2021年から変わる|住宅や教育などの「暮らしに関わるお金のこと」

2021年度の税制改正大綱が12月に公表されました。コロナ禍の家計への影響を配慮して、全体的に住宅ローン控除の延長など減税措置の延長に関する改正が多かったようです。特に住宅や教育に影響する2021年に変わる点をいくつか紹介します。

住宅ローン減税の控除期間が13年に延長

(1)住宅ローン減税の控除期間13年の特例措置:2022年12月末まで延長

 ※注文住宅は2021年9月末、分譲住宅等は2021年11月までに契約
 ※40平方メートル以上50平方メートル未満の物件については、2022年末までに入居

(2)合計所得金額1,000万円以下の場合には、対象物件の床面積要件を50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和

控除期間の特例措置が延長に

一番の目玉は、住宅ローン減税の控除期間13年の特例措置に関わる改正点です。そもそもこの特例措置は、消費税10%が適用される住宅を取得・建設・リフォーム等した場合に、控除期間が従来の10年間に加えて、3年間延長される制度です。

この制度を受けられる期限が、従来は2020年12月末までの入居でしたが、今回の改正で2022年の12月末までの入居と2年延長されました。ただし、注文住宅の場合は2021年9月末、分譲住宅等その他の場合は2021年11月末までに契約する必要があります。

控除限度額は変わらず

なお、住宅ローンの返済11~13年目の各年の控除限度額に関して、以下のいずれかの小さい額となっている点は変わりません。
 (1) 住宅借入金等の年末残高(4,000万円を上限※)×1%
 (2) 建物購入価格(4,000万円を限度※)×2%÷3年
 ※長期優良住宅や低炭素住宅の場合には年末残高の上限5,000万円、建物購入価格の上限5,000万円

床面積の要件が緩和

注目すべきは、この特例を受けるための要件が変更された点です。

適用される物件の床面積要件が現状の50平方メートル以上から40平方メートル以上に引き下げられ、対象物件が拡大されました。近年は、単身で住宅を購入する人も増えているなか、ワンルームや1LDKマンションなど、50平方メートルに満たない物件を購入しようと検討している人には朗報ですね。

ただし、新たに対象となる40平方メートル以上50平方メートル未満の物件については、所得制限を現状の合計所得金額3,000万円以下から1,000万円以下に引き下げ、要件が厳しくなっている点には注意が必要です。

今後は控除額の改正の可能性もある?

なお、今回は改正の対象とはなりませんでしたが、控除額そのものを見直す案が出ています。これは、低金利が続き、1%未満の金利で住宅ローンが組めるなか、住宅ローン控除を活用することで支払利息よりも多い控除額を受けられてしまう、つまり住宅ローン控除を活用することで儲かってしまう現状があるためです。

2022年度の税制改正では、年末時点のローン残高の1%か、その年に支払った利息の総額の少ないほうとする等、改正が入る可能性があるので、今後、住宅購入を検討している人は要チェックです。

住宅資金贈与を受けた場合の非課税枠が引き上げに

父母や祖父母等の直系尊属から住宅を取得する際の資金援助を受けた場合、一定の金額まで贈与税がかからない、という特例措置がありますが、その非課税枠が引き上げられます。本来は、2021年4月~2021年12月末に契約をした場合には、最大1,200万円の非課税枠がありましたが、これが現行と同額の1,500万円まで引き上げられることになりました。

住宅取得の際に多くの資金援助を受けようという場合には、非課税枠が据え置きになったため、少し時間的な猶予ができたといえます。

※上記の非課税枠は、耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅を取得する際のもので、一般の住宅の場合には、それぞれ500万円減額した金額が非課税枠

固定資産税は、地価が上がっていても据え置きに

固定資産税の負担を軽減するために2021年度に限って特例措置が取られます。土地の固定資産税は、3年ごとに評価額が見直されますが、2021年度はちょうどその評価替えの年となっています。

通常、地価が上昇していると、評価替えによって固定資産税も増加してしまいますが、コロナ禍による家計への負担を少しでもやわらげることを目的として、もし2020年1月の地価公示で計算された固定資産税額が、2020年度を上回る場合には、2021年度の税額は据え置かれることとなりました。もちろん、地価が下落して課税額が減る場合はそのまま課税額は引き下げられます。

近年、地価が上昇していた都市部を中心に、固定資産税が据え置かれるのはありがたい措置ですね。ちなみに、商業地や住宅地、農地など、すべての土地が対象となります。

ベビーシッターや認可外保育所利用の助成金が非課税に!

子育て世帯にうれしい支援も追加されるようです。

従来、ベビーシッターや認可外保育所を利用した際に自治体から料金の補助を受けた場合、20万円を超えている場合には雑所得として課税されるため、結果として所得税・住民税が増えてしまうケースがありました。

今回の改正では、こういった助成金を課税の対象から外すことになりました。この改正には、新型コロナウイルスの感染症拡大で認可保育所が子どもの受け入れ人数を減らしたり、在宅勤務の増加で、ベビーシッターや認可外保育所を利用せざるを得ない世帯が増えたことが背景にあるようです。 

自動車に関する減税措置は延長

そのほかにも車に関する税金の軽減措置が延長されます。

まず、燃費の良い車を対象に自動車重量税を減免する「エコカー減税」が2年間延長されます(従来の適用期限は2021年4月末)。また、自動車購入時に、燃費性能に応じて課税される「環境性能割」は、税率を1%引き下げる軽減措置も2021年3月末の適用期限から12月末まで延長されます。車にかかる費用についても日々の暮らしに直結するので、軽減が延長されるのはお財布にとってうれしいことですね。

特にお金に関する改正事項は知らないとうまく活用できませんし、特例措置も年末(12月末)が期限のもの、年度末(3月末)が期限のものがあります。例年、12月末から1月にかけてはさまざまな改正事項が公表されるので、最大限に活用できるように毎年、チェックをしておくことをおすすめします。

(最終更新日:2021.02.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア