【設定温度は何度が正解? 】冬のエアコン、節約しながら快適に過ごす10の方法とは?

寒くなってくると、エアコンを使うことが多くなります。そのときに気になるのが、電気代です。エアコンを使いすぎたら電気代が高くなるのはわかりますが、できるだけ暖かく快適に過ごしたいですよね。そのためには、エアコンの温度設定は何度にすればよいのでしょうか。節電しながら快適にエアコンを使う10の方法を解説します。

意外とかかる冬のエアコン電気代

夏は「節電のために冷房の設定温度を高めに!」といわれることは多いですが、暖房に関してはあまりピンとこない人も多いかもしれません。しかし、夏よりも冬のほうがエアコンの電気代がかかることが多いのです。その理由は、冬のほうが気温と設定温度との差が大きいためです。

エアコンが最も電力を使うのは、設定温度になるまでの間です。たとえば、夏は室内温度が38度の場合、設定温度を28度にするとその差の10度分部屋を冷却する必要があります。一方、冬は室内温度が0度の場合、設定温度を20度にするとその差の20度分部屋を暖めなければなりません。夏は約10度、冬は約20度の気温差を埋めるため、冬のほうが電気代が高くなってしまうのです。

冬の室内温度の目安は「20度」に

室内温度は18〜22度、湿度は40〜60%が快適

環境省によると冬の室内温度は20度を目安にすることが推奨されています。

ウォームビズの一環で、エアコンの過度な使用による温室効果ガスを削減して地球温暖化対策をするというもの。

室内温度が20度になるようにエアコンを使えば、家庭での電気代も削減できます。なかには、建物の断熱性が優れていて、何もしなくても室温が20度を超える場合もあります。そのときは、20度に合わせるために無理に温度を下げる必要はありません。

東京都福祉保健局の「健康・快適居住環境の指針」によると、一般的に室内温度は17〜22度、湿度は40〜60%が快適に過ごせる環境だとされています。また、暖房の場合、温度設定を1度低くすると、約10%の消費電力の削減につながります。人によって感じ方が違うため、無理のない範囲でエアコンの温度設定を調整してみましょう。

(参照)
・東京都福祉保健局「健康・快適居住環境の指針」
環境省「家庭でできる節電アクション」

エアコンの電気代を節約する6つの方法

設定温度だけではなく、エアコンの使い方次第で電気代を抑えることができます。使い方を見直したり、サポートアイテムを取り入れて、賢く節電しましょう。

(1)運転モードは「自動運転」で

エアコンの電気代を節約しようとして、いつも「弱運転」をしている人も多いのではないでしょうか。そうすると、設定温度に到達するまでに時間がかかり、余計に電気代が高くなってしまいます。実は、エアコンの運転で最も電気を使うのが、設定温度になるまでの間です。

そのため、いかに早く設定温度まで室温を上げられるかによって電気代が変わってきます。よって、最初は強風運転で一気に設定温度まで上げてしまうのが1番。

その後、微風運転で室温をキープしていきます。この状態になればあまり電気代がかかりません。この強弱を自動で行ってくれるモードが「自動運転」です。たいていのエアコンには自動運転モードがあるので、こちらを活用しましょう。

(2)エアコンの風向きは下向きに

エアコンの風向きは「下向き」に

エアコンの風向きによっても、部屋の温まり具合が変わってきます。少ない電気で部屋を暖かくしたいなら、風向きは下向きにするのが正解です。なぜなら、冷たい空気は下に行き、暖かい空気は上に集まる性質があるためです。風向きを上にしてしまうと、上のほうばかりに暖かい空気が集まり、足元の空気が冷たくなってしまいます。

風向きを下にすれば、足元を暖めることができ、その空気は自然と部屋の上に流れていきます。足元もその上の空間も暖められ、部屋全体に暖かい空気を行き渡らせることができるので、暖房の風向きは下に向けるようにしましょう。夏場は反対に、風向きを上にすると、冷たい空気が下に流れていき、部屋全体が早く涼しくなります。

(3)人感センサー搭載の機種は「自動モード」

最新機種のなかには、AIセンサー(人感センサー)が搭載されているエアコンもあります。その場合は、この機能を活用しましょう。人感センサーがあれば、人の位置を感知し、暖めすぎを防止します。同時に、暖房とサーキュレーターを自動で切り替えることで、部屋全体を暖めてくれます。

暖房が効いた部屋にありがちな、「頭は暖かくてぼーっとするのに手足は冷たい」という状況を回避。部屋の上にある暖かい空気を下におろして、効率よく部屋を暖めてくれます。このように、ムダなく部屋を暖めることができれば、省エネになり電気代の削減になりますよ。

(4)サーキュレーターを使う

暖房で暖められた空気を部屋中に循環させるために、サーキュレーターや扇風機を活用しましょう。扇風機やサーキュレーターは、夏に使うイメージが強いと思いますが、暖房を使う冬にこそおすすめなグッズです。先ほどお話ししましたが、暖かい空気は上空に溜まりやすいので、いかに早く部屋中に暖かい空気を行き渡らせることができるかによって、電気代も変わってきます。空気を循環させることによって、低めの温度設定でも暖かく感じやすくもなります。

サーキュレーターを置くときのポイントは、部屋の隅からエアコンに向けて対角線上に、かつ上に向けて設置することです。暖かい空気に風を向けることで、上にたまった空気が循環します。下部にも暖かい空気が流れてくるので、早く部屋全体を暖めることができ、節電につながります。

(5)窓の断熱をする

外気の冷たさが室内に伝わってしまう原因として大きいのが、窓です。YKK AP株式会社の試算によると、夏は74%窓から熱が入り、冬は52%熱が窓から逃げるとされています。そのため、窓からの冷気をシャットダウンすれば、早く部屋が暖まります。窓の断熱方法としては、複層ガラスや樹脂サッシへの交換や二重窓の後付けなどがありますが、どれも工事が必要になったり費用が高額になったいりしてしまいます。

そこでおすすめなのが、断熱シートや断熱カーテンを取り入れる方法です。窓との間に空気の層を作ることで、それが断熱材の役割を果たし、外気を遮断してくれます。自分で取り付けることもできるので、比較的費用も安く抑えられます。

(6)加湿器をかける

意外かもしれませんが、加湿器をかけると暖かく感じることがあります。なぜなら、人間は温度と湿度のバランスで快適か不快かを感じ分けるからです。適切な湿度は40〜60%だといわれているので、暖房をつけているのに寒いと感じたら、湿度を確認し低いときは加湿器をかけるとよいでしょう。

加湿器がないときは、濡らしたタオルをかけたり、洗濯物を部屋干ししたりするのも、加湿効果があっておすすめです。また、湿度が40%未満だと風邪のウイルスやインフルエンザウイルスの生存率が高くなり、のどや鼻の粘膜も乾燥してウィルスが侵入しやすくなります。湿度を上げることで風邪やインフルエンザの予防にもつながります。ただし、湿度を上げすぎると結露やカビの原因になるので注意が必要です。

それでも「寒い」と思うときは

20度では「寒い」と思う人は…

エアコンを上手に使いながら節電する方法を6つご紹介しましたが、人によってはそれでも寒いと思う人もいるかもしれません。真冬になると、エアコンだけでは寒さがしのげない場合も。そんなときは、これからご紹介する4つの方法をプラスしてみましょう。

(7)重ね着をする

家のなかで自分1人だけが寒い…というときは、重ね着がおすすめです。普段より1枚多く着たり、ひざ掛けやストールの活用も効果的です。最近では、「着る毛布」という毛布素材の上着も登場しています。日中でも、まるで毛布に包まれているような暖かさで過ごせますよ。足元が寒ければ、厚手の靴下やスリッパを履いてみましょう。

冬は寒いので、窓を締め切っている家庭が多いと思いますが、風邪やウィルス対策のためにも換気は必要です。とはいえ、急に冷たい風が部屋に流れ込んでくると体調を崩してしまう人もいるかもしれません。そんなときにも、さっと羽織れるストールや上着があれば重宝します。

(8)断熱カーテンなどで部屋を仕切る

部屋が広いと、部屋全体を暖めるのに時間がかかり、その分電気代も高くなってしまいます。早く部屋を暖めるためにも、カーテンなどで部屋を仕切り、暖房範囲を小さくしましょう。防寒効果のある断熱カーテンなら、冷気の侵入を抑えることができます。スリットが入っているカーテンなら、出入りのときもわざわざ開け閉めをする必要がありません。

この方法は、リビング内に階段がある場合も有効です。階段とリビングをカーテンで仕切れば、暖かい空気が階上に逃げて行ってしまうもの防げますよ。玄関からの隙間風が気になる場合は、玄関用の防寒カーテンを設置してみてもよいでしょう。効率よく目的の部屋を暖めることができるので、省エネにもつながります。

(9)部分暖房を活用する

電気カーペットなどの部分暖房を併用しよう

部屋全体を暖めても寒いと感じるなら、部分暖房(局所暖房)を活用しましょう。部分暖房とは、一部分だけを暖める暖房のことで、こたつや電気カーペット、湯たんぽなどが代表的です。これらを使えば、暖房器具の近くにいる人をダイレクトに暖めることができます。「日中は広い部屋に自分1人しかいないから、エアコンはもったいない」という場合にもぴったりです。

ただし、使いすぎると電気代がかかるので注意。洗面所や脱衣所など、一時的に使用する場所や、長時間の暖房が必要ないときにおすすめです。特に、冬場は風呂場やトイレなどで高齢者のヒートショックによる事故もあります。家族の安全のためにも、部分暖房を適度に取り入れて、寒さ対策をしましょう。

(10)体の温まる料理を食べる

冬は鍋物などの温かい料理が恋しくなりますよね。温かい食べ物を食べれば、体がポカポカしてきます。

人間は食べ物を食べることによって栄養素を取り込み、その栄養素から体の筋肉・皮膚・体脂肪などを合成します。これを「代謝」といいますが、それとセットで熱エネルギーが生み出されます。食事を取ることによって体が温かくなるのです。

ちなみに代謝量(エネルギー量)は栄養素の種類によって異なり、タンパク質が大きいとされています。そのため、タンパク質の多い食べ物を積極的に摂取するようにしましょう。

まとめ

寒い冬でも、室内で快適に過ごすためには、適切な温度設定が大事です。温度が低すぎると部屋が温まらず、部屋を温めすぎると電気代が高くなってしまいます。エアコンの使い方を工夫したり、寒さ対策グッズを取り入れることで、節約しながら暖かく過ごすことができます。上手にエアコンを活用して、家計にやさしいエアコンライフを送りましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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