どうやって「家事」を分ける? 共働き夫婦が家事分担でモメないコツ

共働き夫婦が多くなり夫婦ともに仕事に追われるなか、家事の分担について悩んでいる人も多いようです。共働き夫婦にとって家事の分担は、日々をスムーズに、そして心地よく過ごすために、越えなければならない壁となっているのではないでしょうか。今回は、共働き夫婦の現状と、どうやって家事分担をすれば上手くいくのかを考えてみます。

共働きでも妻の家事負担が大きい

まだまだ妻に重くのしかかる家事

大和ハウス工業が2017年に実施した「20代から40代の共働き夫婦の“家事”に関する意識調査」によると、共働きの夫婦に家庭での家事負担の割合は、妻の認識では「夫1割:妻9割」が37.3%でトップ。次いで「夫2割:妻8割」(22.3%)、「妻10割」(17.7%)となっていて、「夫3割 : 妻7割」(11.3%)を加えると、妻の88.6%が「自分の家事負担が7割以上」と回答しています。夫の1位は「夫3割:妻7割」(27.0%)で、妻が思うより「自分はやってる」と考えている夫が多く、夫婦間で大きな意識の差があることがわかりました。
日本では、まだ一部で「家事は女性がするもの」という概念が根付いていると言われますが、時代の流れとともに各家庭のライフスタイルも変化し、家事育児の割合を考え直すときが来ているのかもしれません。

上手に家事分担する4つのアイデア

1.「家事=女性」という固定概念から脱却する
これまで日本では、男性=外で仕事、女性=家で家事という図式が少なからずスタンダードになっていたのではないでしょうか。しかし共働き家庭が増えるなか、この図式をそのまま当てはめると、女性への家事負担が増え、暮らしが立ち行かなくなってしまいます。

そこでまず前提としてお互いに共有しておきたいのは、男女ともに「家事=女性」という固定概念から脱却すること。「家族はチーム」という考えを持てば、それぞれがその時々で家族のために必要なことに取り組めそうですね。

たとえば、料理が上手な男性だっています。仕事をバリバリとこなすのが得意な女性もいます。苦手なことを無理に押し付け合うのではなく、お互いを尊重してそれぞれの得意分野を生かす方法を考えたほうがとても効率的ですね。

2.家事を細かくタスクに分ける
一言で家事と言っても、さまざまな種類があります。そんな家事を分担するためには、細かくタスクに分けて書き出してみるのもひとつのアイデアです。

たとえば、掃除ひとつをとってみても、部屋の掃除機がけ、トイレ掃除、風呂掃除など多岐にわたります。また必要ではありながら、地味な家事の数々「名もなき家事」についても、できるだけ明確にし、役割分担しておきたいところ。たとえば、「使った道具を元の位置に片づける」「「食べ残しの食品を冷蔵庫にしまう」「たまったゴミを捨てる」「調味料の補充や交換をする」など、数え上げればキリがないほど、多くの項目が挙げられます。

さらに、コロナ禍により「マスクや消毒液の確認や購入」など、新たな項目も加わりました。これらの「名もなき家事」は、家族が家で過ごす時間が長くなるほど増える傾向にあります。お互いのスケジュールや得意分野などを考えて分担を決めておけば、スムーズに進めることができるでしょう。

3.家事分担表を作り「見える化」する
家事を細かくタスクに分けたら、家事分担表を作り「見える化」してみましょう。毎日するもの、毎週するもの、毎月するものなど時間軸もざっくりと提示しておけば分かりやすくなります。こうすることで、実際にしなければならない家事が明確になり、お互いにどこまで進んでいるのか、モレはないかを共有しやすくなります。

4.ルールを決めたら、相手の家事に「ダメ出し」しない

相手の家事に「ダメ出し」はしない

妻の家事レベルが高く、夫がそれについていけないという声も聞かれます。もちろん、家事にもある程度のルールは必要ですが、細かいところは相手のやり方を尊重した方が上手くいくようです。家事に対する認識のズレがあると感じたら、一度ゆっくりと話し合ってみるのもおすすめです。
どうしても気になって「ダメ出し」が多くなると、揉めてしまう原因に。お互い「家事をしてくれている」「助けてくれている」という感謝の気持ちを持って接したいですね。

家事そのものの「負担を減らす」3つの工夫

1.日用品は宅配で購入する
ルーティンで買い続けている日用品などは、宅配に任せても良いのかもしれません。たとえば、トイレットペーパー、洗剤、シャンプー、歯磨き粉、ミネラルウォーター、お米などの日用品・必需品は、好みのメーカーや商品が決まっているのでは。その場合は、ECサイトの定期便や生協の宅配などを利用すると手間が省けるうえ、お得に買い物できる場合もあります。また、こうすることで衝動買いや無駄遣いが減る傾向にも。決まった時期に決まったものだけを購入する習慣がつくと、家計管理もしやすくなります。

2.家事を助ける「家電」を活用する
忙しい日々のなかで、家事を助けてくれる家電は強い味方になります。たとえば、洗って乾かすところまでをお任せできる食洗機や乾燥機付き全自動洗濯機、スイッチを押すだけで部屋中を掃除してくれるお掃除ロボットなど、便利な家電が多数登場しています。コストはかかりますが、そのぶん時間に余裕ができることは大きなメリット。

筆者が特におすすめするのは、食洗機です。忙しい夕食後のわずかな時間、やり残した家事を一気に片づけたり子どもの宿題を見たりと、時間を有効に使えています。また、手洗いよりも節水できたり、より清潔に洗いあげてくれたりと、そのほかの嬉しいメリットもあります。

3.プロのサービスを利用する

家事代行サービスにまかせるのも一つの手

基本的には夫婦で家事分担を行いますが、なかには自分たちでは上手くできない家事もあります。それが、エアコン掃除や分解しての換気扇掃除、頑固な汚れをとる掃除などです。

そんなときには、信頼できるプロのお掃除サービスを利用してみるのも良いでしょう。素人では危険だったり、上手く汚れが取れなかったりする部分も、プロにお願いすれば見違えるほどピカピカに。自分たちで無理をして取り組むよりも、時短に繋がります。定期的にお願いすれば、頑固な汚れになる前に対処できるため、自分たちの日々のお手入れもしやすくなります。

共働きで体力気力ともに余裕がなく、どうしても家事をするのが難しいという家庭や、仕事に専念するためにまとまった時間が欲しいという家庭では、家事代行サービスを利用するというケースもあるようです。最近では、在宅勤務によって自宅にいる時間が長くなった家庭の間で、家事代行サービスが人気になっているのだとか。

ある大手家事代行サービス業者は、家事全般を請け負うものから、掃除や洗濯はもちろん、買い物や花の水やりなど、短時間で希望の家事を一部手伝うサービスまで、さまざまなプランを提案しています。夫婦ともに仕事・家事負担が大きく、余裕がなくなりストレスを感じてしまう場合には、プロの手を借りることも一つのアイデアです。

無理しすぎず、ほど良い「手抜き」も

完璧を目指さないことも大切
どうしても家事に「完璧」を目指してしまいがちな人は多いのではないでしょうか。それが自分や相手を必要以上に苦しめてしまうのなら、ほど良い「手抜き」も大切なこと。基本的には、お互いに決めたルールに沿って家事をするほうが日々の暮らしはスムーズに進みます。ですが、ときにはお互いを追い詰めないように、完璧を目指さず「このくらいでいいかな」という心の余裕を持ちたいですね。

ほかの家庭のライフスタイルに影響されすぎない
SNSなどが普及するにつれ、さまざまな家庭のライフスタイルを垣間見ることがありますよね。もちろん、ポジティブに「自分もそうしよう」と取り入れてみるのは素晴らしいことですが、もし比較をして苦しくなってしまうようなら考えもの。

暮らし方は家庭それぞれに合ったものがあるはず。ほかの家庭のライフスタイルが素敵でも、自分たちに合っているかは分かりません。あまり影響されすぎず、あくまでも参考程度にSNSと付き合っていきたいですね。

まとめ

共働きをしながら心地よく暮らしていくためには、限られた時間を有効に使い、家事を上手に分担して進めていくことが大切です。夫婦が家事を協力して、ともに心地よい暮らしを目指すことで、きっとそれぞれの家庭に合ったライフスタイルが見つかるはずです。今回紹介したヒントはどの家庭にも当てはまるものではありませんが、一つのアイデアとして参考にしてみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2021.01.14)
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