実家暮らしでも「貯金」ができない人の習慣とは? 改善するためのコツも紹介

実家暮らしの社会人は、家に食費を入れるにしても、1人暮らしするよりは支出が抑えられるため貯金をしやすいものです。しかし、実家暮らしでもなかなか思うように貯金ができない人もいるでしょう。今回は、実家暮らしの貯金事情、貯金をするためのコツなどを解説します。

実家暮らしのほうが貯金に回せるお金は多い

本来なら実家暮らしのほうが貯金に回せるお金が多いため、貯蓄額も順調に増えていくと考えられます。その根拠を、1人暮らしの生活に必要な支出と比較して解説します。

実家暮らしなら生活費が抑えられる

実家で暮らしている場合、家賃が不要で、食費や消耗品、水道光熱費などは親が負担していることがほとんどでしょう。1人暮らしで必ず発生する住宅関連の固定支出が、実家暮らしなら安く抑えられます。実家暮らしの社会人は、給料の一部を食費や水道光熱費などの生活費として、月3万円程度を家に入れているケースもあるようです。

それでも、すべてをやり繰りする1人暮らしに比べれば、生活への支出は圧倒的に少ないでしょう。洋服や美容代、趣味や交際費などで自分のためにお金を使ったにしても、計画的にやり繰りすれば貯金に回せるお金は多いといえるでしょう。

1人暮らしの生活費と比べてみよう

政府が公示する統計調査データによると、一人暮らしの1ヶ月あたりの支出はおよそ12万円となっています。そのうち、家賃、水道光熱費、家具や家事用品などの住居関係にかかる費用は4万8,000円程度です。全国平均データのため、年代や地域の物価などによっても差異がありますが、首都圏などの都市部では総支出も増えることが考えられます。

収入も都市部のほうが多い傾向があるため、これだけでは何ともいえませんが、それにしても、住居関係費だけでかなりの支出があることがわかります。実家暮らしの場合は、それらの支出が抑えられるため、自分で使えるお金が多くなるのです。その分、効率よく貯金に回せるでしょう。

参考:人事院「世帯人員別標準生計費」

実家暮らしでも貯金できていない人も多い

実家暮らしでお金を貯めやすい環境にありながら、実際にはあまり貯金ができていないケースも見られます。貯金ができない原因はどのような理由によるものでしょうか。よくある事情の主なケースについて解説します。

お金の管理をしていない

実家暮らしの人は、1人暮らしの人に比べれば使えるお金に余裕があるため、お金の管理をしていないケースも多いものです。1人暮らしで予定外の出費が重なれば、危機感を持つこともあるでしょう。しかし、身近に頼れる親がいれば、収支計画を立てることもなく、毎月の支出額も把握していないこともあるようです。

そのため、気がついたら貯金に回すお金がなくなっていたというケースが案外多いのです。お金を管理することへの意識が低いため、給料をもらえばもらった分だけ、自分の楽しみを優先して無駄遣いを繰り返すことにもなってしまいます。

貯金をする目的がない

お金が貯められない人は、そもそも貯金をする目的や貯金の習慣がないともいえます。海外旅行したい、結婚資金を準備したい、もしものときのために備えが必要、といった貯金をする目的やゴールを設定しないのでは、なかなか積極的に貯められないでしょう。

また、実家暮らしで何かと世話を焼いてくれる親がいれば、貯金がなくても何とかなるという甘えもあるかもしれません。そのため、「残ったお金は貯金しよう」とは思っていても、将来の備えよりも目先の楽しみを優先するためお金を使い切ってしまうようです。

お金を浪費している

実家暮らしで貯金をできていない人の多くは、贅沢してお金を浪費しているケースもあります。趣味に思う存分お金を費やしたり、高額の習い事にも多少無理をして通ったりすることもあるようです。また、美容やファッション、ブランド品などにお金をかけているケースも見られます。実家暮らしが長くなるほど、贅沢品志向が顕著になる傾向もあるようです。

また、キャッシュレス決済を導入する店舗も多く、現金払いが減りクレジットカードを利用する機会が増えたためか、明細も確認せず、いくら利用しているのか把握していないケースも少なくありません。

実家暮らしの人が貯金をするためのコツ

実家暮らしだからこそ効率よく貯金ができている人たちも大勢います。貯金ができない人とどのような点が違うのでしょうか。以下に、実家暮らしの人が貯金をするためのコツを解説します。

家計簿をつけて収支を把握する

いつの間にかお金がなくなっているという人は、毎月の収支を把握していないことがほとんどです。かろうじて給料の概算はわかっていても、何にどれだけ使ったかわからないのでは、家計の管理はできません。その状態では、必要な出費とムダな出費の区別がついていない可能性もあります。まずは家計簿をつけてみて、自分がどの程度使っているのかを視覚化することが大切です。

簡単な家計簿アプリを利用するのもよいでしょう。現実の数字を見て初めて、収支のバランスや浪費に気づくことができます。そこで、ムダな出費をチェックし1ヶ月の支出額を計算して、毎月どの程度節約できるかを計算してみましょう。それにより、毎月どのくらい貯金に回せるか判断できます。

貯金の目標額を決める

今まで貯金の習慣がない人が、定期的に継続して貯金を続けるのは難しいものです。目標額や明確なゴールがないと継続できず、途中で諦めたり月々の貯金額を減らしたりしがちです。そこで、無理なく貯金が継続できる範囲で具体的な目標額を、先に決めてしまうことをおすすめします。月々の収支が把握できれば、月々の貯金額を算定するのもそう難しいことではありません。

具体的に「年間50万円貯める」「毎月3万円ずつ貯金する」など、目標を決めるとよいでしょう。また、「結婚資金」や「1人暮らしを始めるための準備金」など、実現したい明確な目的があればモチベーションも高まります。独身で実家暮らしをしている今だからこそ、一番貯めやすい時期といえます。

自動的にお金が貯まる仕組みをつくる

お金があるだけムダに出費してしまって貯金ができないという人は、自動積立や財形貯蓄など自動的にお金が貯められる方法を利用するのが常道です。毎月の給料から天引きされて強制的に口座振替で資金移動されるため、毎月確実に貯蓄可能です。また、手元に残ったお金でやり繰りする習慣がつくため、ムダな出費を防ぐなどお金に対する意識も変わり、お金の管理も上達するでしょう。

それでは、毎月にどの程度の金額を貯蓄に回したらよいのでしょうか。毎月の積立額が少なければなかなか貯まりませんし、多ければ貯蓄の継続が難しくなってしまいます。一般的には、毎月の貯蓄額は収入の10%程度を目安としているケースが多いようです。しかし、年代やライフスタイル、扶養家族の人数によってもさまざまに状況が異なるため、どのケースにも当てはまるものではありません。

実家暮らしの場合は、生活費の多くを払わなくて済むため、その分も貯蓄に回すのが理想です。一例として、実家暮らしの手取り収入が年間300万円の人が貯蓄した場合、どのくらい貯まるのか見てみましょう。

年間の手取り額が300万円だと、その10%を貯蓄に回す場合、年間に30万円が貯められます。月々に換算すると、毎月約2万5,000円ずつ貯蓄することになります。ただし、1ヶ月平均手取りが約25万円ある人が、生活費を実家に3万円入れて、残りの約22万円を毎月自由に使っているとしたら、それは浪費といわれても仕方ありません。

1人暮らしをした場合の住居関連費を仮に8万円とした場合、合わせて月に10万5,000円の貯蓄が可能です。結果として、年間で126万円以上も貯蓄できる計算になります。

お金に余裕があれば資産運用もできる

実家暮らしでお金にある程度の余裕があるなら、資産運用でお金を増やすことも検討してみるとよいでしょう。昨今は、老後の生活資金や子どもの教育資金などを貯める目的で、定期的な貯金とは異なる資産運用を始める人が増えています。以下に、日本政府が推奨する資産形成の方法や税制優遇制度について紹介します。

「つみたてNISA」でコツコツ運用する

「つみたてNISA(ニーサ)」とは、2018年から始まった少額投資非課税制度のことです。通常の株や投資で得た分配金や運用益に対しては課税対象の所得と見なされますが、つみたてNISAなら、年間の新規投資額が40万円を超えなければ、最長20年間にわたって非課税になります。

つまり、制度を生かして最大限の運用をすれば、800万円までの投資で得た利益の税金が20年間にわたって節税できます。小口の個人投資家に向けた優遇税制といえる制度で、投資初心者にもおすすめです。20年間は制度を利用できるため、長期的投資でコツコツとお金を増やしたい人に向いている資産形成の方法といえます。

「iDeCo」で老後資金を貯める

「iDeCo(イデコ)」とは、2001年から始まった個人型確定拠出年金のことです。2017年には、会社員や自営業の人のほかにも、専業主婦や公務員、企業型確定拠出年金がある会社の社員も加入できるようになりました。iDeCoは、公的な年金とは別に、個人で選ぶ任意加入の私的年金制度です。

自分で掛け金の運用方法を選び、老後は掛け金と運用益から給付を受けられます。iDeCoにも税制優遇が適用されるメリットがあります。掛け金は全額所得控除の対象となり、運用益も非課税扱いとなるため、所得税と住民税の減税が可能です。

また、老後に年金を受給するときも所得控除を受けられるなど、運用中も年金を受け取るときも税負担が軽くなるお得な方法です。iDeCoは、原則として60歳になるまでは積み立てた掛け金を引き出せない仕組みになっています。そのため、しっかりと老後資金を貯めたいという目的をもって資産運用したい人に向いている方法といえます。

まとめ

実家暮らしをしている独身の社会人は、人生において一番貯金をしやすい環境にあるためコツコツと貯めることが大切です。毎月の家計を見直し、ムダ遣いを防ぐことで計画的にお金を増やすことができます。

お金に余裕のある若いうちに、投資などの資金運用を検討することも良いでしょう。2022年度からは高校の家庭科の授業で投資を学ぶ時代が到来するそうです。資産形成がより身近になり若いうちに始めればそれだけ有利に効率よく貯めることも可能です。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア