長期固定金利の住宅ローン【フラット35】にはさまざまな金利引き下げ制度がありますが、そのなかで0.5%と金利引き下げ幅が一段と大きいのが、【フラット35】リノベです。しかし、利用条件が厳しく、利用者がなかなか増えないため、2021年1月から制度を改定、格段に利用しやすくなります。来年、中古住宅の取得を考えている人は、さっそく準備を始めてはどうでしょうか。

【フラット35】リノベとは?

住宅金融支援機構の【フラット35】リノベというのは、利用者が中古住宅を購入して、一定の性能向上リフォームを行う場合、または住宅事業者により性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する場合に利用できます。中古住宅・リフォーム市場の活性化および住宅ストックの質の向上を図るため、国の予算を使って金利引き下げが行われています。

金利引き下げ幅は0.50%です。その他の金利引き下げ制度の多くは0.25%の引き下げ幅ですから、いかにこの制度に国が力を入れているかがわかります。

たとえば、2020月12月の【フラット35】の借入期間35年、融資割合9割以下の最低金利は年1.31%ですから、借入額3,000万円なら毎月返済額は8万9,088円です。これが0.50%引き下げられて年利0.81%になれば8万2,055円に減少します。月額にして7,033円、年間では8万4,396円の軽減ですから、たいへん大きなメリットです。

【フラット35】リノベには2つのプランがある

この【フラット35】リノベには、金利引き下げ期間が当初10年間の金利Aプランと、当初5年間のBプランがあります。

金利引き下げ期間が10年の金利Aプランの住宅の適用条件は図表1にあるとおりです。長期優良住宅、低炭素住宅などの認定を受けられるような基本性能の高い住宅が対象です。最近の新築住宅であれば、こうした条件をクリアできる物件が増えていますが、【フラット35】リノベの対象となる中古住宅においては、かなりハードルが高いかもしれません。

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】リノベ(住宅の条件)」


しかし、残念ながらこの【フラット35】リノベ金利Aプランの条件は、原則的に現在のまま据え置かれます。2021年1月から改定されるのは、金利引き下げ期間が5年間の【フラット35】リノベ金利Bプランになります。

それでも、金利引き下げ幅は0.50%とたいへん魅力的な制度ですから、ぜひとも注目しておきたいところです。

【フラット35】リノベ金利Bプランの適合基準は?

その【フラット35】リノベ金利Bプランの住宅の適合基準は、図表2にあるとおりです。金利Aプランほどではないとはいえ、断熱等性能等級4、耐震等級2以上など、住宅性能表示制度における高い等級をクリアする必要があり、中古住宅においてこの条件を満たすのは決して簡単ではありません。そのため、せっかく0.50%も金利が引き下げられる魅力ある制度であるにもかかわらず、これまではあまり利用されてこなかったようです。

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】リノベ(住宅の条件)」

そのため、図表3にあるように思い切ってハードルを引き下げて、利用しやすくしました。住宅性能表示制度の等級を取得する必要はなく、たとえば、省エネルギー性に関しては断熱材の追加工事、バリアフリー性では手すりの設置工事を行うなど、一定の条件を満たせば利用できるようになるのです。

そのほか、リフォーム工事費が200万円以上であること、インスペクションの実施などの付加的な条件がつくものの、格段に緩和されることは間違いありません。

出典:住宅金融支援機構「ずっと固定金利の安心【フラット35】リノベ」

【フラット35】Sを利用できる物件ならほぼOK

住宅金融支援機構の関係者によると、「【フラット35】Sを利用できる程度の水準であれば、この条件をクリアできることになります」としています。

【フラット35】Sというのは、当初の金利が0.25%引き下げられる制度ですが、2020年11月に【フラット35】の申請を行った9,022戸のうち、【フラット35】Sが8,378戸と92.9%を占めています。

ですから、【フラット35】リノベ金利Bプランも決してハードルが高いわけではなく、【フラット35】を利用できるような住宅であれば、まず問題なく適用を受けることができるのではないでしょうか。

年間30万円以上の負担軽減効果が出るケースも

では、この【フラット35】リノベ金利Bプランを利用できるようになるメリットはどれくらいあるのでしょうか。

これまで、中古住宅を買ってリフォームするときには、住宅ローンとは別にリフォームローンを組む必要がありました。最近は、住宅ローンと一体型のローンが増えているとはいえ、そうでない場合には、けっこう負担が重かったのです。

というのも、リフォームローンは住宅ローンと違って無担保ローンになるので、金利が高く、利用できる返済期間も短く、使い勝手が悪かったのです。結果、せっかく中古住宅の安さを評価して買ったのに、リフォームローンの負担が重くて、価格の高い新築住宅を買うのと、さほど変わらないような負担になることが少なくありませんでした。

図表4にあるように、住宅ローンを2,500万円、リフォームローンを500万円利用する場合、合計の毎月返済額は10万円を超えてしまいます。

それが、全額【フラット35】リノベ金利Bプランを利用できるようになれば、当初5年間の返済額は8万2,055円に減少します。月額にして2万6,414円、年間では30万円以上の軽減ですから、格段に負担は軽くなります。

執筆者の試算により作成

適合基準の緩和は2021年1月申請分から

この【フラット35】リノベ金利Bプランの適合基準の緩和は2021年1月申請分からです。中古住宅を取得してリフォームするためには、物件選びのほか、リフォームの設計、業者選びなど時間がかかります。
関心のある人は早めに準備を進め、制度改定後早々に申請できるようにしておくのがいいのではないでしょうか。

参考:【フラット35】2021年1月の主な制度変更事項のお知らせ

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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