2度目の緊急事態宣言が発令され、在宅勤務もすっかり日常のものとなりました。在宅勤務を経験すると痛感することのひとつとして、「防音」の大切さがあります。

国土交通省では、在宅勤務のためのリフォーム費用のうち最大100万円を補助する制度の創設を検討しているところです。この記事では、防音に焦点を当て、在宅勤務のためのリフォーム方法について解説していきます。

在宅勤務で感じる「音の不満」

35%が「オンオフの切り替えができない」と回答

実際に在宅勤務に取り組む人は、さまざまな不満を感じていることが分かっています。株式会社リクルート住まいカンパニーが2020年5月に実施した「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態調査」によりますと、オンとオフの切り替えがしにくいことに不満を感じている人は35%となっており、在宅勤務に対する不満のなかで最も高い割合を占めています。

また、6歳以下の子どもと同居している既婚者の場合、子どもの面倒を見ながら仕事ができる環境が整っていないことに不満を感じている人も多いです。1人で作業に集中できるスペースがなく、業務の生産性について問題を抱えている人もいます。

加えて、在宅勤務に取り組んでいる人のうち、自宅のリビングテーブルやダイニングテーブルで業務を進めている人の割合は55%にも上ります。つまり、半数以上が仕事のための専用のスペースを確保できていない状況です。リビングやダイニングは家族と共用のスペースであり、家族の姿が見えたり声が聞こえたりする状況で集中力を継続するのは困難と言わざるを得ません。

参考:株式会社リクルート住まいカンパニー「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査

音を遮断する環境づくりが大切

このような状況を踏まえると、自宅というプライベートな空間で仕事に取り組むためにはパソコンやインターネット環境を用意するだけでなく、働く環境の整備にも力を入れる必要があることが伺えます。

特に、家族と同居していたり、小さな子どもがいたりする人にとって、環境の整備はできる限り早めに対応しなければならない大きな課題です。

在宅勤務に集中して取り組むためには、自宅の中でもプライベートを遮断できるスペースを確保する必要があります。プライベートなものが視界に入らないようにするだけでなく、生活音も遮断することが大切です。たとえ視界を遮断できたとしても、生活音が耳に入ってくれば集中力はすぐに切れてしまいます。

音を遮るにはイヤホンをつけるという方法もありますが、Web会議にも対応するためには根本的に音を遮断する必要があります。よって、在宅勤務でしっかり業務に取り組むためには、防音のリフォームについてもきちんと検討することが大切です。

在宅勤務のための「お手軽リフォーム」方法

家に書斎がある人は問題にならないのかもしれません。また、DENや納戸のようなちょっとしたスペースがあれば、在宅勤務のための専用部屋として活用できるでしょう。しかし、そのようなスペースがない場合は、工夫を凝らして視界や音を遮断できるスペースを新たに確保する必要があります。

どのような住宅でも、工夫すればデスクを置いて作業できるスペースを確保できる可能性があります。

ここでは、増築や間取りの変更などの大掛かりな工事をしなくても実現できる、手軽なリフォーム方法をみてみましょう。

リビング・ダイニングの一角をワークスペースに

リビング・ダイニングで仕事を行う人は多い

リビング・ダイニングで在宅勤務に取り組む場合でも、共用のテーブルで作業するのではなく仕事用のデスクを用意したほうがいいでしょう。簡単な方法ではありますが、改めてワークスペースを確保するだけでも仕事に対する集中力や業務効率を高める効果を期待できます。

ただし、この方法では視界や音を完全に遮断することはできません。リビング・ダイニングの一角をワークスペースにするなら、在宅勤務中は家族の協力が必要不可欠となります。仕事に取り組んでいるときのルールを決めるなどし、スムーズに業務を進められるようにしましょう。

キッチン横のパントリーをワークスペースに

住宅によっては、キッチンの横にパントリーを設けて収納を確保しているところもあります。スペースに余裕があるなら、パントリーにデスクを置いてワークスペースとして活用する方法もあります。パントリーにたくさんのキッチン用品や食品を収納している場合は片付けをし、作業に必要なスペースを確保しましょう。

パントリーはキッチンにつながっているため、家族が集まるリビング・ダイニングから少し離れた場所で作業できます。その分、音も伝わりにくくなるので、在宅勤務に集中しやすくなる可能性が高いです。ある程度の密閉性を確保できるため、パントリーがある場合は試してみるといいでしょう。

押し入れをワークスペースにリフォーム

和室があるなら、押し入れを活用してワークスペースを作るのもひとつの方法です。押し入れの襖や中板を外せば、デスクを置いて仕事ができる程度のスペースを確保できます。押し入れは壁に囲まれていて視界や音をある程度遮断できるので、業務に集中的に取り組みやすくなるでしょう。

ただし、押し入れの中には電源がないため、延長コードなどを使って電源を確保する必要があります。他に収納場所がない場合、押し入れにしまっていたものをどこに収納するかについても検討が必要です。

また、外した襖や中板を置くスペースも必要になります。もともとの和室の使い方も考慮しながら、押し入れを活用できるかどうか考えましょう。

ウォークインクローゼットをワークスペースにリフォーム

広めのウォークインクローゼットがあれば在宅勤務専用部屋にできる

人が出入りできる広めのウォークインクローゼットが自宅にある場合も、ワークスペースとして活用可能です。扉を閉めれば密閉性を確保できるため、プライベートな空間と完全に分かれた空間で在宅勤務に集中できます。

ただし、ウォークインクローゼットには電源や空調などの設備がない可能性が高いため、それらをどのように確保するか考えなければなりません。

また、それまでウォークインクローゼットをメインの収納として活用していたのであれば、代わりの収納場所も確保する必要があります。ウォークインクローゼットを家族と共用しているなら、ワークスペースに変更するためにはあらかじめ相談が必要です。

もっと手軽な「防音」のリフォーム

今では、各社より在宅勤務のための防音リフォームに役立つアイテムがたくさん販売されています。より手軽に防音のリフォームができるので、なるべく少ない手間でワークスペースの環境を整えたい人にもおすすめです。

ここでは、手軽に防音のリフォームをするためにおすすめの方法を3つ紹介します。

吸音材パネルタイプ

デスクのまわりに設置するための間仕切り用パネルが販売されています。パネルは吸音材を使用しており、これを設置すれば高い防音効果が期待できます。パネルを広げて設置するだけなので、リフォームの手間はほとんどかかりません。吸音材は反響音も吸収するので、電話やWeb会議の通話音もよりクリアになります。音漏れも軽減できるため、家族がいるなかでも業務に取り組みやすくなります。

なかにはパーテーションになっているタイプもあり、音だけでなく視界を遮る目的でも活用可能です。吸音材パネルタイプならリビング・ダイニングで作業しなければならない人でも簡単に導入でき、一定の効果を期待できます。それまでと同じ環境で在宅勤務に取り組みつつも防音効果を高めたいという人におすすめです。

吸音フェルトボード

在宅勤務で防音を施すためには、硬質吸音フェルトボードをデスクに置くという方法もあります。デスクの上に乗せるだけなので、ワークスペースが狭くても邪魔にならないように設置できます。硬質吸音フェルトボードでも、反射音を吸収することが可能です。よって、電話やWeb会議でやり取りするときも、声がスムーズに伝わりやすくなります。

デスクに座ると目の前にボードがある状態になるので、在宅勤務中に家族の様子が気になることもありません。使用しないときは折りたたんで収納できるのも嬉しいポイントです。すぐに移動できるので、日によって在宅勤務に取り組む場所を変えている人でも問題なく活用できるでしょう。

また、使用している最中に肘があたって倒れないよう、フォルムが工夫されています。複数のサイズがあるので、デスクの大きさに合わせて選べます。

ボックスタイプ

ワークスペースを完全に囲むボックスタイプの防音アイテムもあります。個室のように壁で囲まれており、在宅勤務をしているときはプライベートを忘れて業務に没頭できます。デスクやイスを置ける程度の広さがきちんと確保されていますが、コンパクトなのでちょっとしたスペースに設置可能です。ボックス内の広さは、約1畳となっています。防音だけでなく、周囲の視線を遮ることも可能です。

吸音パネルを専用のマジックテープで留めるだけで組み立てられるので、大掛かりなリフォームは必要ありません。そのため、持ち家だけでなく、賃貸住宅でも気軽に設置できます。

簡単に仕事用の個室を確保できるため、自宅にDENや納戸がない人におすすめです。パントリーやウォークインクローゼットがあるものの、ワークスペースに変更するのは難しいという人にも適しています。他のアイテムに比べると値が張りますが、頻繁に在宅勤務をしているのであれば導入を検討してみるといいでしょう。

まとめ

在宅勤務が日常的なものとなってきたため、自宅の環境整備にも力を入れる必要性が出てきました。特に音は集中力を妨げる原因になりやすい要素のひとつです。防音のリフォーム方法としては、今回紹介したように簡単に行えるものも多くあります。状況にあわせて防音をしっかり施し、ストレスなく働ける環境を整備しましょう。

(最終更新日:2021.02.24)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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