コロナ禍で先行き不透明感が強まるなか、マンション市場、なかでも首都圏中古マンション市場の活況が続いています。新築マンションも高値が続いているものの、近年の上昇率は中古マンションのほうが高いため、今住んでいるマンションから、最新の新築マンションに買い替えるチャンスのときかもしれません。

中古マンション成約件数は過去最高を更新

コロナ禍にもかかわらず、首都圏の中古マンション市場の活況が続いています。

図表1にあるように、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が深刻化した2020年4月には、成約件数が大幅に減少したものの、5月以降V字回復して、8月には、この集計を行っている公益財団法人の東日本不動産流通機構が1990年5月に発足して以降、8月としては過去最高の成約件数を達成しました。その後も、10月、11月とやはり機構としての過去最高を記録したそうです。

2020年首都圏新築マンションの発売戸数は3万戸を切って、バブル崩壊時をも下回る年間2万戸台にとどまったとみられ、新築の供給が先細り傾向になっているのとは好対照です。

出典:東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」

成約価格は前年同月比5%以上の上昇率が続く

成約が好調に推移しているなか、成約価格も上昇しています。図表2をご覧ください。

成約件数と同様に、2020年4月には成約価格も下落しましたが、5月以降急速に回復しています。6月には前年同月比で5.3%の上昇に転じ、その後は11月まで6ヶ月連続して5%以上の上昇を続け、11月の成約価格の平均は3,756万円と、コロナ禍以前の2020年1月の3,672万円を上回る水準まで上がっています。
一方、民間調査機関の株式会社不動産経済研究所の調査によると、首都圏新築マンションの平均価格はこのところ6,000万円を挟んだ小刻みな動きで、高値での横ばい傾向が続いています。

価格面で見ても、中古マンションが上がり続けているのに対して、新築マンションは横ばい傾向と、中古マンションの動きが際立つ流れになっています。

出典:東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」

中古マンションの在庫件数の減少傾向が強まる

首都圏の中古マンションの成約件数が順調に拡大するなか、新規売出し件数が減少し、中古市場の在庫件数が急減しています。

図表3にあるように、オレンジの折れ線グラフの前年同月比の数値は右肩下がりで減少幅が大きくなっています。2019年11月には5万件近かった在庫件数が、2020年11月には4万件を切る水準まで減っているのです。

このため、仲介会社の営業担当者の多くが、「物件があれば売れるのに、なかなか物件が出てこない」と嘆いています。なかでも、「比較的築年数が浅く、最寄り駅からの徒歩時間が10分以内の物件なら、ほとんど売り出し価格でお客が付く状態」としています。

いずれは、今の住まいを売却して買い替えたいと考えている人は、一度査定を依頼してみれば、意外に高い査定価格が付いて、住まいのステップアップへの道が開けるかもしれません。

出典:東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」

中古マンション市場では一定の値引きが当たり前に

マンションの仲介市場では、売り出し価格から一定の値引き交渉が行われて、3%から5%程度低い価格で契約が成立するのが普通で、売れ行きが悪い時期には1割以上の値引きも珍しくありません。しかし、現在のように成約件数が増加、成約価格が上昇し、在庫件数が減っているなかでは、その指し値の余地は小さくなっています。

図表4をご覧ください。これは、首都圏中古マンションの1平米単価の推移を折れ線グラフに整理したものです。ブルーが新規登録価格、つまり売り出し価格で、オレンジが実際に交渉が成立した成約価格の推移を示しています。

在庫が多く、買い手が少ない、買い手優位の買い手市場では、指し値が入って、新規登録価格と成約価格の乖離が大きくなります。最近では、2009年から2012年にかけてと、2015年から2016年にかけてがそうで、2016年の成約価格は新規登録価格の87.4%でした。つまり、売り出し価格より成約価格は1割以上安くなっていたわけです。買い手優位の買い手市場ということできます。

出典:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」

売り出し価格で成約可能性大も慎重な判断を

それに対して、2019年は93.1%で、乖離率は小さく、その分、値引き交渉の余地が小さい、売り手が優位の売り手市場ということができます。2020年にはこの差がさらに小さくなっているのではないかとみられ、一段と売り手優位になっているはずです。条件のよい物件であれば、値引きなしで売り出し価格のままで売れる可能性があるかもしれません。

予想以上にいまの住まいが高く成約できるかもしれないわけですが、慎重な判断が必要です。

買い替えの場合には、買い替え先の新築物件がそれ以上に上がっていては意味がありません。それではいくら高く売れても、買い替えの資金が不足してしまいます。再び多額の住宅ローンを組まないと買い替えできませんから、メリットは小さくなってしまいます。

新築と中古の価格差が縮小している実態

しかし、新築マンションと中古マンションの価格の推移を見ると、このところの価格の上昇率は先にも触れたように、中古マンションのほうがかなり高くなっています。

新築マンションのほうが価格水準は2,000万円以上高いとはいえ、新築価格はこの数年はさほど上がっておらず、中古価格は着実に上昇しています。

その結果、中古価格の新築価格に対する割合を見ると、2019年には57.6%まで高まっています。直近では2015年にはその割合が52.4%まで下がっていました。そんな時期に中古マンションを売却して新築に買い替えようとすると、価格差が大きいために新たに準備しなければならないローンなどの負担が重くなりますが、現在は新築と中古の価格差が縮小しているため、買い替えによる負担が小さくて済む可能性が高まっています。

出典:新築マンションは不動産経済研究所、中古マンションは東日本不動産流通機構調べ

築浅物件ならプラスの差額が発生する可能性も

中古マンション価格が上がっているため、住んでいる住まいを売却して買い替えた人たちのうち、売却時にマイナスの差額が出る人が減って、プラスの差額が発生する割合が高まっています。図表6は、一般社団法人不動産流通経営協会が、マイホームを買い替えた人を対象に実施した調査結果です。

調査対象には、マンションだけではなく一戸建ての人も含まれますが、2014年度に買い替えた人では、「プラスの売却差額発生」の割合は13.2%にとどまっていたのが、2020年度では42.6%に高まっています。「差額なし」の6.1%を加えると、ほぼ半数の人で売却益が出るか、プラスマイナスゼロで買い替えを実行できていることになります。

出典:不動産流通経営協会「第25回不動産流通業に関する消費者動向調査」

売却した住まいの建築後の築年数帯別に見ると、築5年以内では、プラスの差額発生と差額なしの合計は7割近くに達し、築5年超10年以内も6割を超えています。

築年数が浅いほどプラスになる確率が高く、より少ない負担で買い替えできる可能性が高くなります。

もちろん、物件の条件によって売却しやすさ、買い替えしやすさは違ってきますが、住宅ローン減税の控除期間13年間への延長、グリーン住宅ポイント制度創設など、さまざまな住宅取得支援策が揃っている2021年は、マンションの売却、買い替えにとって大きなチャンスと言えそうです。

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