【年末の大掃除に】専門家が解説する「家事代行」や「ハウスクリーニング」の依頼ポイント

12月は大掃除の季節。1年分の汚れを落としてスッキリしたいところです。でも、クリスマスや新年の準備などで何かと慌ただしい時期でもあり、大掃除はプロに任せてみてはどうでしょう。また、大掃除だけでなく、日常の家事も家事代行サービスというプロに任せれば、余裕を持って新しい年を迎えることができます。ハウスクリーニング会社や家事代行サービス会社に依頼する際のポイントについてまとめました。

家事代行/ハウスクリーニングはどのようなサービス?

年末の大掃除は、日頃の掃除では手が回らない所をきれいにすることが多いのですが、具体的にはエアコンやレンジフード(換気扇)、ガラス窓や網戸などが中心になります。

大掃除の依頼先としては、家事代行サービス、ハウスクリーニングの二つに大きく分かれます。

家事代行サービス

日常の家事の助けてほしいことをサポートすることが仕事で、当然、掃除も含まれますが、食器洗い・片付け、料理の作り置き、食料品や日用品の買い物、アイロンがけ、靴磨き、植物の水やり、クリーニングの受け渡し…など多岐にわたります。

ハウスクリーニング

掃除だけに特化したサービスであり、一般の人では難しい場所を、プロ専用の洗剤や道具を使ってプロの技術で徹底的に掃除します。

料金的にはハウスクリーニングのほうが家事代行よりも高くなります。レンジフードや水まわりに集中して、徹底的にきれいにしたい人にはハウスクリーニング、リビングや廊下などを含む広い範囲を掃除してほしいという人は家事代行がいいでしょう。目的別で賢く選ぶことが大切です。

「ハウスクリーニング」は年末前に早く頼むことが大切

ハウスクリーニング会社は全国展開しているところと、決まった地域でのみ営業しているところがあります。料金だけで決めずに、住まいが対応エリアかどうか確認しましょう。それから、清掃してほしい場所がサービスに含まれているかどうかです。エアコンやキッチン、水まわりなどはどの会社でも対応していますが、ソファや壁紙などは対応していない会社も少なくありません。

参考までに大手ハウスクリーニング会社の料金比較を表にまとめました。

大手ハウスクリーニング料金比較

出典:各社サイトより著者作成、税込と表記されているもの以外はすべて税抜価格(2020年11月時点の情報)

エアコンのクリーニングは複数台まとめると安くなり、割引率は会社によって違います。

換気扇・レンジフードのクリーニングは、細かいパーツを全部分解して洗います。頑固な油汚れがこびり付いている場所であり、一般の人には難易度が高い場所です。

知的家事プロデューサーの本間朝子さんは次のようにアドバイスします。

「ハウスクリーニングは、年末混み合うので、できるだけ早く頼むことが大切です。企業によっては、換気扇や水まわりをはじめ、魚焼きグリルや冷蔵庫のクリーニングまで依頼できるところもあります。換気扇の掃除方法はネットにも出ているので、やろうと思えば自分でできるのですが、おすすめしません。ケガをしたり、部品をなくすことがあるからです。リフォームを考えている人は、そのタイミングで、掃除が不要な換気扇に取り換えるのもいいでしょう」(本間さん)

さまざまな家事を頼める「家事代行サービス」

新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛で、在宅時間が増え、家事負担が増えたという声があります。大掃除だけでなく、日常の細々とした家事まで頼めるのが家事代行サービス。

野村総合研究所が行ったアンケート調査(2018年「家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究」)によると、サービスの認知率は8割強ですが、現在の利用者はわずか1.8%で、過去の利用経験者も4.7%にとどまりました。

しかし、利用者の8割がサービスに満足しており、サービスに対する満足度は極めて高いことがうかがえます。また、家事の負担軽減についても、72.9%が家事負担軽減効果を実感しており、うち20.0%が「かなり負担が軽減された」と効果を強く実感しています。

本間さんは、家事代行サービス会社が増えているといいます。

「各社によって、それぞれ個性があります。昔は、電話で依頼すると、実際に作業をするスタッフにコーディネーターが同行してきて、部屋のなかを見て打ち合わせをしたのですが、今はオンライン上で打ち合わせが済んでしまう会社さんも多くなりました。老舗の企業はスタッフへの研修がしっかりしていて、料金は2時間8,000円程と高めですが、仕事のクオリティーは高いのが特徴です。一方で比較的新しい企業は、オンラインで申し込みできたり、価格が2時間5,000円くらいと手頃です。」(本間さん)

「最近は、1企業に依頼するというよりも、その企業に登録している個人に依頼するというスタイルも人気です。登録スタッフは得意な仕事を申請しているので、企業はマッチングのみを行います。このスタイルは料金を抑えられるのがメリットです。ただ、料金は依頼するスタッフによって異なり、バラツキがあります。人気のあるスタッフは料金が高めで、予約がやや取りづらくなります」(本間さん)

大手家事代行サービスの料金一例

出典:各社サイトより著者作成、すべて税抜価格(2020年11月時点の情報)

 

初めての利用者にはお試しサービスあり

これから初めて家事代行サービスを利用しようと考えている人は、どんなことに気をつけたらよいでしょうか。家事代行は時間制であるため、本間さんは、やってほしい仕事に優先順位を付けるのが大切と言います。

「たとえば、掃除をお願いする場合は、どこを掃除してほしいのか、『リビング・浴室・キッチンを優先的に、時間が余ったら玄関も』のように紙に書き出しておきましょう。私がよくお願いしている企業は、掃除と料理を一緒に依頼できないというシステムですが、企業によっては時間内であれば異なる複数の仕事をやってくるところもあります。」(本間さん)

「コロナ禍以降、家事負担が大きくなって、掃除や料理の作り置きサービスが人気ですが、ベテランの上手なスタッフは同じ時間でも広範囲を掃除できたり、品数を多く作ることができます。よって、何をお願いしたいかで、依頼する企業も変わってきます。時間は2時間からというところが多く、2時間で5,000~8,000円というところが多いですね。初回はお試しサービスがあるので、まずはそれを利用しましょう」(本間さん)

家事代行は2025年に8,000億円市場に成長との予測

本間さんによれば、家事代行の利用者は単身赴任者と共働き世帯が多く、そうした家庭はすでにロボット掃除機や洗濯乾燥機などの便利家電を使っている場合が多いそうです。それらを導入しても、水まわりの掃除や料理の作り置きは必要なので、家事代行に依頼するのでしょう。

洗濯機も乾燥まで全自動というタイプが多くなっていますが、たたむ作業は人手じゃないとできません。お風呂でいえば、シャンプーボトルの底などは普段の掃除では見落としがちなところです。家事代行ではそういうところも丁寧にやってくれます。

家のなかが散らかってくると、「掃除しなきゃ」と思うのは自然ですが、そう考えるだけでストレスがかかるものです。でも、「今度の木曜日に家事代行が来るから」と思えばストレスから解放されます。
矢野経済研究所によれば、2016年の家事代行サービスの市場規模は879億円ですが、前述の野村総合研究所の調査では、2025年には最大8,130億円に成長すると予測されています。参考までに、8,000億円規模は「語学ビジネス」や「コールセンター」業界と同じくらいですので、とても大きな成長性のある業界なのがわかります。

家事代行サービスの利用者が増えると予測される要因としては、共働き世帯の増加、女性の社会進出、単身世帯の増加、高齢世帯の増加などがあります。

ひと昔前までは、家事代行や家政婦といえば一部のお金持ちの人々が利用するサービスだと思われていました。また、「家事や身の回りのことは他人に任せるのではなく、自分がやるべき」という考え方も一般的でした。しかし、都市部ではすでに、そうした旧来の考え方はなくなっています。今後、高齢者の考え方が変化して利用するようになれば、業界は予測以上に伸びるかもしれません。

〈取材協力〉
知的家事プロデューサー・本間朝子
※本間さんは、全国からオンライン上に集まって家事の情報交換をしたり、仲間と一緒に家事をしたりするコミュニティ「家事トモ☆サロン」を運営しています。家事代行についても有益な情報が得られます。

 

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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