2020年の首都圏新築マンションの平均価格は6,000万円を超え、東京23区では8,000万円近くに達しています。それに比べて中古マンションは現在どのような状況なのでしょうか? 価格面・物件の数だけでなく、希望に合った住まいを見つけるという観点からも分析してみます。

中古マンションなら新築に比べて6割の負担ですむ

民間調査機関の株式会社不動産経済研究所の調査によると、2020年に首都圏で発売された新築マンションの平均価格は図表1にあるように、6,083万円でした。なかでも、東京23区だけに限ると7,712万円と8,000万円に近い水準です。

5,000万円のローンを金利1%、35年元利均等・ボーナス返済なしで借り入れると毎月返済額は14万1,142円、6,000万円だと16万9,371円です。

それに対して、首都圏中古マンションの成約価格を、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)のデータから見ると、首都圏全体では3,599万円で、東京23区では4,889万円になっています。

借入額3,000万円なら毎月返済額は8万4,685円、4,000万円でも11万2,914円ですから、中古マンションをターゲットに据えれば、格段に購入後の負担が軽くなります。借入額5,000万円に対して借入額3,000万円の返済額は約6割ですから、メリットは計り知れません。特に、現在のようにコロナ禍で先行きが見通しにくい時代であれば、決して無理はできませんから、なおさらでしょう。

出典:新築は不動産経済研究所、中古は東日本不動産流通機構調べ

希望エリアで見つかる可能性

ここで、図表2をご覧ください。これは、不動産仲介大手が中心となった業界団体の一般社団法人不動産流通経営協会が、住宅を購入した人を対象に実施した調査のなかから、既存住宅(中古住宅)を買った人に、中古住宅にした理由を聞いた結果をグラフにしたものです。

最も多かったのは、「手頃な価格だったから」の68.6%で、これは、価格の安さ、負担の少なさからすれば、当然の結果でしょう。

注目していただきたいのは、2位に0.2ポイントの僅差で、「希望エリアの物件だったから」という項目が挙がっている点です。

というのも、新築マンションに限定すると、希望エリアが決まっている場合、なかなか物件が出てきません。特に、開発が進んだ人気住宅地だと、駅前はほとんど新築マンション建設の余地がなく、あったとしても再開発の超高層マンションなどで、価格はやたらと高くなってしまい、簡単には買えません。

その場所だけにこだわっていると、何年も待たないとならず、購入タイミングを失ってしまうといった事態になりかねません。

出典:不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費動向調査(2020年度)」

中古ならいつでもどこでも探しやすいのが魅力

それに対して、中古マンションはいつでもどこでも探しやすいというメリットがあります。

まず、絶対的な流通量が異なります。図表3にあるように、東日本レインズのまとめによると、2020年の首都圏の中古マンションの新規登録件数は18万件を超えています。この2年はやや減少傾向ですが、年によっては20万件を超えることもあります。

出典:新築は不動産経済研究所、中古は東日本不動産流通機構調べ

一方、不動産経済研究所の調査では、2020年の首都圏の新築マンションの発売戸数は2万7,228戸です。中古マンションのほうが7倍近い水準で、中古マンションならこの豊富な物件数のなかから、希望の住まいを探すことができます。

しかも、新築マンションの場合には1棟当たりの戸数が50戸とすれば、年間の新築マンションの棟数は500棟ほどしかない計算です。それに対して、鉄道の駅数を見ると東京都だけで700駅を超えていますから、希望エリアを一定の駅に限定すれば新築マンションはなかなか出てきません。単純平均だと、年間に1棟出るか出ないかということになります。

中古マンションなら駅前や駅近物件が見つかる可能性も

さらに、中古マンションなら、駅前や駅近など利便性の高いエリアで探しやすいのもメリットでしょう。

先に触れたように、首都圏や近畿圏などの大都市圏では多くの駅で駅前やその周辺ではマンションの開発が進み、新築マンションの立地が極めて難しくなっています。仮に、立地できたとしても、希少性の高さから、価格は格段に高くなってしまいます。再開発型の超高層マンションだとなおさらです。

それに対して、中古マンションであれば、10年前、20年前に開発された駅前や駅近物件を探すことができます。あるときには駅近物件がなかったとしても、そのエリアに強い不動産会社に依頼しておけば、希望に近い物件が売りに出たときに知らせてもらうこともできます。

自分たちだけの自分たちらしい住まいを実現

中古マンションなら、こうして希望エリアに物件を見つけることができます。しかも、価格が安い分、一定の費用をかけてリノベーションすれば、世界に一つの、自分たちだけの住まいをつくりだすことができます。

少し前までは、リフォームに関するローンは金利が高く、利用できる返済期間が短いなどの問題があったため、結構負担が重くなってしまったものですが、最近では、リフォームに必要な費用を住宅ローンと同じ条件、つまり低い金利、長い返済期間で借りられる金融機関が増えています。

また、住宅金融支援機構が民間機関と提携して実施している住宅ローンの【フラット35】には、当初5年間または10年間の金利が0.5%も引き下げられる【フラット35リノベ】があります。
より少ない負担で、満足度の高いマイホームを実現できるかもしれません。

中古一戸建てにも敷地面積が広いという魅力がある

以上は中古マンションの魅力ですが、中古一戸建てにも注目しておきたいメリットがあります。価格的には、マンションと同様に、中古なら格段に安いのは変わりませんが、残念ながら物件数はマンションほど多くはありません。

図表4にあるように、首都圏においては中古一戸建ての新規登録件数よりも新築一戸建ての新規登録件数のほうが多くなっているほどです。

出典:東日本不動産流通機構「首都圏の動産流通市場の動向(2020年)」

ただし、図表5でもわかるように、中古一戸建てには土地面積が広いという見逃せないメリットがあります。

東日本不動産流通機構の調査では、2020年に売りに出された新築一戸建ての土地面積の平均は111.88平方メートルですが、中古一戸建ては171.12平方メートルです。中古のほうが60平方メートル近く広いのです。これだけあれば、庭いじりを楽しみ、小さな家庭菜園もできそうです。

ウィズコロナの簡単には外出できない時代、自宅での時間を充実させる意味でも、広い庭付きの一戸建ては大きな魅力ではないでしょうか。

出典:東日本不動産流通機構「首都圏の動産流通市場の動向(2020年)」

住まい探しにも発想の転換が求められる時代に

コロナ禍で、住まい探しのあり方にも変化が生じています。仕事に集中できる広めの住まいや、長期化する在宅時間を楽しめる住まいなどが求められるようになっています。

その点、中古マンションなら、価格が安い分、一回り広い住まいを手に入れることができますし、中古一戸建てのように、庭いじりを楽しめる住まいが手に入ったりします。
発想を転換すれば、より満足度の高い住まい選びを実現できるかもしれません。

※参考 不動産経済研究所

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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