冬は湿度が低くなるので、「暖房すると乾燥しやすい」と思いがちですが、実は暖房器具には乾燥を促進するものと、逆に加湿してくれるものがあります。暖房器具を使いながら加湿する場合、間違った組み合わせで使うと結露やカビなどを発生させてしまうので、気を付けなくてはなりません。

「乾燥を進める」暖房器具と「加湿してくれる」暖房器具の違い

エアコンなどの熱交換系の暖房器具は乾燥が進む

エアコンは乾燥が進む

液体は蒸発するときに、周囲から多量の熱を奪います。逆に気体から液体になるときには多量の熱を放出します。

エアコンなどの熱交換系の暖房器具は、この性質を利用し、取り込んだ部屋の空気を熱交換器というもので冷やしたり温めたりしています。

実際には、エアコンの室内機と室外機をつなぐパイプに冷媒という液体を循環させ、液体と気体の状態変化を繰り返して、空気の熱を「交換」しています。

基本的には室内の空気を循環させているので、室内の湿度が低ければ低いままで、エアコンから風が送られることで乾燥が進みます。

石油ストーブ、石油ファンヒーター、ガスファンヒーターは加湿してくれる

「燃焼系」の暖房器具は加湿効果が

石油ストーブや石油ファンヒーター、ガスファンヒーターなどの「燃焼系」の暖房器具は、石油やガスが燃えるときに水分(水蒸気)が発生するので、実は加湿効果があります。

これは石油やガスが、炭素(C)と水素(H)を含んでいて、これらが燃えると空気中の酸素(O)と結びつき、炭素は二酸化炭素(CO2)へ、水素は水(H2O)に変化するためです。

石油ストーブというと、上に載せているケトルから湯気が発生して加湿されるというイメージがありますが、それとは別に加湿されているということです。

ファンヒーターは温風が体に当たることで乾燥を「感じて」、余計にを加湿器を稼働させてしまうことがあります。これらの暖房器具を使っているときに加湿しすぎると、結露などを起こしてしまうおそれがあるので注意しなくてはなりません。

床暖房、電気ストーブ、オイルヒーターはどちらの効果もなし

オイルヒーターなどの「非燃焼系」の暖房器具は加湿効果なし

床暖房、電気ストーブ、オイルヒーターなどの「非燃焼系」の暖房器具は、エアコンのように風を起こさないので乾燥を進めませんが、加湿の効果もないので、それなりに乾燥していきます。
こちらも加湿が必要になってきます。

加湿する働きのある暖房機かどうかで、加湿器を使うかどうか判断する

暖房機能別に説明してきましたが、ここで暖房器具と加湿器との相性を改めて以下にまとめます。

特に火を使う暖房機の場合は燃焼時に水分が発生するので、加湿しすぎないように気をつけましょう。

・エアコンなど「熱交換系」
 →〇乾燥が進むので、加湿器を併用する

・オイルヒーターなど「非燃焼系」
 →△加湿効果があるので、加湿しすぎると結露やカビなどの原因になるので注意

・石油ストーブなど「燃焼系」
 →〇加湿効果がないので、適度に加湿器を使う

建物の気密性も関わってくる

気密性が高い集合住宅では冬場に結露が発生する恐れも

暖房の効果、および加湿の効果については建物の気密性も大きく関わってきます。

気密性が低い木造住宅など→乾燥しやすい

木造の家屋では気密性の低さから、加湿された空気が外に逃げてしまいやすい傾向があります。燃焼系の暖房器具を使っていても乾燥が進んでしまうこともあります 。

気密性が高いマンションなど→加湿されやすい

マンションなど集合住宅は戸建てよりも気密性が高くなっています。

石油ストーブなどの燃焼系の暖房器具を使うことを禁止しているところもあります。

燃焼をともなう暖房器具のため、火災リスクや空気中の酸素が不足して一酸化炭素中毒を起こすリスクが大きな理由ですが、気密性の高さゆえ湿度が上がり冬場の寒い窓際などで結露が発生する恐れもあるからです。

比較的新しい戸建住宅でも、性能が良いと気密性が高い場合もあるので同様に注意が必要です。

部屋の密閉具合にも注意を

気密性に関しては、建物全体だけでなく、暖房をONにしている「部屋」、あるいは加湿器をONにしている「部屋」の密閉具合にも注意を払いましょう。

加湿している部屋から逃げた空気が、普段温度の低い部屋に流れて、そこで結露を起こしたりカビを発生させたりということが少なくありません。

とくに冬場は2階建ての戸建てなどで、1階のリビングで加湿したあたたかな空気が階段を上がり、最も離れたところにある押し入れのカビの原因となることもあります。

予防策としては、階段の上に窓があればそこを開けておくと、上がっていった空気を逃がすことができます。また、押し入れに新聞紙を丸めて入れておけば、余分な湿気を吸ってくれます。新聞紙が湿っていれば、加湿された空気が届いているということもわかります。

監修
近畿大学建築学部建築学科 岩前篤教授

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