【神奈川県】待機児童数が少なく、保育園に入りやすい市町村はどこ?

これから出産や子どもが保育園への入園を控えている人は、居住エリアの待機児童数が気になるところですよね。神奈川県内で待機児童が多いのは、いったいどのエリアなのでしょうか。待機児童だけでなく保留児童の数にも注意しながら、神奈川県の待機児童の実態や、市区町村別の待機児童数などをチェックしていきましょう。

神奈川県の待機児童は過去最少に。しかし新たな課題が浮上?

※神奈川県「保育所等利用待機児童数の状況について―令和2年4月1日現在の集計結果―」より

神奈川県の発表資料によると、2020年4月1日現在の待機児童数は496人、前年比では254人減少しました。神奈川県では2010年から毎年、保育所等の利用申込数が増加し続けるため、多くの児童を受け入れられるよう保育所等の数も増やしています。

※神奈川県「保育所等利用待機児童数の状況について―令和2年4月1日現在の集計結果―」より

2010年には1,003ヶ所だった県内の保育所等の数は、2015年には認可保育所以外の施設(認定こども園・地域型保育事業など)も統計に入れられるようになったこともあって1,720ヶ所に増加。2020年には2,514ヶ所、定員数も約16.9万人にまで増えました。ただ、これだけ保育所等の整備を続けていても、なお利用者の需要が上回っている状態です。

待機児童496人よりも圧倒的に多い、保留児童9,184人

神奈川県の待機児童の496人中、3歳未満が432人と、90%近くを占めています(「保育所等利用申込・入所待機状況」:令和2年4月1日現在)。3歳未満の児童を受け入れる体制が十分に整っていないことが、待機児童数の増加を招いているということです。

神奈川県の平均年齢は46.17歳。実はこの年齢は全国の平均年齢と比べて若く、65歳以上の人口比率の低さも全国第4位に入っています(※)。神奈川県は全国と比較して若い世帯が多い傾向があり、それだけ3歳未満の児童の預かりに対するニーズも他県より高くなっていると考えられます。
※平成27年国勢調査人口等基本集計結果(神奈川県の確定数):平成27年10月1日現在

神奈川県の3歳未満の児童数はどれだけ多いのでしょうか? 「令和元年(2019)人口動態統計(確定数)」によると、神奈川県の出生数は全国で2番目に多く、東京都の10万1,818人に次いで63,035人。区市町村別に見ても、横浜市が全国で2番目、川崎市が全国で6番目に多い数字でした(同調査「第3表-1人口動態総覧,都道府県(特別区-指定都市再掲)別」より)。

出生数の多さは、3歳未満の児童数に影響するため、神奈川県では3歳未満の児童の保育ニーズが高いと考えられます。

また待機児童数よりも目立つのが「保留児童数」の9,184人です。保留児童数とは、待機児童に加えて、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設、ベビーシッターなどの利用者、親が求職者や育休取得者である子ども等の数を総合計したもの。

例えば、認可保育園に落ちてしまい、やむなくベビーシッターを雇って働く家庭や、育休を延長している家庭などは、待機児童には含まれていません。よって、神奈川県の保育園への入りやすさを考えるときには、保留児童数をチェックしておきましょう。

就業者数が増えていることが原因?

こうした神奈川県の特徴と加えて、県内の労働者増加も待機児童数に影響している可能性があります。直近の労働力調査<神奈川県労働力調査四半期平均結果(2020年7月~9月期)>によると、神奈川県の労働力人口は521.5万人と高止まりを続けています。また、女性の増加率が高い特徴も。最新の2019年平均では、女性の非労働者人口が5.1万人減少し、労働者人口が7.4万人増えていました。よって県内の女性は就業傾向にあると言えるでしょう。

男女ともに働ける環境を求め、子どもを預けるニーズが増えている結果、待機児童数や保留児童数が増え続けているのかもしれません。

神奈川県内の市区町村別待機児童数ランキング

神奈川県内で待機児童数が多い市町村はどこ?

では、神奈川県内の市やエリアごとの待機児童数にはどういった傾向があるのでしょうか? 待機児童数が多い市をランキング形式で紹介します。

待機児童者数最多は座間市、保留児童数最多は横浜市

神奈川県で最も待機児童が多いのは、座間市、次いで鎌倉市、葉山市でした。

※神奈川県「保育所等利用申込・入所待機状況等」(令和2年4月1日現在)

一方で保留児童数が多かった市町村は、次のとおりです。

※神奈川県「保育所等利用申込・入所待機状況等」(令和2年4月1日現在)

保留児童数を見ると、保留児童が圧倒的に多いのは3,421人の横浜市です。また次点の川崎市も2,447人と多く、この2つの市では認可保育園に通わせたくても通わせられない可能性が比較的高いと言わざるをえません。

待機児童数の市は9市、大和市は5年間待機児童ゼロを達成

神奈川県内でも待機児童数ゼロの市はあります。茅ヶ崎市や三浦市、大和市、南足柄市など9市町村がこれに当たります。しかし、人口統計と併せて見ると、人口減少や高齢者層の増加が見られる地域と重なります。単純に子育てをする世帯が少ないとも推測できるでしょう。

そんななか、若い世帯の人口も一定数あり、待機児童ゼロを5年間も保っているのが大和市です。他エリアと比較して出生率が高いという特徴(平成30年神奈川県衛生統計年報)もある大和市は、県内で比較的子育てしやすい環境であると言えるかもしれません。

0~2歳の人口が横浜市に集中していることも一因?

横浜市に集中する未就学児数が待機児童数に影響?

0~2歳の人口を神奈川県内の各エリアで比較したとき、下記のような差が見られます。

※神奈川県「神奈川県年齢別人口統計調査結果」(令和2年1月1日現在)

このデータからもわかるように、待機児童の9割近くを占める3歳未満の幼児が横浜市に集中していることが、待機児童数や保留児童数に影響していると考えられます。

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待機児童数が多くても人気なのは横浜市! 神奈川県の子育ての実態

では、実際に神奈川県で働きながら子育てをするならどのエリアが良いのでしょうか? 待機児童数や保留児童数のことを考えると、先ほどの上位ランキングの市は極力避けたいところですが、そのほかの条件も踏まえると、そうとも言い切れないようです。

子育てしやすい町づくりが進む横浜市は人気エリアが集中

保留児童数が圧倒的に多い横浜市ですが、神奈川県内では子育てに適したエリアとして評価が高いようです。その理由は、質の高い教育が期待できる環境にあります。

特に人気のエリアは横浜市青葉区です。「平成27年度市立小学校等卒業予定者の進路状況調査」によると、青葉区は私立中学校への進学率が最も高く、進学塾も多いエリアとして注目されています。さらに、スポーツや音楽などの習い事をするための教室も多く、英才教育に力を入れたい家庭にとっては魅力的でしょう。

青葉区のたまプラーザは「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2021」で第6位となるなど、住みやすい街としても注目が集まっています。

※詳しくはこちら:【本当に住みやすい街大賞2021】第6位 たまプラーザ:のどかで治安も良好、緑豊かなエレガントシティ

また、都筑区も若い世帯が多く、大規模な公園などのびのびとした子育てを実現できる環境が人気を集めています。また、ベビーカーの通りやすい街づくりなど設計に対する評価も高い点が特徴です。

このように、横浜市には子育てがしやすい条件のそろったエリアが多いため、3歳未満の子どものいる世帯が集中しやすい傾向があると考えられます。

また、横浜市をはじめとした子育て世帯が集中するエリアは、東京へのアクセスが良い点も人気の理由の一つ。ちなみに、埼玉県、千葉県、神奈川県の3県を対象に行われたアンケート調査によると、横浜市は東京へのアクセスしやすさ1位にランクインしています。都心で働きつつ、都心より家賃を抑えて良い環境で家庭を築くために、神奈川県を選ぶ世帯は多いのかもしれません。

魅力的な環境とともに高まる保育ニーズへの県の対応

神奈川県は子育てをしやすいさまざまな環境が整い、なおかつ東京からのアクセスも良いため、子育て世代に人気の県です。一方、子どもを預けられる保育所等の施設の準備や人材確保が間に合わないことで待機児童数の増加が続いている側面もあります。

県ではこうした現状に対して、保育士を目指す学生に学費や生活費などを援助する「保育士修学資金貸付等事業」や、小規模保育園の「建設費補助金交付事業」など、保育士育成環境の強化や保育所等の開設・整備に資金的な援助を行う政策を発表しています。今後、こうした動きが活性化されることで保育所等の整備が拡充されれば、神奈川県はより子育てしやすい県になるでしょう。

(最終更新日:2024.04.19)
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