暖房しても寒いのはナゼ? 「カーテン・窓まわり」の工夫で熱を逃がさないコツ

外の空気が冷たくなってくると、同じように部屋の空気もひんやりしてきますよね。なかには、暖房をつけてもあまり暖かくならないというときも。そのつらい寒さの原因は、窓かもしれません。そこで、カーテンを取り入れた寒さ対策をご紹介します。カーテンを変えるだけで、冬も快適に過ごせるかもしれませんよ。

熱の出入りが一番多いのは「窓」

深夜に目が覚めてトイレに立つと、あまりの寒さにびっくりすることがありますよね。少し前まで暖房をつけていたはずなのに、その暖かさはどこにいってしまったのでしょうか。それは、熱が窓から外に出ていってしまうのが大きな原因です。夏でも冬でも熱の出入りが一番多いのは、窓です。

熱は窓から逃げる

窓から熱が逃げないように工夫することが、部屋の寒さ対策の重要なポイント

YKK AP株式会社の試算によると、冬に窓から逃げていく熱の割合が52%となっています。屋根から逃げる熱の割合は5%、外壁からは19%となっていることと比較すると、かなり大きな割合を占めているのがわかります。また、熱の出入りが大きそうな換気でも15%となっていて、窓から流出する熱の多さが際立ちます。そのため、窓から熱が逃げないように工夫することが、部屋の寒さ対策の重要なポイントになるのです。

カーテンで手軽な窓の断熱対策

窓の断熱対策として真っ先に挙げられるのが、複層ガラスや樹脂サッシへの交換、二重窓などにするなどです。しかし、どの方法も費用が高額です。工事をする必要があるので、工期についても考えなければなりません。その点、カーテンの交換は比較的費用を安く抑えることができ、自分で設置できるので好きなタイミングで行うことができます。カーテンで断熱対策をする簡単な方法は、断熱カーテンに取り換えることです。断熱カーテンにすることで窓から熱が逃げるのを防ぐことができます。

断熱カーテンと遮熱カーテンの違い

カーテンを選ぶときに見かける「断熱カーテン」と「遮熱カーテン」。この二つの違いがよくわからないという人も多いのではないでしょうか。どちらも熱を遮断するという字面のため、混同されがちです。しかし、効果はまったく違うものなので選ぶときは注意しましょう。

「断熱」カーテンの機能

断熱カーテンとは、室内と室外の熱の移動を抑えるものです。熱は暖かいほうから冷たいほうへと移動します。この熱の移動を抑制するため、断熱カーテンには暖かい空気を外へ逃さない役割があります。よって、冬の寒さ対策には断熱カーテンを使用しましょう。

「遮熱」カーテンの機能

一方、遮熱カーテンはというと、日光を反射して外からの熱をブロックする働きがあります。そのため、遮熱カーテンは強い日差しで室内の気温が上がりやすい夏に使用するのが正解です。誤ったカーテンを使用すると十分な効果が得られない可能性があります。冬は断熱カーテン、夏は遮熱カーテンをそれぞれ選ぶようにしましょう。

ブラインドとロールスクリーン

ロールスクリーンよりカーテンのほうが断熱性能は高い

カーテンと似たものに、ブラインドやロールスクリーンがありますよね。ブラインドはもともと風を通すことを目的としているため、断熱効果はあまり期待できません。しかし、ロールスクリーンやカーテンと組み合わせることで、空気の層を作り、断熱効果を引き出すことができます。

昼間はロールスクリーンをしまい、ブラインドで風を通して、夜はロールスクリーンを出して熱を逃さないようにするという使い方も可能です。最近では断熱タイプのロールスクリーンも販売されています。ただ、カーテンの折り返しに空気の層ができるため、基本的にはロールスクリーンよりもカーテンのほうが断熱性が高いとされています。

カーテンのサイズは少し大きめに

寒さ対策にはカーテンの種類だけではなく、断熱性をより高めるサイズ選びも重要です。ポイントは、窓よりも少し大きめのサイズを選ぶこと。窓よりも小さいサイズのカーテンを取り付けてしまうとカーテンと窓枠との間に隙間ができてしまいます。その隙間から熱が逃げてしまうので、窓をしっかりと覆う大きさのカーテンを選ぶのがおすすめです。

小さい腰窓の場合は、窓より大きめのサイズのカーテンで問題ありませんが、サイズ選びが難しいのが掃き出し窓です。リビングからベランダに出られる大きな掃き出し窓の場合は、床との隙間をカーテンで埋める必要があります。通常なら、床から2〜3センチ短いサイズのカーテンを選びますが、それだと掃き出し窓を覆うことができず、部屋が寒くなる原因になってしまいます。そのため、寒さ対策として掃き出し窓のカーテンを選ぶときには、カーテンが床について引きずるぐらいの丈がベスト。

ただ、丈が長すぎると踏んづけて転んでしまう恐れがあるので、小さい子どもがいる家庭は特に注意が必要です。わずか数センチの差で印象も効果も変わってくるので、カーテンのサイズを決めるときは、正確に採寸してから購入するようにしましょう。

カーテン生地を選ぶポイント

カーテン生地は厚手のものを

カーテンの生地は厚手のもの選びましょう。厚手の生地のカーテンのことを一般に「ドレープカーテン」と呼び、各社から販売されています。

厚手の生地は保温効果が高く、部屋を暖かく保ってくれます。裏地をアクリル樹脂コーティング加工しているものであれば、さらに保温性がアップ。アクリル樹脂コーティングを施すことで、熱の行き来を少なくし、カーテンと窓の間に空気の層を作り出します。この空気の層があることによって、外からの冷たい空気が部屋に入ってくるのを防げるのです。また、暖かい部屋の熱を外に放出するのも防止できます。暖房効率も上がるので、早く部屋が温まり寒くなりにくいのも大きなメリットです。

断熱レースカーテンとセットで

空気の層を作るという意味で、断熱レースカーテンとドレープカーテンの組み合わせもおすすめです。レースカーテンとドレープカーテンの間に空気の層ができ、断熱材のような働きをしてくれます。加えて、レースカーテンを取り入れることで太陽の光を取り込みやすくなります。

厚手のカーテンだけを使っているとカーテンを閉めたときに部屋が暗くなってしまいます。かといって、採光を良くするためにカーテンを全開にすると、窓から熱が逃げて室内が寒くなってしまいます。

そこで、レースカーテンを取り入れることで、断熱性と採光の問題を解決します。昼間は断熱レースカーテンのみを閉めて太陽の光を取り込み、夜はドレープカーテンも閉めることで保温効果が期待できます。断熱レースカーテンとドレープカーテンの二つを合わせれば、1日を通して快適に過ごすことができるでしょう。

カーテンボックスの意外な効果

カーテンボックスには断熱効果も

上からの熱の出入りを防ぐカーテンボックス

カーテンの設置部分をおしゃれに隠すカーテンボックス。しかし、カーテンボックスを取り付けるメリットはそれだけではありません。

室内の熱の出入りを抑える効果もあるのです。カーテンを選ぶときに、大きめサイズを選ぶことで窓の下部を覆うことはできますが、上部にあるカーテンレールとの隙間は埋められません。この隙間からも熱は逃げていきます。そこで、カーテンボックスを取り付ければ、カーテンレールとの隙間も埋めて熱を逃さないようにできるのです。これで、窓の上下をカバーできます。

リターンカーテンがあればさらにグッド

そして、ぜひ一緒に取り入れたいのが、窓のサイドをカバーできるリターンカーテン(折り返し縫製)です。熱は、左右のカーテンの隙間からも逃げていきます。この隙間を埋める工夫として、リターンカーテンがあります。

リターンカーテンとは、カーテンのサイドを広くしてカーテンレールの左右を覆うカーテンです。隙間をしっかりと埋めることができるので、熱が逃げてしまうのを防ぐことができます。さらに、カーテンの両サイドから入り込む光も防ぐことができるので、眩しさも軽減できます。カーテンボックスやリターンカーテンも併用して、室内の暖かさをキープしましょう。

玄関からの冷気もカーテンでシャットアウト

窓と同じように熱が逃げていきやすいのが、玄関ドアです。玄関ドアの金属部分や小窓の部分は外の冷たい空気によって冷やされてしまいます。窓にはカーテンが付いていることが多いですが、玄関ドアには遮るものがないので、玄関自体がとても寒くなってしまうのです。

玄関が寒いときには、窓と同じようにカーテンを付けるのがおすすめです。玄関にカーテンレールを設置してカーテンを取り付けます。玄関の場合は、床が土足になってしまうので、下についてしまうのが気になる場合は少し短めの丈にしましょう。

そして、カーテンの重さにも注意が必要です。あまり重いものだとレールが曲がったり、落下してしまう恐れがあります。玄関に設置する場合は、壁やレールに負担のかからない素材選びも大切です。ただ、玄関は窓と違って出入りの多い場所なので、昼間はカーテンベルトで留めておくなど状況に合わせて開け閉めについて考えておきましょう。

まとめ

断熱カーテンへの買い替えは、窓を取り換えるよりも簡単で、家計にもやさしい寒さ対策です。さらに、断熱カーテンの保温効果により、暖房効率もアップします。省エネで暖房費が抑えられるのもうれしいポイントです。断熱カーテンを効果的に使うには、最適な素材やサイズを選ぶことも大切です。厚手の断熱カーテンを取り入れて、寒い冬を乗り越えましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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