省エネやエコに対する関心の高まりから、オール電化住宅に興味をもつ人が増えています。最近では菅義偉首相が2050年までに国内の温室効果ガスを実質ゼロにすることを宣言し、話題になりました。特に、太陽光発電と組み合わせたオール電化住宅なら、省エネやエコだけでなく、電気料金の節約にもつながる可能性が高いです。この記事では、オール電化の概要とともに、メリットとデメリットについて詳しく解説します。

そもそも「オール電化」とは?

オール電化とは、建物で使用するエネルギーをすべて電気で賄うことです。たとえば、家庭では調理、照明、給湯、空調など、さまざまな設備にエネルギーが使用されています。一般的な住宅では、電気だけでなくガスも併用してエネルギーを確保している場合が多いです。それに対してオール電化住宅では、ガスで賄っている部分も電気のエネルギーで対応できるようになっています。

たとえば、洗面所や風呂などで使用するお湯についても、ガスではなく電気で沸かすことが可能です。オール電化住宅では、「エコキュート」と呼ばれる電気給湯機が導入されています。エコキュートは、電気とともに、屋外から取り込んだ外気の熱を利用してお湯を沸かす仕組みです。そのため、電気代の節約につなげられます。

オール電化住宅では、暖房も電気を活用したエアコンや蓄熱暖房機を採用しています。さらに、キッチンにはガスコンロではなくIHクッキングヒーターを採用しているため、電気のエネルギーを使って食材に火を通したり、料理に使用するお湯を沸かしたりすることが可能です。

オール電化の四つのメリット

オール電化には大きく分けて四つのメリットがあります。ここでは、それぞれについて解説します。

夜間割引プランでお湯や暖房を安く使える

 

光熱費の節約になるのが一番うれしい

普段の生活においてそれぞれに必要なエネルギーの内訳は、給湯が3割程度、暖房が2割程度だといわれています。給湯と暖房を合わせた5割ほどのエネルギーを、オール電化ではエコキュートとエアコン、または蓄熱暖房機で通常賄います。エコキュートや蓄熱暖房機では、電気料金が安い夜間の電気を使用することが可能です。自宅の設備をオール電化にして電気料金を夜間割引プランで契約することで、光熱費をトータルで節約することができるのです。

基本料金を一本化できる

オール電化なら、光熱費にかかる基本料金を一本化することが可能です。電気料金もガス料金も、使用した分に対して加算される従量料金だけなく、基本料金が設定されているのが一般的です。普通の住宅では電気とガスの両方を使用しているため、それぞれに基本料金がかかってしまいます。しかし、オール電化住宅ではガスを使用しないので、ガスの基本料金は発生しません。


基本料金を一本化できると、その分、光熱費としてかかるコストを削減できます。1ヶ月分の基本料金だけであれば、それほど大きな差には見えないかもしれません。しかし、光熱費は毎月かかるため、長い目で見ると大きな差になっていきます。電気料金さえ確認すれば、その月にどれくらい光熱費がかかったかすぐに把握できるところも便利です。

火を使わないので安全

オール電化住宅のキッチンに設置するIHクッキングヒーターは、火を使わず電気で食材を加熱するため、火災が発生するリスクを低く抑えられます。電磁誘導の仕組みを活用して鍋やフライパンそのものを温めるので、キッチンで加熱調理をする周囲が熱くならないところもうれしいポイントです。最近では、IHクッキングヒーターに対応している鍋やフライパンも増えています。

また、一酸化炭素中毒やガス漏れなどのリスクもありません。ガスを使用すると室内の二酸化炭素が増加しますが、IHクッキングヒーターならそのような心配をしなくて済みます。IHクッキングヒーターの表面は平らなので、食材や調味料をこぼしてしまっても掃除が簡単です。

断水時にタンク内の水を利用できる

オール電化住宅に設置されているエコキュートなどの電気給湯機は水をためて利用するため、災害時にも生活用水として利用できます。飲料水としては使えませんが、トイレや洗濯などであれば問題なく使用できます。停電してもスピーディーに復旧作業が進められるケースが多いのも、オール電化住宅のメリットの一つです。

オール電化の五つのデメリット

メリットの多いオール電化にも、デメリットは存在します。ここでは、オール電化のデメリットを五つ紹介します。

昼間の電気代が高くなる

昼間に電気を多く使用する場合、電気料金が高くなる可能性があります。オール電化住宅向けの電気料金プランは、夜間の電気料金を安く設定しているケースが多いです。そのため、オール電化を希望するなら、夜間に集中的に電気を使えるように工夫する必要があります。しかし、ライフスタイルによっては、夜間よりも昼間に多く電気を使用せざるを得ない家庭もあるでしょう。特に、昼間に家で過ごすことが多ければ、どうしても昼間に電気をたくさん使うことになります。エコキュートや蓄熱暖房機は夜間に電気を使用する設定も可能ですが、IHクッキングヒーターやエアコンなどはその都度電気を使用するため注意が必要です。

設置コストが高い

オール電化にするために必要な設備を設置するには高いコストがかかります。エコキュートや蓄熱暖房機を設置するには、本体を購入するための費用だけでなく、工事費もかかります。工事は基礎工事だけでなく、水道や電気と接続するための工事も必要です。エコキュートや蓄熱暖房機は重さがあるため、場合によっては床などの補強工事も必要になります。大掛かりな工事になるので、予算に余裕がないと設置するのは難しいです。

ただし、オール電化のための設備を導入すると、補助金を受けられる場合もあります。自治体ごとに条件や対象となる期間が異なるため、あらかじめ調べて確認しておきましょう。

エコキュートの設置場所が必要

エコキュートの設置例

エコキュートを設置するには、ある程度広い場所を確保する必要があります。ガス給湯器と比較すると、エコキュートはサイズがかなり大きめです。そのため、屋外に設備を設置できる場所がなければ、オール電化にできない可能性があります。仮に場所を確保できても庭や駐車場が狭くなる場合もあるため、動線に問題がないかよく検討したうえで設置場所を決めましょう。

IHクッキングヒーターは好みが分かれる場合もある

人によっては、オール電化で定番のIHクッキングヒーターに対する評価が分かれる可能性があります。IHクッキングヒーターは直火を使用できないため、本格的に料理を楽しみたい人は物足りなさを感じる場合があるようです。

また、IHクッキングヒーターは、ガスコンロに比べて使用できる調理器具の種類が少ないです。IHクッキングヒーターに対応している調理器具は増えていますが、すべてが対応しているわけではありません。たとえば、軽くて熱伝導率も高いアルミ鍋や、日本食に欠かせない土鍋などは、性質上IHクッキングヒーターでは使用できません。

こだわりの鍋を多く持っている人は、IHクッキングヒーターでは使用できない可能性もあります。IHクッキングヒーターに対応している鍋やフライパンを一式そろえなければならないので、手間やコストもかかります。

停電時使えない機器が増える

停電が発生すると、オール電化住宅ではすべての設備を使用できなくなります。一般の住宅であれば、停電が発生してもガスが止まっていなければガスコンロでお湯を沸かせます。

ただし、ガス機器のなかには停電時に使えなくなるものも多いため、一概に「オール電化は災害時に不利」とは言い切れません。地震の発生時にライフラインが止まった場合、復旧にかかる時間はガスや水道よりも電気のほうが早いといわれています。停電している時間はそれほど長くないと予想できるため、慌てずに対処できるよう準備しておくことも大切です。

便利で機能的なオール電化にも、このように気をつけるべき点は存在します。あらかじめデメリットを理解しておけば賢く使うことも可能なので、それぞれの対策を踏まえたうえでオール電化を検討してください。

オール電化のメリットを生かすポイント

オール電化のさまざまなメリットを生かすためには、いろいろと気をつけたいポイントがあります。ここでは、オール電化のメリットを生かすポイントについて解説します。

新電力も含めた電気料金プランの見直し

まず、オール電化にするなら、夜間割引プランの利用が前提となります。電気料金のプランを意識せずにオール電化にした場合、節約の効果は得られません。電力自由化により電気を提供している企業はたくさんあるため、契約する際はそれぞれのプランをよく確認することが大切です。従来、電気を提供してきた大手電力会社だけでなく、新しく参入した新電力もオール電化向けのプランを設けています。地域や家族構成によっても、最適な企業やプランは異なります。複数の企業やプランの料金体系をしっかり比較したうえで、自分たちに最も適しているものを選びましょう。

エコキュートや蓄熱暖房機の設定に注意する

また、電気料金を安く抑えるには、特に電気料金が安くなる時間帯を考慮し、いつどのように電気を使用するか計画を立てておかなければなりません。たとえば、エコキュートや蓄熱暖房機の設定は、あらかじめ適切な状態にしておきましょう。エコキュートや蓄熱暖房機にかかる電気代を安く抑えるためには、夜間の電気料金が安い時間帯をうまく活用することが大切です。それぞれ時間を設定できるため、契約している夜間割引プランの時間帯に合わせておく必要があります。設定にミスがあれば想定どおりに節約できない可能性があるので注意が必要です。

たとえば、エコキュートの場合、夜間にお湯を用意しますが、足りなくなると昼間に追い焚きしなければなりません。昼間に追い焚きすると余計な電気代が多くかかるため、不経済です。電気料金が高くなる時間帯を避けて稼働するピークカット設定も可能なので、うまく活用しましょう。なお、夏よりも冬のほうがお湯を使う機会が増えるため、季節に合わせてモードを切り替えるのも有効です。蓄熱暖房機についても、最適な蓄熱量を設定しておく必要があります。

太陽光発電とのセットでパワーアップ

オール電化と太陽光発電は最強コンビ

オール電化住宅の屋根に太陽光発電のパネルを設置すれば、オール電化のメリットを最大限に引き出せます。

そのメリットの一つ目は、電気代の節約になるということです。住宅用太陽光発電では、作られた電気はまず自家消費されます。太陽光で作られた電気を使うことができるので、その分の電気代が節約できます。特にオール電化住宅の場合、光熱費をすべて電気で賄っているのでメリットが大きくなります。

メリットの二つ目は、余った電気を売電することによる経済的効果です。設備容量10kW未満の住宅用太陽光発電は、余剰電力を10年間一律の価格で電力会社に買い取ってもらえる「固定価格買取制度」があります。買取価格は毎年改定されているのですが、2020年度は1kW/h当たり21円(税込)となっています。

たとえば太陽光発電設備をローンで購入し、売電収入と節約できた電気代で月々のローンを支払うことで大きな負担なく太陽光発電を導入することも可能になります。

10年の固定買取期間が経過した後は買取価格は1kW/h当たり7.0~9.0円になりますが、自宅使用分を増やすことによってお得に電気を使うことができます。夜間割引のプランから普通の電気料金プランに変更し、昼間の太陽光発電でエコキュートを使用するという方法です。売電収入は減りますが、使用する電気代はさらに節約できます。

メリットの三つ目は、太陽光で発電された電気は二酸化炭素を発生させないので、エコな暮らしを実現できることです。ふだんからエコな暮らしを目指されている方も多いと思いますが、太陽光発電を導入すれば苦もなく便利にそれが達成できます。

せっかくオール電化を取り入れるなら、メリットを生かすためのポイントを押さえてお得に活用できるようにしましょう。

まとめ

オール電化にはさまざまなメリットがあり、電気代の節約にも大きく貢献します。火を使わない分、安全性が高いところもうれしいポイントです。ただし、オール電化の設備を導入するにはまとまった費用がかかるため、導入する際は予算を考慮しながら検討する必要があります。基本的に、夜間割引プランの利用が必須となるため、どのようにそれぞれの設備を使用するか計画を立てておくことも大切です。メリットを生かすためのポイントを押さえ、オール電化をお得に活用しましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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