住宅ローンの借り換えは同じ銀行でできる? FPが詳細を解説

超低金利時代の今、借り入れ中の住宅ローンが、ご自身が借りたときよりも低い金利で貸し出されているという方もいるでしょう。借り入れている銀行の金利が下がっていた場合、その低いほうの金利で借り換えることはできるのでしょうか? 今回は同じ銀行での借り換えが可能かどうかを解説していきます。また、借り換えで賢く返済負担を減らす考え方についてもご説明しましょう。

住宅ローンの借り換えは同じ銀行でできるの?

現在は超低金利時代です。住宅ローンを借りている銀行の金利が低くなったのを見て、損をしているような気持ちになる人も少なくないと思います。同じ銀行で住宅ローンの借り換えができないか、気になるところでしょう。

たとえば、3%で借り入れた住宅ローンの金利が1%に引き下げられたとします。借り入れをしている側からすれば、借り換えができれば大きなメリットになりますし、同じ住宅ローン商品なのですから借り換えできそうに思うかもしれません。

ですが、銀行にとってはどうでしょうか。借り換えを認めてしまうと、3%の利息を支払ってくれていた人から、1%の利息しか受け取れなくなってしまうのです。これは銀行にとってはデメリットです。そのため、同じ銀行で借り換えをすることは、一般的には難しいとされているのです。

ただ、借り入れをしている銀行が複数の住宅ローン商品を扱っている場合はどうでしょうか。このような場合、同じ住宅ローン商品での借り換えはできませんが、同じ銀行が扱っている別の商品への借り換えができることがあります。たとえば、通常の住宅ローンからネット専用の住宅ローンや、【フラット35】へ借り換えるといった場合です。

現在、金利2.5%で残りの返済期間が25年、ローン残高が2,000万円だったとします。これを金利1.5%の【フラット35】に借り換えた場合、月々の返済額や総返済額はどう変わるでしょうか。返済期間は25年のままとします。

※上記試算は、住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションより

この場合、毎月の返済額は9,700円ほど、総返済額では290万円ほど削減することができます。2,000万円のローンを借り換えるには、諸費用が50万〜60万円程度かかると想定されますが、その負担を考慮しても十分な効果があると言えるでしょう。

ここで注意していただきたいのは、すでに借り入れしている銀行での借り換えであっても、他の金融機関で借り換える場合と同様に、審査を受ける必要があるということです。また、事務手数料や保証料といった諸費用も発生します。住宅ローンの借り換えは、同じ銀行で借り換えることにこだわるよりも、金利や諸費用など商品の優位性を重視して選ぶほうがよいでしょう。

金利の引き下げ交渉ができる場合もある

借り換えのほかに金利を下げる方法としては、金利の引き下げ交渉があります。銀行では「優遇金利」というものがあり、これは簡単に言ってしまうと金利の割引のことです。
どれくらい優遇してくれるかは金融機関の判断によりますが、優遇金利を適用してもらえればその分だけ金利が引き下げられるので、返済額を抑えることができます。

ただし、金利の引き下げにも審査が必要です。過去に延滞などがあれば金利を引き下げてもらうのは難しいでしょう。借り換えや金利の引き下げ交渉をする・しないに関わらず、返済は確実に行うことが大切です。

ここで、先ほどと同様に、金利2.5%で残りの返済期間が25年、残債が2,000万円の住宅ローンについて、金利を0.5%引き下げた場合の効果を見てみましょう。

※上記試算は、住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションより

この場合、毎月の返済額は約5,000円、総返済額では148万円ほど削減することができます。

借り換えには諸費用がかかりますし、金利の引き下げ交渉でどれくらい引き下げてもらえるかは、あくまでも金融機関の判断です。ですから、借り換えと金利の引き下げ交渉、どちらが有利かは一概には言えません。借り換えにかかる諸費用なども考慮し、それぞれシミュレーションをしたうえで慎重に判断してください。

借り換えにおすすめの住宅ローンは?

先ほどご説明したように、同じ銀行であってもプロパーの住宅ローン商品から【フラット35】へ借り換えるなど、別の商品への借り換えは可能な場合があります。

現在のような超低金利時代で、しかも経済の先行きが見通せない状況下であれば、住宅ローンを借り換える場合は【フラット35】に代表される「全期間固定金利型」のものをおすすめしたいというのが私の考えです。

全期間固定金利型であれば、将来、長期金利などの引き上げがあった場合でも、借り入れ中の金利が変動することはありません。返済額が一定なので、家計管理がしやすいですし、返済計画、資金計画が立てやすいというメリットがあります。
何よりも、完済するまで現在の超低金利の恩恵を受け続けることができるのは大きなメリットと言えるでしょう。

現在、変動金利の住宅ローン商品を借りている方で借り換えを視野に入れている方は、【フラット35】への借り換えを検討してみてはいかがでしょうか。

【フラット35】から【フラット35】への借り換えも可能

同じ銀行で、同一の住宅ローン商品への借り換えができないことはすでにご説明しました。とはいえ、同じ住宅ローン商品なのに、ご自身が借りたときよりも低い金利で貸し出されているのを見たら複雑な思いになる方もいらっしゃることでしょう。

ここでご紹介したいのが、モーゲージバンクです。モーゲージバンクとは、住宅ローンを専門に取り扱う会社で。金融関連会社や住宅関連会社等が出身母体となって設立され、2021年1月現在では、日本国内に二十数社があります。

参考:アルヒの【フラット35】詳しい内容はこちら

【フラット35】は多くの金融機関で取り扱われていますが、モーゲージバンクが全体の約8割の件数を取り扱っていると言われています。モーゲージバンクは借り換えにも積極的に取り組んでおり、【フラット35】から【フラット35】への借り換えにも対応しているところもあります。

5年前、10年前と比べると、住宅ローンの金利は大きく下がっています。現在、【フラット35】を借り入れ中の方でも、借り入れた時期によっては現在の金利との差が大きくなっているケースもあると思われます。そのような場合は、モーゲージバンクを利用して、【フラット35】の借り換えを検討してみてはいかがでしょうか。大きなメリットを得られるかもしれません。

まとめ

超低金利時代、しかも経済の先行きが見通せない今、完済まで低金利の恩恵を受けるために住宅ローンの借り換えを考えてみてはいかがでしょうか。同じ銀行で、同一商品を借り換えることはできませんが、他の金融機関での借り換え、【フラット35】への借り換えであれば、返済負担を賢く減らすことも可能です。

借り換えには諸費用がかかりますし、審査を受けるなどの手間もかかります。返済負担をどれくらい減らせるか、しっかりシミュレーションしたうえで、金融機関やファイナンシャルプランナーなどとも相談しながら慎重に検討することをおすすめします。

(最終更新日:2022.04.27)
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