在宅勤務しているお客さんが多いため、平日の昼間でもアポ入れしやすいといいます。Webカメラで打ち合わせよりも、やはり実際に会いたいというのが本音のようです。施工会社やハウスメーカーなどは最大手クラスでもテレワークをやめているところがありますね」(田村さん)

事務所のことは、さすがに施主にはどうすることもできませんが、建築現場の感染防止策には引き続き注視していきましょう。

取材協力
株式会社さくら事務所

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア

おすすめ記事